いつもお世話になっている、作家のたからしげるさんが新刊をご上梓されました。
たからさんは、たいそうお忙しい方なのに、次々と精力的にご出版され、ほんとうに頭の下がる思いです。
この『由宇の154日間』は、まだ二歳と十一ヶ月の女の子である「由宇」が、脱水症で命を落とす瞬間から、ふたたび別の人間として生まれ落ちてくるまでを描いた物語です。
風邪で高熱が下がらず、少しずつ体が衰弱して脱水症状がひどくなっていく、まだ三歳にも満たない女の子が死に向かっていくすがたが、臨場感あふれる文体で、書かれています。
幽体離脱のような状態で、空からお母さんやお父さんを見つめている女の子のこころのなかが実にリアルに描かれています。
そして迎える死。
その後、いわゆる俗にいう「天国」、この物語では「アシャド」と書かれていますが、「天国」というのは、こんな世界なのかも知れないと納得させられながら繰り広げられるリアルな「アシャド」を読者として体感することになります。
たからさんの文体は、それらをきわめて冷静に、けれど豊かに、そして確かな空間としてリアルに想像できるように綴っています。
死後の世界だというのに、その場に立ち会っていることを、ふとした瞬間、心地いい空間をさまよっているような気分になって。
人間って、こんなにいくつもの前世をくぐり抜け、さまざまな体験をしながら、「いま」を生き、そして死んでいくのだということをおだやかに語っています。
難解になりがちな、だれもが未だ見ぬ世界を、たからさんは豊かな創造性を駆使し展開しています。
読みながら、物語の向こうから、敬虔なミサ曲がずっときこえていました。
とてもユニークなアプローチからの作品でした。
ぜひお読みになってください。
たからさんは、たいそうお忙しい方なのに、次々と精力的にご出版され、ほんとうに頭の下がる思いです。
この『由宇の154日間』は、まだ二歳と十一ヶ月の女の子である「由宇」が、脱水症で命を落とす瞬間から、ふたたび別の人間として生まれ落ちてくるまでを描いた物語です。
風邪で高熱が下がらず、少しずつ体が衰弱して脱水症状がひどくなっていく、まだ三歳にも満たない女の子が死に向かっていくすがたが、臨場感あふれる文体で、書かれています。
幽体離脱のような状態で、空からお母さんやお父さんを見つめている女の子のこころのなかが実にリアルに描かれています。
そして迎える死。
その後、いわゆる俗にいう「天国」、この物語では「アシャド」と書かれていますが、「天国」というのは、こんな世界なのかも知れないと納得させられながら繰り広げられるリアルな「アシャド」を読者として体感することになります。
たからさんの文体は、それらをきわめて冷静に、けれど豊かに、そして確かな空間としてリアルに想像できるように綴っています。
死後の世界だというのに、その場に立ち会っていることを、ふとした瞬間、心地いい空間をさまよっているような気分になって。
人間って、こんなにいくつもの前世をくぐり抜け、さまざまな体験をしながら、「いま」を生き、そして死んでいくのだということをおだやかに語っています。
難解になりがちな、だれもが未だ見ぬ世界を、たからさんは豊かな創造性を駆使し展開しています。
読みながら、物語の向こうから、敬虔なミサ曲がずっときこえていました。
とてもユニークなアプローチからの作品でした。
ぜひお読みになってください。