名古屋市西区のトヨタ産業技術記念館に行ってきました。
「あいち・なごや周遊観光パスポート」を利用しての第9弾です。
ここは、トヨタグループ発祥の地に残されていた大正時代の工場を産業遺産として保存・活用し、設立された博物館です。
繊維機械館と自動車館があり、両方のガイドツアーに参加してきました。
エントランスには、豊田佐吉が発明した環状織機(1906年開発)が展示されています。
ガイドツアーの前にこの環状織機の実演を見学。
(写真の大型機は1924年に完成)
約100年前の機械が実際に動くことに感動します。
通常は杼(シャットル)を往復させてよこ糸を入れるのに対し、杼がぐるぐる周回してよこ糸を入れるという画期的な発明だったようです。
旧豊田紡織 本社工場模型。中央の煙突が後ほど出てきます。
まずは、繊維機械館です。
綿花の木がいろいろあるのを知ってびっくり。
大正時代に建てられた紡織工場で、柱や梁や赤レンガの壁をそのまま使用しています
昔の道具を使用して、綿から糸をつくる糸紡ぎ作業を実演していただけました。
手作業だとめちゃめちゃ手間がかかることがよくわかります。
水力を利用した水車式の「ガラ紡機」で糸づくりの様子を実演していただけました。
手回しのガラ紡機からの速さの違いにびっくり。
ちなみに、「ガラ紡機」というのは日本で発明された機械だそうです。
こちらの機械では、原料の綿(原綿)を入れると、
綿の繊維をほぐし、シート状のラップにしていきます
太い紐状のスライバにしたあと、練条機で数本のスライバを合わせて1本のスライバにします。
実演では、赤い筒の中にソフトクリームのようににゅるにゅる出てきて楽しい~。
祖紡機でスライバを引き延ばして撚りを掛けていきます。
リング精紡機では、さらに撚りをかけて細く、強く仕上げていきます。
どれも実演していただけてよくわかりました。
続いて、布を織る技術の発展を見ていきます。
元々、横糸をまとめた杼(ひ、シャトル)を通すのは人力でした。
豊田佐吉が発明した織機豊田式木製人力織機では、足の動作のみで、シャトルが動くようになります。
よく考えられていて驚かされます。
豊田佐吉が1924年に発明、完成した無停止杼換式豊田自動織機(G型自動織機)
すごいのは、シャトルの交換が不要で、たて糸が切れると自動で停止することです。
1人の作業者で30~50台を運転することが可能になり同時に動く様子を実演していただきました。
昭和初期の豊田自動織機製作所の組立工場で、チェーンコンベアを用いて流れ作業で組み付けていく様子を展示。
シャットルの木管を交換後に細い穴から糸を通す糸通し作業を疑似体験できます。
撚りがかかった糸の引きちぎれた際の反動をうまく利用していて、簡単に穴に糸が通ることにびっくり。
豊田佐吉が1924年に改善したシャットルで特許を取得しています。
最後に、エアジェット織機の実演です。
縦糸の色をコンピュータが選んで、入力した通りの画像に織りあげていきます。
あっという間に写真のような布を織りあげていきます。
見た目だけでなく、速さにも驚かされます。
1898年のスイス スルザー社製の蒸気機関。
直径4.7mのフライホイールと高圧/低圧の2本のシリンダーを備えており、9本のロープ伝動により発電機を回転させます。
これだけ大きな蒸気機関が動くところを見られるのはとても貴重なことだそうです。
約100年前の赤レンガに囲まれた「動力の庭」では、
発電用の蒸気機関から出る煙を排出していた煙突基礎の遺構を見学できます。
(最初に見た模型にあった煙突です)
トヨタ・パートナーロボットたち。
「パール」君によるバイオリン演奏も聞けます。
トヨタの発祥の地がここだったことも知らなかったですが、主だった機械の実演があってより興味を持って見学できました。