漢字は示してくれます。
「こと」は「事」と「言」を意味していた、と。
白川静『字訓』
こと〔言・辞(辭)・詞〕
ことばとしていう。ことばと事実とは、もとその実体が不離のものであるから、言(こと)はまた事(こと)である。その外にあらわれるものを区別して、「ことば」という。「こと」と「ことば」とは、古代においては実体として連なるものであるから、「ことば」が実体のもつ呪能をもちうるのであり、そこに「ことだま」「ことあげ」「ことだて」のような語が生まれる。(略)
こと〔事〕
「こと」は「言(こと)」であり「事(こと)」である。それで古代語の表記には「言(こと)の禁(さへ)」「事(こと)清く」のように、言と事とを区別なく同じように用いる例が多い。事(こと)と異(こと)とは、言と事のように親近の関係がないと考えられているが、それは何れも、一般を意味する「もの」に対して、特殊の立場にあるものの意がある。それで事が一般化されるときには「ものごと」という。言も事も、もの一般からいえば特殊なもの、異なるものであった。ものが抽象であるのに対して、具体的なものということができる。(略)
FBより、