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第2作 続 男はつらいよ| 松竹株式会社
一年ぶりに帰郷した寅さんは、葛飾商業の恩師・坪内散歩(東野英治郎)と、その娘・夏子(佐藤オリエ)と懐かしい再会を果す。酒を酌み交わしたものの...
『男はつらいよ』公式サイト | 松竹株式会社
「いつか先生がうめえこと言ったね、人生は一人旅だって。この俺なんざ本当の一人旅だよ。さんざぱら親不孝した挙げ句の果てだから仕方ねえって言えばそんだけだがね。そいでも時々夜中になると溜息が出るんだよ。男はつらいよね。先生、本当につらいよ。」
これは映画「続男はつらいよ」ではなくテレビ版の最終回の冒頭のシ―ンだそうです(佐藤利明著『みんなの寅さん』)。
映画「男はつらいよ」は寅さんの一人旅物語ではありますが、独り肩をつぼめて行く旅姿ではありません。道連れを失っても次の道連れへの期待が消えることなく、また常に「東京は葛飾柴又」が戻る在所であり、同時にそこは袖振れ会った一人旅の者にも訪ねることをすすめる所です。
第2作「続男はつらいよ」は、生みの母親に会い喧嘩別れの末の失意の姿が描かれます。しかしそれで終わらないのが寅さんワ―ルドです。
映画の最終場面をシナリオをもとに見てみましょう。
場面は京都、とは言っても幻の母親への期待を裏切られた街なかではなく鴨川は三条の橋近く、医師藤村と新婚旅行で京都を訪れていた夏子が、橋のたもとを見てギョとします。
露天の靴屋にいるのは寅さんに間違いなく、そして「寅!」の大声はいつかのラブホテルで会ったお菊さん――寅さんの母親です
「もういくで」
「うん、こまかいのちょっとくれよ、ほらほら」
「あつかましいなもう、何べんも何べんも、この子は」
「いいじゃないかよ、親子の間柄でよ、ほら」
「勝手なこというな、金の話はまた別じゃ」
スタスタと行く
「シミッタレてやんな全く‥‥‥よオ、お母ちゃん」
と、あわてて追いかける。
寅、橋の上でお菊と何やら大声でわめきながら歩いてゆく。
知らぬ人が見れば、やり手婆アと用心棒が肩を並べてあるいているとしか見えぬ光景だが、夏子には胸につきささる強い感動をもってせまるのである。