橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI #339≪独身青年層の結婚観≫

2016年09月26日 | EHAGAKI

お世話になります

住まいの販売を生業としているモノとして、結婚に関するデータは気になります
先般こんなニュースがありました


◆独身男性7割「交際相手いない」「性経験なし」も増加
(産経ニュース)2016.9.15

◆「交際相手いない」男性7割、女性6割 過去最高を更新
(日経新聞)2016/9/15

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

産経と日経を引用しましたが、各メディアとも同じような報道でありました

 これを読み、どう考えるか?

 「なるほど、時代は変わってる」  「昔はそんなことなかったのに」  「近頃の若いもんは」  「お金の問題じゃないの?」

等々やはり「昔は良かった理論」になりがちではないでしょうか

参考) EHAGAKI #305≪昔はよかった?≫


◆そこで少し調べてみました

 この調査は「国立社会保障・人口問題研究所」が概ね5年ごとに実施している調査であります

今回は第15回でそのすべての内容がHPで公開されております

◇第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)


まずこの問題
◆交際相手がいない

産経:交際相手がいない独身者の割合が男性7割、女性6割と過去最多となった。

日経:独身の男女のうち、「異性の交際相手がいない」と答えたのは男性で69.8%(前回61.4%)、女性で59.1%(同49.5%)といずれも大きく増加し、過去最高を更新した。

過去の調査と比較してみました

左から
第8回・昭和57年(1982)、第9回・昭和62年(1987)、第10回・平成4年(1992)、第11回・平成9年(1997)、第12回・平成14年(2002)、第13回・平成17年(2005)、第14回・平成22年(2010)、第15回・平成27年(2015)

男性:36.8%→48.6%→47.3%→49.8%→52.8%→52.2%→61.4%→69.8%
女性:30.1%→39.5%→38.9%→41.9%→40.3%→44.7%→49.5%→59.1%

という推移でありました
なるほど、過去最高の割合であります

次に
◆ 交際を望んでいない

産経:このうち男女とも約3割は「交際を望んでいない」と回答した。

日経:「異性との交際を特に望んでいない」男性は前回の27.6%から増えて30.2%に達した。

◇この項目は2010年と今回のみの調査
男性:27.6% → 30.2%  女性:22.6% → 25.9%

これも増えています  一方で

◆交際を望んでいる
男性:32.6% → 31.9%  女性:25.7% → 26.0%

あまり大きな変化はありません

実際に調査したデータは

◆調査別にみた未婚者の異性との交際の状況

◇婚約者がいる

男性:4.8%→2.9%→3.2%→2.9%→2.7%→2.9%→1.8%→1.6%

女性:5.7%→4.6%→3.9%→3.8%→3.9%→4.8%→3.1%→2.9%

 ◇恋人として交際している異性がいる

男性:17.1%→19.4%→23.1%→23.3%→22.4%→24.3%→22.8%→19.7%

女性:18.2%→26.2%→31.6%→31.6%→33.1%→31.9%→30.9%→27.3%

 ◇友人として交際している異性がいる

男性:36.8%→23.6%→19.2%→15.3%→11.3%→14.0%→9.4%→5.9%

女性:41.8%→25.4%→19.5%→15.9%→12.4%→12.9%→11.9%→7.7%

◇そして冒頭の「交際している異性はいない」

男性:36.8%→48.6%→47.3%→49.8%→52.8%→52.2%→61.4%→69.8%
女性:30.1%→39.5%→38.9%→41.9%→40.3%→44.7%→49.5%→59.1%

そもそもこれらの質問の「交際の定義」とは?

30年以上前の、恋人とは?友人とは? 今の恋人とは?友人とは?
男が考える恋人?友人? 女が考える恋人?友人?

微妙に違うような気がするのですが?

そこでこの問答無用のストレートな質問

◆性経験の有無

産経:さらに、性交渉の経験がない独身者の割合も男性42%、女性44・2%と男女とも増加。30~34歳に限っても、男性の25・6%、女性の31・3%が性経験がなかった。

日経:性経験のない未婚者の割合は男性が42.0%、女性も44.2%に上り、いずれも前回より増えて4割を超えた。

とあり未経験の方が大きく増えているような印象です

これなど居酒屋でオジサン連中が「ワシの若い頃は云々、、、」ときそうなネタであります

過去の調査と比較してみました
第9回・昭和62年(1987)から

◆性経験のない未婚者の割合

男性:43.1%→41.5%→35.7%→35.3%→31.9%→36.2%→42.0%

女性:65.3%→56.3%→43.5%→37.3%→36.3%→38.7%→44.2%

◆性経験のない未婚者の割合(30~34歳)
男性:27.1%→22.7%→23.4%→23.4%→24.3%→26.1%→25.6%
女性:44.4%→40.9%→28.8%→26.6%→26.7%→23.8%→31.3%

時代背景でデコボコはありますが基本的に「そんなに変わっていない」と言えるんじゃないでしょうか

◇調査時の背景
年代流行  から

8、昭和57年(1982)
笑っていいとも開始。ミニスカート。レッグウォーマー。タッチ(あだち充)。テレホンカード発売。パーソナルコンピュータPC-9801を発売。待つわ(あみん)。コンパクトディスクプレーヤー発売。

9、昭和62年(1987)
朝シャン。ゴクミ。花キン。バブル。ねるとん紅鯨団。マドンナ、マイケルジャクソン来日。国鉄民営化。アメカジ。

10、平成4年(1992)
きんさん・ぎんさんブーム。冬彦さんブーム。日本人宇宙飛行士、毛利さんが宇宙へ。尾崎豊死去。美少女戦士セーラームーン。学校週5日制スタート。 

11、平成9年(1997)
消費税5%に引き上げ。プリウス。アサヒ・スーパードライ。キシリトール。タイタニック。失楽園。アニメで失神者続出。もののけ姫。

12、平成14年(2002)
ソルトレイクシティオリンピック。FIFAワールドカップ・日韓大会。タマちゃん。ソフトモヒカン。ノーベル賞初のダブル受賞。ユーロ。チワワ。おしゃれメガネ。

13、平成17年(2005)
愛・地球博開催。セ・パ交流戦。バカの壁。個人情報保護法。ブログ。電車男。ちょいワルおやじ。

14、平成22年(2010)

15、平成27年(2015)

次に


◆結婚について

日経:「一生結婚するつもりはない」という男性は12.0%で1割を超え、女性も8.0%で増加した。

男性:2.3%→4.5%→4.9%→6.3%→5.4%→7.1%→9.4%→12.0%
女性:4.1%→4.6%→5.2%→4.9%→5.0%→5.6%→6.8%→8.0%

日経:こうした男女に「これまでいずれ結婚するつもりと思ったことがあるか」と尋ねたところ、男性は41.4%、女性は50.7%が「ある」と答え、約半数が結婚することを諦めていた。

男性: → 41.4%  女性: → 50.7%

ここまでが報道です

ただここで
「一生結婚するつもりはない」と回答した人に、今後「いずれ結婚するつもり」に変わる可能性の有無も聞いています

男性: → 44.1% (あると思う 13.0%、あるかもしれない 31.2%)
      多分ないと思う(16.4%、ないと思う 32.1%)
女性: → 49.8% (あると思う 7.3%、あるかもしれない 42.4%)
      多分ないと思う(22.4%、ないと思う 22.4%)

つまり、約半数が結婚を諦めたが、そのうち半数近くが潜在的には結婚を望んでいる、ともとれる訳です

昭和57年(1982)の調査でこんなコメントがありました↓

第8次出産力調査(結婚と出産力に関する全国調査)

◆生涯独身志向
生涯未婚率に相当する45~49歳男女の未婚率は徐々に高まってきているとは言え、いまだに5%未満である。
ところが、30~34歳未婚率は女子では弱いながらも上昇気味であるし、男子では急上昇している。

この若い世代の結婚の遅れが生涯未婚率の上昇につながるかどうかを推しはかる手がかりとするため、「独身者調査」では結婚する意志の有無を尋ねた。

男子の場合には「一生結婚するつもりはない」と答えた者は20歳代までは3%未満、30歳代でさえ5%程度なので、構造的な理由による結婚難がひどくならない限り、男子の生涯未婚率が大幅に上昇することはあまり考えられない。

女子の場合には30歳代前半になると結婚する意志のない者が4分の1近くまで増えるが、30~34歳の女子人口全体に占める未婚者の割合は1割にも達しないし、30歳未満で結婚する意志のない者はごくわずかである。したがって、少なくとも意識の面からみるかぎり、近い将来女子の生涯未婚率が大幅に上昇することも考えにくい。


34年前のこの予測、如何でしょうか

経済的な環境によって意識が形成され、行動につながる、ということでしょうか

 

興味を持ったニュースに接して

「へぇ~、そうなんだ」で終わるのは危険です
A4、一枚のプレスリリースに少し付け足しただけの記事が多い気がします

数回クリックすればそのソースにたどり着ける便利な環境を活かしたいものです

今回はごく一部を取り上げましたが、ぜひご覧になって下さい ↓

出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)
過去も含め様々なデータを見ることができます↑

情報に踊らされず、自分で判断していきたい、と愚考する次第です

ではまた