橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

LS EHAGAKI #198≪淀んだ効果≫(2009.2.26)

2019年12月22日 | LS HAGAKI
『ぼちぼちいこか '08』フューチャリング くいだおれ太郎  

LS EHAGAKI #198(2009.2.26)

先般 久々にライブに行きました(自分たちのではなくプロの)

その後 ある本を読んでいて

そのライブの“有山じゅんじ”さんの古い曲のワンフレーズを思い出しました

「僕は人間 機械じゃない」by 有山じゅんじ(曲:そんなにガミガミ)

「機械には時間がない。原理的にはどの部分からでも作ることができ、

完成した後からでも部品を抜きとったり、交換することができる。

そこには二度とやり直すことのできない一回性というものがない。

機械の内部には、折りたたまれて開くことのできない時間というものがない。」

「生物には時間がある。その内部には常に不可逆的な時間の流れがあり、

その流れに沿って折りたたまれ、一度、折りたたんだら二度と解くことのできないものとして生物はある。」

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

福岡伸一 著 「生物と無生物のあいだ」の一節です

読書に関して天邪鬼な私はベストセラーを買うことはめったにないのですが

本屋さんでの露出量と店員さん手書きのPOPに負けてしまいました

表紙 というか表紙の大半を占めるオビには

生物と無生物のあいだ 福岡伸一  40万部突破 サントリー学芸賞受賞 

各メディア絶賛の嵐 必読のベストセラー  読み始めたら止らない 極上の科学ミステリー
生命とは何か? ・・・怒涛の大推薦!! 講談社現代新書

これだけのハンデ?を背負った本を自分が買うとは

今朝 本屋で見ると「60万部突破 新書大賞 ダブル受賞!!」も

オビに加わっていて その後の勢いも凄いようです

そして裏表紙のオビには推薦

「福岡伸一さんほど生物のことを熟知し、文章がうまい人は希有である。

サイエンスと詩的な感性の幸福な結びつきが、生命の奇跡を照らし出す。」 茂木健一郎氏

露出量一番の先生の推薦 なんか信じ難い気がしますが「文章がうまい」とある

高橋源一郎氏は

「優れた科学者の書いたものは、昔から、凡百の文学者が書いたものより、

遥かに、人間的叡智に満ちたものだった。つまり、文学だった。

そのことをぼくは、あらためて確認させられたのだった。」

さらに よしもとばなな氏は

「スリルと絶望そして夢と希望と反逆の心にあふれたどきどきする読み物です!大推薦します。」

と パラパラと中を覘くとマンハッタンの風景や

アメリカでの野口英雄の評価について などなど 

「まぁ たまには こんなセンスも有りか」と“白とまぶしい緑”の装丁の新書をレジへと

運んだ次第であります

この本のもっとも大きいテーマ それは生命とは何かというコト

 「生命とは何か? それは自己複製するシステムである。」

「生命とは要素が集合してできた構成物ではなく、要素の流れがもたらすところの効果なのである。」

「お変わりごさいませんね などと挨拶をかわすが、半年、あるいは一年ほど会わずにいれば、

分子のレベルでは我々はすっかり入れ替わっていて、お変わりありまくりなのである。」

とのこと 分子レベルで見ると流れているそうです その流れが少し淀んでいるのが 

我々生物である訳です 

分子レベルの何かが集まった塊ではなく 

その流れの淀んだ状態が効果として現れたのが生物ということですね  

人生は 一方通行 戻ることは出来ない 

というのは分子レベルから見ても当然 ということでしょうか

この本 科学的に見ると説明不足ではないか 等々 表現・解釈について

色々議論があるようですが そういった知識の全く無い者にとっては

すんなり入ってくる読物であったことは間違いありません

こういう一節も 

「これはこうに違いない!という直感は、多くの場合、

潜在的なバイアスや単純な図式化の産物であり、

それは自然界の本来のあり方とは離れていたり異なったりしている。」

一番を狙って研究する すべてはスピード勝負 

僅差の二番には何の栄誉も与えられない そこに様々なドラマが生まれる 

私など全く関りの無い世界を 学問としてではなくドラマとして垣間見ることが出来ました

追求すること 間違い 勘違い 偶然 タナボタ 嫉妬 そして奇跡 

どれもこれも 我々生き物にとっては 一回コッキリ やり直し 

という選択肢は 基本的に無い ということでしょうね

 では どうするか すこしぐらい淀んでいた方が人間らしいということでしょうが 止まってはいけません

そして 生物全般に共通して言えることは“大切に生きる”  個別には? それは 皆様それぞれで

Thinkin’Of You

Thinkin’Of You 価格:¥ 2,730(税込)

僕は人間 機械じゃない と歌う「そんなにガミガミ」が入った

アルバム“MAKE A JOYFUL NOISE ”はアマゾンでは扱っていませんでした

探せばありと思いますが 有山じゅんじさんの音楽 

どれも“するめの様なコンセプト”ですので ぜひ

無生物と我々生物の差 それは “モノ(物)ではなくコト(効果)”  

解釈の応用範囲は広いように思います “淀み”を良い意味で意識していきたいものです

で 私の推薦図書ですが「生物と無生物のあいだ」ではありません この手の本にご興味がおありでしたら ぜひこの大作を

生命40億年全史  
  生命40億年全史  価格:¥ 2,520(税込) 発売日:2003-03

リチャード・フォーティ (著), 渡辺 政隆 (翻訳)

少々お高く 重い本ですが 

“生命の歴史 それを解き明かす研究者の臨場感ある目線 興奮 ワクワクして読めました 怒涛の大推薦です”

そして私は 次にこれを読もうと思っている次第であります

地球46億年全史  

地球46億年全史価格:¥ 2,940(税込)発売日:2008-12-25 

リチャード・フォーティ (著), 渡辺政隆 野中香方子 (翻訳)

LS EHAGAKI #198より