橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

写真は嘘をつく

2012年12月22日 | 写真

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沢木耕太郎  渾身のノンフィクション 「キャパの十字架」

文藝春秋2013年1月号

戦争報道の歴史に燦然と輝く傑作「崩れ落ちる兵士」ー。
だがこの作品は本当にキャパのものなのか?
スペイン、フランス、アメリカを総力取材。
七十六年間封印されていた「真実」がついに明らかになる

「写真は嘘をつく」

たとえば

スペインで内戦が勃発する。反乱軍によるゲルニカ爆撃の写真は殆ど残っていなかった
フランスに避難しようとした人々、途中である写真が撮られた。両手で顔を覆っている老女
何年かするうちに、その写真は様々に取り上げらる様になり、ついにはゲルニカの悲劇を撮ったものとされるようになった、とか

銃弾に倒れる瞬間を捉えたとされるキャパの出世作の秘密を探る!
証言、物的証拠、検証  引き込まれました

「崩れ落ちる兵士」ライカ? ローライフレックス? 誰が?
撮影後の諸々の事情で 事の経緯を封印  それこそがキャパの背負った十字架であったようです

ノルマンディー上陸作戦を撮った「ちょっとピンボケ」での臨場感ある作品
写真を取り切り母船に戻るとキャパは失神したように眠り込む
気がつくと隣のベットで若い兵士が天井を見つめている 若い兵士は第一陣の攻撃に加わった中で唯一生き残った兵士 

若い兵士が自分が臆病だったと呟く

キャパはその若い兵士にいう

「いや、臆病だったのは僕の方さ」 

戦争という混乱の中で、それぞれの人が十字架を背負った
すべての人が十字架を背負うことのなるのが戦争だ ということだけは間違いないようです

いや~、面白かったです
徹底検証するには その相手への様々な想い この本では尊敬が不可欠であったと愚考する次第です

「キャパの十字架」沢木耕太郎 文藝春秋2013年1月号


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