沢木耕太郎 渾身のノンフィクション 「キャパの十字架」
文藝春秋2013年1月号
戦争報道の歴史に燦然と輝く傑作「崩れ落ちる兵士」ー。
だがこの作品は本当にキャパのものなのか?
スペイン、フランス、アメリカを総力取材。
七十六年間封印されていた「真実」がついに明らかになる
「写真は嘘をつく」
たとえば
スペインで内戦が勃発する。反乱軍によるゲルニカ爆撃の写真は殆ど残っていなかった
フランスに避難しようとした人々、途中である写真が撮られた。両手で顔を覆っている老女
何年かするうちに、その写真は様々に取り上げらる様になり、ついにはゲルニカの悲劇を撮ったものとされるようになった、とか
銃弾に倒れる瞬間を捉えたとされるキャパの出世作の秘密を探る!
証言、物的証拠、検証 引き込まれました
「崩れ落ちる兵士」ライカ? ローライフレックス? 誰が?
撮影後の諸々の事情で 事の経緯を封印 それこそがキャパの背負った十字架であったようです
ノルマンディー上陸作戦を撮った「ちょっとピンボケ」での臨場感ある作品
写真を取り切り母船に戻るとキャパは失神したように眠り込む
気がつくと隣のベットで若い兵士が天井を見つめている 若い兵士は第一陣の攻撃に加わった中で唯一生き残った兵士
若い兵士が自分が臆病だったと呟く
キャパはその若い兵士にいう
「いや、臆病だったのは僕の方さ」 と
戦争という混乱の中で、それぞれの人が十字架を背負った
すべての人が十字架を背負うことのなるのが戦争だ ということだけは間違いないようです
いや~、面白かったです
徹底検証するには その相手への様々な想い この本では尊敬が不可欠であったと愚考する次第です
「キャパの十字架」沢木耕太郎 文藝春秋2013年1月号