3日は事務所の引越し作業で少し早く事務所を出ることが
出来たので神田の町を写真に撮りお別れした。
Sと銀座で待ち合わせ、ひさびさに変わった銀座を歩いた。
そして5日は写真美術館で世界報道写真展が最後で朝一番に
見に出かけました。
写真を見ると災害・政変と混乱と激動の1年だったことが改めて
ショッキングな写真とともに思い出され、訴える力の大きさに
驚かされる。シリア・エジプト・・時に報道写真はウソはつかないが
まわりを切り取り、訴える力を大きくすることを知って
信じられないこともあるけれど。
しかし写真は真実を告げる。津波で何もかも失った老婆の顔が
言葉にならないたくさんのことを語る。
田中彰英の「夢の光」
アメリカへの憧れと絶望
時代の変化・・みなとみらいやベイブリッジが出来る前の風景
谷中や根津の変わらないたたずまい・・浦安や幕張・・
天王洲や向島、豊洲、辰巳など発展していく寸前の
ウォーターフロント・・
こうやってどんどんと開発されていったのだと改めて振り返る。
田中氏は少し上だけどほぼ同年代
アメリカのホームドラマや西部劇を見た世代。
私もまさにその世代・・ピアノの先生のところで待っている間に
見たアメリカの建築雑誌の中の別世界。先生のご主人は
海外航路の船長さんでした。
田中氏の興味は基地という夢と矛盾と世界情勢の危うさに
面した世界・・
本来写真とは速報性と報道性を内包した芸術であると語っている。
「写真とは自分の心を映す鏡であり、自分が社会を見るための窓である」
故ジョン・シャーコフスキー(ニューヨーク近代美術館写真美術部門ディレクター)
の言葉が紹介されていた。
「私は心の中の混乱と矛盾の暗黒のかなたの光明(夢の光)を探し続けている。
・・被災地に降り注ぐ光・・福島原発1号機の煉瓦に降り注ぐ光に対する焦燥感
かもしれない。困難と混乱のまま何も解決できない苛立ちの感情を今回の
写真展で表現したかった。」
田中氏はジョン・アップダイクなども読むらしい。ひさびさに聞く名前。
そのショート・ストーリィが大好きだった私。
同じようにアメリカのデモクラティックなところに憧れ、米文学を専攻して
アメリカン・ルネサンスの時代と新しい時代を築こうと嵐が起きていた時代が
好きだった。その後アメリカはすっかり憧れの国ではなくなった。
憧れ、絶望、幻影なんでも写してしまうのが写真。
写真美術館に行って写真ってすごいと改めて思いました。
真実を写すのだから・・・
最後に見たのが「自然のスケッチ」で写真や技法などが説明されて
いました。
Aug.5 2012 Ebis