碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「西郷どん」鈴木亮平の全力演技と脇役の存在感

2018年02月08日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評


「西郷どん」引っ張る
鈴木亮平の全力演技と脇役の存在感

大河ドラマ「西郷どん」が面白くなってきた。昨年放送の「おんな城主 直虎」と比べるのも酷だが、西郷を演じる鈴木亮平(34)のはつらつとした表情、セリフ、そして動きが断然気持ちいい。

鈴木は朝ドラ「花子とアン」の夫役で注目されたが、映画「HK変態仮面」で見せた、針が振り切れたような全力演技が印象に残る。「西郷どん」でも、気持ちが高揚した時に繰り出す“怒涛の寄り”など、肉体派の鈴木ならではのものだ。

そしてもう一人、このドラマを見るべきものにしているのが、島津斉彬役の渡辺謙(58)である。第4話で、父親の斉興(鹿賀丈史)に藩主の座から降りるよう迫った時、なんと弾を1発だけ込めたピストルでロシアンルーレットをやってみせた。さすが“世界のケン・ワタナベ”。画面の空気は一気に凝縮し、渡辺が完全に主役に見えた。

実はこの名場面、林真理子の原作小説「西郷どん!」にはない。脚本の中園ミホのオリジナルだ。こうした手練手管がズバリと決まれば決まるほど、ドラマは盛り上がる。

全体として男っぽい、男くさい大河だ。それだけに、西郷に思いを寄せる糸(黒木華)や後の篤姫である於一(北川景子)の出番には“ありがた感”がある。また西田敏行(70)のナレーションも大正解。悠揚迫らぬ調子にユーモアがブレンドされており、見る側をリラックスさせてくれるのだ。

(日刊ゲンダイ 2018.02.07)

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