碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

言葉の備忘録333 人生の・・・

2023年04月30日 | 言葉の備忘録

 

 

 

 

人生のすべてに

無駄なことなんてない!

 

 

映画『シン・仮面ライダー』

 


フライデーで、女優・芳根京子さんについて解説

2023年04月29日 | メディアでのコメント・論評

 

 

多忙な女優生活を支える

エネルギー源はやっぱり・・・

芳根京子、主演ドラマの撮影終了後に直行!

深すぎる「ラーメン愛」

 

春風が心地よいとある夜。酔客でごった返す恵比寿駅(渋谷区)近くの雑踏で、無造作に髪の毛を後ろにまとめた細身の女性が車から降りた。

ゆったりとした格好でもそのオーラは隠せない。現在放送中のドラマ『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)で主演を務めている女優・芳根京子(26)だ。

この日も1日、ドラマの撮影に励んでいたようだ。仕事終わりで疲労困憊かと思いきや、人目を気にせず飛び跳ね出してしまうほど元気だ。

そんなご機嫌な彼女が向かったのは、醤油ラーメンがイチ押しメニューの店。多忙な女優 生活を支えるエネルギー源は、 ラーメンだった。

「芳根は大のラーメン好きです。以前テレビで『週3で食べている』と公言したほど。その中でもとくに醤油ラーメンが好きなようで、人気店に並んで食べることもあるそうです。 SNS で『ラーメンはおかず』と投稿し、話題を呼びました」(テレビ関係者)

芳根は13年にドラマ『ラストシンデレラ』(フジテレビ系)で女優デビューを果たし、今年で芸歴10年になる。

16年に NHK 朝ドラ『べっぴんさん』でヒロインを務め、一気に知名度を上げた。

「芳根さんは今年、新垣結衣さんの後任としてアサヒ生ビールの新CMに出演しました。ガッキーと同じように、芳根さんにも『逃げ恥』のような代表作ができた時は、国民的女優に大きく近づけると思います」(メディア文化評論家・碓井広義氏)

ラーメン屋を後にしてご満悦な芳根。どんな未来予想図を描いているのだろう。

(フライデー 2023.05.05号)


【旧書回想】  2021年8月後期の書評から 

2023年04月28日 | 書評した本たち

信州木曽の酒蔵・七笑(ななわらい)の「とんがら味噌」

 

 

【旧書回想】 

「週刊新潮」に寄稿した

20218月後期の書評から

 

 

三田誠広『遠き春の日々~ぼくの高校時代』

みやび出版 1650円

著者が『僕って何』で芥川賞を受賞したのは1977年。29歳だった。44年後の今、自身の文学的故郷である青春時代を振り返っている。高校1年生で埴谷雄高に衝撃を受け、2年生で学校に行かなくなる。また学生小説コンクールに応募した作品が、雑誌『文藝』に掲載される。だが、そこから作家として自立するまでには起伏に富んだ歩みがあった。社会との関係も含め、率直に自身を語った回想記だ。(2021.07.30発行)

 

高村 薫『作家は時代の神経である~コロナ禍のクロニクル2020→2021』

毎日新聞出版 1980円

『サンデー毎日』に連載中の時評、昨年3月から今年5月までの分が収められた。それはコロナ禍の推移と完全に重なっており、まさに同時進行ドキュメントだ。当初から著者が見抜いた「防疫後進国」の危うさや、「命を守る意志なき政権」の怖さは、1年半が過ぎた現在も何ら変わっていない。「周回遅れとなった日本の<いま>」を認識しつつ、それでも「より良く生きる方法」を探るための一冊だ。(2021.08.05発行)

 

本田不二雄『異界神社~ニッポンの奥宮』

駒草出版 1980円

「太古のカミ祀りの記憶」が保たれている神域。それが奥宮だ。「この世じゃない場所」であり、「異界との接点」の役割を果たし、時には「あの世」そのものでもある。本書には47の神社が登場する。日本最古の聖なる山、茨城県の御岩神社。怪樹が立ち並ぶ、静岡県の大瀬神社。よみがえりを実感する、和歌山県の熊野本宮などだ。自由な社寺参詣が叶わぬ今、本書を通じて異界パワーに触れたい。(2021.08.08発行)

 

立花 隆『立花隆 最後に語り伝えたいこと~大江健三郎との対話と長崎大学の講演』

中央公論新社 1760円

今年4月30日に亡くなった立花隆。本書は単行本未収録の講演や対談を集めた、ラストメッセージともいうべき一冊だ。長崎大学での講演では、若き日の原水爆禁止国際会議への参加から「デジタル・ミュージアム戦争の記憶」の構想までを語っている。また、終生心の支えにしていたという大江健三郎との対談では、環境・人口・移民問題などで持論を展開。議論なき社会に警鐘を鳴らしている。(2021.08.10発行)

 

山田五郎『機械式時計大全』

講談社選書メチエ 2860円

レコード盤やフィルムカメラなど、アナログを愛する人は少なくない。機械式時計は歯車の回転停止と解放を繰り返す仕組みで動く。著者による分かりやすい定義では「チクタク音がする時計」だ。中には万年カレンダーや天文表示など多彩な働きをする「複雑機構」を持つものもある。本書は至福のアナログツールの基本構造から歴史的逸話、選び方や買い方も網羅した、機械式時計の教科書だ。(2021.08.10発行)

 

西村 正『闘ふ鷗外、最後の絶叫』

作品社 2200円

生誕160年・没後100年が近い文豪、森鷗外。医師で文筆家の著者が新たな角度からその実像に迫った。文学活動と軍医活動と出自の三要素を探ることで、鷗外が抱えた葛藤と挫折、そして怨念までが見えてくる。ヒントは遺言にあった。「余ハ石見人森林太郎トシテ死セント欲ス」。陸軍、医学界、さらに家庭においても悪戦苦闘を続けた鷗外。何を思い、どこを目指していたのかが明らかになる。(2021.08.20発行)

 

大島幸久『歌舞伎役者 市川雷蔵~のらりくらりと生きて』

河出書房新社 2200円

市川雷蔵といえば、『眠狂四郎』『忍びの者』『陸軍中野学校』などのタイトルが思い浮かぶ。しかし日本映画の黄金期を代表する大スターは、紛れもない歌舞伎役者でもあった。なぜ雷蔵は歌舞伎から離れたのか。またカメラの前に立ちながら、歌舞伎界をどう見ていたのか。著者は元報知新聞編集委員で演劇ジャーナリスト。誕生から成長、役者としての歩みを追いながら、7つの謎を解明していく。(2021.08.25発行)

 


【旧書回想】  2021年8月前期の書評から 

2023年04月27日 | 書評した本たち

長野県塩尻市の学校給食「キムタクごはん」を家庭でも!

 

 

【旧書回想】 

「週刊新潮」に寄稿した

20218月前期の書評から

 

 

米倉 律『「八月ジャーナリズム」と戦後日本』

花伝社 2200円

毎年、「原爆の日」から「終戦記念日」にかけて、メディアの戦争関連報道が目立つ。それが「八月ジャーナリズム」だ。著者は元NHKディレクターで現在は日大教授。1950年代から現在まで、全ての年代におけるNHK、民放の戦争・終戦関連番組を考察している。日本人の戦争観や歴史認識を知る上で、「被害」と「加害」の両面が、時代によっていかに表象されてきたかという分析が出色だ。(2021.07.05発行)

 

フジモトマサル『長めのいい部屋・かわうそ天然気分』

中央公論新社 1980円

漫画家でイラストレーターだったフジモトは、2015年の秋に46歳で亡くなった。本書は2作を収録した待望の復刊。修理工として働く「かわうそくん」をはじめ、動物たちの静かで不思議な日常が描かれていく。登場するのは発明家のバク。ルームメイトを募集するライオン。ボトルに手紙を詰めて海に流すアザラシなどだ。彼らは人間の戯画化ではなく、人間が彼らを模倣しているとしか思えない。(2021.07.25発行)

 

中路啓太『革命キッズ』

光文社 2200円

時は1960年。戦前は革命前衛党委員長だったが転向した天野春男が、「同盟条約改定反対」を叫ぶ若者たちの支援・指導を依頼される。相手は愛国者団体を率いるフィクサーだ。背後には政権党内の権力争いがあった。学生運動の中核にいる帝都大生、楡久美子に接近する天野。決戦となる条約改定の日は刻々と迫ってくる。寓話か、それともパラレルワールドか。異色の現代史アクション小説だ。(2021.07.30発行)

 

向田和子:編『向田邦子シナリオ集~昭和の人間ドラマ』

ちくま文庫 990円

8月22日は向田邦子の命日。今年は没後40年の節目にあたる。現在も著作が読まれ続け、新たな関連書籍が書店に並ぶ人気ぶりだ。本書は文庫オリジナルとして実妹が編んだ、シナリオのアンソロジーである。女性の生と性に迫った、桃井かおり主演『隣りの女 現代西鶴物語』。ドラマシリーズの異色作『七人の刑事 十七歳三ヶ月』などが読める。セリフに込められた人間の実相は今も古びていない。(2021.07.10発行)

 

巖谷國士:監修・著『マン・レイと女性たち』

平凡社 2750円

「人・光線」という人を食った名前も、「マルチな才能」という常套句も似合ってしまう、マン・レイ。その創造の源泉が、ミューズとも言うべき女性たちの存在だ。キキをはじめ複数の女性を深く愛したマン・レイだが、いずれもその時期における「ただ一人の女性」だった。著者はマン・レイの芸術活動と恋愛の関係を軸にその軌跡を追っていく。豊富な図版とその美しさも愛蔵版にふさわしい。(2021.07.14発行)

 

鈴木輝一郎『印税稼いで三十年』

本の雑誌社 1760円

最近、『書きたい人のためのミステリ入門』や『小説家になって億を稼ごう』といった本が話題になっている。コロナ禍の中、究極の在宅ワーカーを目指す、潜在的作家志望者が増加しているのかもしれない。どうしたら「夢の印税暮らし」は可能なのか。作家生活30年の著者が、執筆術・処世術・お金術など、その実態と本音をかなり赤裸々に語っていく。しかも「なんとかなる」は悪魔の誘いだ。(2021.07.30発行)

 

古谷敏、やくみつる、佐々木徹

『完全解説 ウルトラマン不滅の10大決戦』

集英社新書 1100円

放送開始から55年。元祖ウルトラヒーローは今も不動の人気を持つ。本書はウルトラマンのスーツアクター、ファンを代表する漫画家、格闘に詳しいライターが集まっての座談会だ。しかも「怪獣との闘い」ベスト10を語っている。いきなり最終戦のゼットンに始まり、ケロニアやギャンゴなどの個性派がリングに上がる。特に現場を知る古谷の証言は貴重で、過去の定説がいくつも覆されていく。(2021.07.21発行)

 

清武英利『後列のひと~無名人の戦後史』

文藝春秋 1760円

最前列に立つ人ではない。出世や見返りを求めることもない。目立たぬ存在でありながら人や組織や支え、しかも足跡は戦後史に刻まれている。それが「後列のひと」だ。ロケット開発の林紀幸。じゃがいもを描き続ける画家、矢内清六。元・整理回収機構の妹尾敬冶。さらに老練の先物相場師、長谷川陽三など18人の物語が並ぶ。著者の言う「良く生きた人生」は、読む者を励ます力に満ちている。(2021.07.30発行)


『それってパクリじゃないですか?』芳根京子には「お仕事ドラマ」がよく似合う

2023年04月26日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

芳根京子には

「お仕事ドラマ」がよく似合う

「それってパクリじゃないですか?」

日本テレビ系

 

芳根京子には「お仕事ドラマ」がよく似合う。思えば出世作のNHK朝ドラ「べっぴんさん」も、実在のアパレルメーカー創業者をモデルにした、一種のお仕事ドラマだった。

その後、「チャンネルはそのまま!」(北海道テレビ)でテレビ局の報道記者。「半径5メートル」(NHK)では雑誌編集者を演じていた。

今期の「それってパクリじゃないですか?」(日本テレビ系)もまた、ウェルメイドなお仕事ドラマだ。

舞台は飲料メーカーの月夜野ドリンク。主人公の藤崎亜季(芳根)が所属するのは、新設の知的財産(知財)部である。

第2話では「商標権の侵害」問題が描かれた。お茶系飲料「緑のお茶屋さん」は看板商品だが、地方の製菓会社が名前やデザインを真似たチョコレート「緑のおチアイさん」を売っていたのだ。

親会社から出向してきた弁理士の北脇(重岡大毅)は知財のプロ。素人同然の亜季は彼を通じて徐々に学んでいく。

パクリとパロディの違いは何か? オマージュやインスパイアは許されるのか? 

見ている側も、「知財」が開発に関わった人たちの汗と涙の結晶であり、「商標」は彼らの努力の証明であることが分かってくる。

最終的に月夜野は製菓会社を訴えたりせず、「緑のおチアイさん」は業務委託で正式に販売されることになった。この後味の良さも「芳根流お仕事ドラマ」の特徴だ。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2023.04.25)


NEWSポストセブンで、女優「MEGUMI」さんについて解説

2023年04月25日 | メディアでのコメント・論評

MEGUMIさん

 

MEGUMIが

2クール連続「編集長役」に抜擢 

築き上げた働く女性からの「圧倒的共感」

 

4月13日に放送を開始したドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)。社会現象になったドラマ『昼顔』のスタッフが再集結した注目作だ。

同名の漫画が原作で、女優の奈緒(28)が永山瑛太(40)演じる夫とのセックスレスに悩む主人公・吉野みちを演じる。

ほかに田中みな実(36)やEXILEの岩田剛典(34)ら豪華なキャストが出演しているのだが、テレビ局関係者の間でファッション雑誌編集長の川上圭子役で今後出演予定のMEGUMI(41)が「非常に珍しいキャスティングだ」と話題になっているのだという。 

小池栄子と並ぶ「グラビア出身女優」の代表格に 


「あまちゃん」再放送  魅力あふれる脚本・演出・演者

2023年04月24日 | 「毎日新聞」連載中のテレビ評

 

<Media NOW!>

「あまちゃん」再放送 

魅力あふれる脚本・演出・演者

 

今月からNHKBSプレミアムとBS4Kで、連続テレビ小説(以下、朝ドラ)「あまちゃん」の再放送が始まった。

最初の放送は2013年の4~9月。当時、新聞や雑誌で特集が組まれ、ネットでも連日話題になった。

放送終了後には、寂しさや喪失感で落ち込む「あま(ちゃん)ロス症候群」なる言葉まで生まれた。今回の再放送で人気が再燃している。このドラマの魅力を探ってみたい。

まず、朝ドラはヒロインが自立していく「職業ドラマ」が一般的である。過去に法律家や編集者はあったが、天野アキ(能年玲奈、現在はのん)のアイドルは前代未聞。

だが、アイドルを「人を元気にする仕事」と考えれば納得がいく。特に「地元アイドル」という設定は秀逸だ。

次に、設定は2008年からの4年間だが、アキの母・春子(小泉今日子)の若き日(演じるのは有村架純)を描くことで、視聴者は異なる時代の二つの青春物語を堪能できた。

80年代の音楽やファッションは知っている人には懐かしく、知らない人には新鮮で家族や友人とのコミュニケーションの材料となった。

また、大友良英による明るく元気でどこか懐かしいテーマ曲がドラマ全体を象徴している。

随所に挿入される伴奏曲は登場人物の心情を繊細に語っていた。「潮騒のメモリー」などの劇中歌がフィクションの世界から飛び出して街中に流れたのも画期的だった。

加えて、「じぇじぇじぇ!」をはじめ、名セリフの連発も人気の要因の一つだ。

1970~80年代のポップスを指して「分かるやつだけ、分かりゃいい」。奇策を繰り出すプロデューサーへの苦言「普通にやって、普通に売れるもん作りなさいよ」。

宮藤官九郎の脚本の特色は密度とテンポの物語展開だけではない。登場人物が発する言葉に熱があるのだ。

また、これほど多くの舞台俳優を起用した朝ドラはなかっただろう。

渡辺えり、木野花、松尾スズキは演出も手掛ける実力派だ。吹越満、荒川良々なども舞台人である。目の前の観客の心を捉える彼らの存在感が、物語を人間味あふれるものにしている。

ドラマづくりは脚本・演出・演者の総力戦だ。「あまちゃん」は上記のような要素を統合したことで、毎回1度は笑って泣けるまれな朝ドラになった。

今回、初めて見る人には驚きがあり、かつて見た人にはうれしい再発見がある。放送10周年記念にふさわしい、半年間にわたる視聴者プレゼントだ。

(毎日新聞 2023.04.22夕刊)


週刊新潮で、「大谷翔平選手」について解説

2023年04月23日 | メディアでのコメント・論評

 

「日テレ」がすがる

神様仏様「大谷翔平様」

 

今年、開局70年を迎える日本テレビ(東京・港区汐留)が危機感を募らせている。なんと、12年連続で死守してきた視聴率3冠の王座から陥落したというのだ。そこで逆襲の足掛かりにと大枚を叩(はた)き手に入れたのが、あのヒーローの“動く姿”なのだという。

米大リーグ、エンゼルス・大谷翔平(28)の快進撃が止まらない。4月10日、ブルージェイズ戦では菊池雄星(31)から3号ホームランを放ち、投げても今月12日、2勝目を挙げるなど、投打ともに好調である。

そんなスター選手のおかげで今、沸きに沸いているのがテレビ朝日だ。WBCの決勝中継で平均世帯視聴率42.4%、個人でも24.3%をたたき出している。

「テレ朝はこうしたWBCによる数字の底上げもあり、2022年度(22年4月4日~23年4月2日)の平均視聴率で開局以来初となる世帯視聴率3冠を達成したのです」(放送関係者)

大谷の動画を使えなかった日テレ

すなわち、全日(午前6時~翌日午前0時)、ゴールデンタイム(午後7時~10時)、プライムタイム(午後7時~11時)の時間帯すべてで首位を取ったというのだ。

「個人視聴率でも全日とプライムタイムで2冠を獲得し、その結果、日テレが12年間守り抜いてきた個人視聴率3冠の座を奪取。テレ朝社内はお祭り騒ぎの状態で、スタッフらに社食を数日間、無料で開放したくらいです」

そのテレ朝と対照的に、しらけたムードが漂っているのが日テレだ。

「なにしろWBCの中継どころか、これまでは動く大谷もニュース素材として使えなかったのですから」

そうボヤくのはさる日テレ関係者である。

「そもそも17年前、WBC第1回大会の開催時に主催の読売新聞からWBC放映権獲得の打診があったにもかかわらず、断ってしまったのです。日テレは他局に比べて制作費を低く抑える傾向にあって、メジャーで大谷が活躍する動画の使用権も持っていませんでした」

10億円

それが、コトここに至り方針の大転換があったという。

「大谷の動画すら流せないのだから、情報番組などでもテレ朝の後塵を拝するのは当たり前と反省した。そこでようやく、メジャーに関する動画をこの4月から使用できる権利を取得し、動く大谷を使えるようになったのです」(同)

その取得のためには、

「10億円の巨費が投じられたとささやかれています」

メディア文化評論家の碓井広義氏に感想を聞くと、

「現代の日本で大谷選手ほど幅広い層にアピールできるスターはいません。その一挙手一投足が、コロナや経済不況で閉塞感に包まれた日本社会を明るく照らすようです。もはや、神々しささえおぼえます。国文学者の折口信夫が言った“稀人(まれびと)”、つまりは異界から現れた神様にも似た存在になったと言っても過言ではないでしょう」

だからもちろん、日テレも大谷に注ぐ視線は限りなく熱い。

「ゆくゆくは大谷にバラエティー番組のゲストとして出演してもらいたい。現在、そのための交渉チャンネルを探っているところです」(前出・日テレ関係者)

今や神様仏様と崇められる人気者は本職のみならず、視聴率回復の起爆剤という重責をも担わされてしまっている。

(週刊新潮  2023年4月20日号)

 

 


週刊ポストで、女性アナ「夜の顔」についてコメント

2023年04月22日 | メディアでのコメント・論評

和久田麻由子アナ

 

テレビウォッチャー10人が選ぶ、

女性アナ「夜の顔」ランキング

 

テレビ各局の4月改編で番組ラインナップが一新。各局の「朝・昼・夜の顔」となる女性アナウンサーにも変化が生まれた。

そこで、テレビをウォッチする10人の識者に、各局の「夜の顔」について、ランク付けしてもらった。

【投票した人】 安彦拓郎(芸能記者)、上杉純也(女性アナに詳しいライター)、碓井広義(メディア文化評論家)、木村隆志(コラムニスト)、鎮目博道(テレビプロデューサー)、島本拓(女性アナに詳しいライター)、松本佳子(芸能リポーター)、丸山大次郎(女子アナウオッチャー)、三杉武(芸能評論家)、山田美保子(放送作家)の各氏。

各識者が順位を付けて投票。ポイントは1位が10点、2位が9点、3位が8点、4位が7点、5位が6点とする。「点数」の項目はその合計点を示している。

 

「夜の顔レース」を制したのは約1年間の産休から復帰した絶対エース、『ニュース7』(NHK)の和久田麻由子アナ(34)だ。

芸能評論家の三杉武氏が語る。

「復帰を待ち望んでいたファンは多いでしょう。気品漂う凜とした佇まい、ハツラツとした笑顔。ブランクを感じさせない完璧な原稿読みを見ると、やっぱり和久田アナがナンバーワンですね」  

和久田アナについては、碓井氏もべた褒めだ。

「『知的な美しさ』に『包容力』、加えて『把握力』と抜群の『アナウンス力』も兼ね備えた最強女性アナだと思う」

『WBS』(テレビ東京系)の大江麻理子アナ(44)が彼女に肉薄する。

「経済などの難しい話を柔らかく伝える能力は抜きん出ている。大江アナのインタビューを受ける男性経営者たちはみんな嬉しそう(笑)」(松本氏)

「堅いニュースをしっかり伝えつつも、かつて『モヤモヤさまぁ?ず』で見せてくれた愛すべき天然ぶりは健在」(碓井氏)

「経済ニュースは男性キャスターという概念を変えた」(鎮目氏)  

3位につけたのは『news zero』(日本テレビ系)の有働由美子アナ(54)。

木村氏が語る。

「ジャーナリストとして、率先して現場取材をこなす真摯な姿が視聴者からの信頼を得ており、わかりやすいコメント力も抜群。人間味溢れる素の表情は好感度大」  

レースはまだ始まったばかり。新たな顔が出てくるか。

(週刊ポスト 2023年4月28日号)


週刊ポストで、女性アナ「昼の顔」についてコメント

2023年04月21日 | メディアでのコメント・論評

TBS 江藤愛アナ

 

テレビウォッチャー10人が選ぶ、

女性アナ「昼の顔」ランキング 

 

テレビ各局の4月改編で番組ラインナップが一新。各局の「朝・昼・夜の顔」となる女性アナウンサーにも変化が生まれた。そこで、テレビをウォッチする10人の識者に、各局の「昼の顔」について、ランク付けしてもらった。

【投票した人】

安彦拓郎(芸能記者)、上杉純也(女性アナに詳しいライター)、碓井広義(メディア文化評論家)、木村隆志(コラムニスト)、鎮目博道(テレビプロデューサー)、島本拓(女性アナに詳しいライター)、松本佳子(芸能リポーター)、丸山大次郎(女子アナウオッチャー)、三杉武(芸能評論家)、山田美保子(放送作家)の各氏。

各識者が順位を付けて投票。ポイントは1位が10点、2位が9点、3位が8点、4位が7点、5位が6点とする。「点数」の項目はその合計点を示している。

 

「昼の顔」では、『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)の大下容子アナ(52)が多くの識者から支持され1位となった。元テレ朝局員で大下アナの1年先輩だった鎮目氏が賛辞を贈る。

「自民党の丸川珠代議員は彼女の同期でずっと比べられていた。“華がなくて地味”と言われていましたが、努力一筋で地道に腕を磨き、いまやテレ朝になくてはならない存在。局アナが冠番組を持つのはあり得ないことです。日本アナウンサー界の宝と言いたい」

木村氏も大下アナへの賛辞を惜しまない。

「冠番組でもお局感は一切ない。視聴者に寄り添った素朴な疑問を提起する姿は好感度が高い」(木村氏)

2位につけたのは『ひるおび』(TBS系)で磐石の人気を誇る江藤愛アナ(37)。安彦氏が話す。

「愛嬌ある笑顔や声、控えめな姿勢、絶妙なテンポ、繊細なコメントなどすべてが一流」

この他にも、

「水卜麻美アナが『動』なら江藤アナは『静』。番組の土台を支える名脇役です」(丸山氏)

「MCとゲスト、スタジオと視聴者など、場を繋ぐ能力がピカイチ。常識を踏まえながらのユーモアセンスも抜群で、番組に『温かみ』を生み出している存在」(碓井氏)

と、高く評価されている。

点数では2人に水をあけられたものの、識者たちから「フジの若手ホープ」と期待されるのが、『ぽかぽか』(フジテレビ系)の渡邊渚アナ(26)だ。木村氏はこう語る。

「親しみやすいキャラクターで女性からも敬遠されることが少ない。SNSで日々アップされる番組衣装の紹介も評判です。低迷するフジテレビ復活の起爆剤になり得る逸材だと見ています」

一方、山田氏は、「スタイル抜群でチャーミング。学生時代から芸能事務所に所属していただけあって、安定感抜群」とコメント。3位にランクインした。

(週刊ポスト 2023年4月28日号)


“普通の女性”を演じられる奈緒だからこそ「あなたがしてくれなくても」は切実感に満ちている

2023年04月20日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「あなたがしてくれなくても」

”普通の女性”を

自然に演じられる奈緒だからこそ、

切実感に満ちている

 

これはまた困ったドラマが登場したものだ。「あなたがしてくれなくても」(フジテレビ系)である。何しろテーマが「夫婦のセックスレス」であり、「不倫恋愛」の要素もあるのだ。

夫婦で見るには、ちょっと気まずい。できれば見ていることも知られたくない。といった具合に、見る側をザワつかせるのも制作側の狙いだろう。

主人公は建設会社で働く、32歳の吉野みち(奈緒)だ。

夫の陽一(永山瑛太)はカフェの雇われ店長。夫婦仲は悪くないが、セックスレスが2年続いている。みちは話題にするのを避けていたが思わず口にしてしまう。

際どいセリフがポンポン飛び出す。

「夫とのセックスが懐かしくなったら、それはレスだ」「ただしたいわけじゃない、私は陽ちゃんとしたいんだ」「それって、もうしないってこと?」などなど。

演じているのが「普通の女性」を自然に演じられる奈緒だからこそ、切実感に満ちている。

加えて、みちが上司の新名誠(岩田剛典)に悩みを打ち明けると、彼も妻(田中みな実)とのセックスレスを告白。2人は急接近していく。

とはいえ、いきなりドロドロの不倫劇になるとは思えない。陽一との関係も、新名との先行きも、たっぷりの「もどかしさ」とともに描かれていくことになりそうだ。

「夫婦のタブー」への挑戦は、新たな「大人の恋愛ドラマ」の開拓でもある。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2023.04.19)


週刊ポストで、女性アナ「朝の顔」についてコメント

2023年04月19日 | メディアでのコメント・論評

鈴木菜穂子アナ

 

テレビウォッチャー10人が選ぶ、

女性アナ「朝の顔」ランキング 

 

テレビ各局の4月改編で番組ラインナップが一新。各局の「朝・昼・夜の顔」となる女性アナウンサーの顔ぶれも変わった。そこで、テレビをウォッチする10人の識者に、各局の「朝の顔」について、ランク付けしてもらった。

【投票した人】
安彦拓郎(芸能記者)、上杉純也(女性アナに詳しいライター)、碓井広義(メディア文化評論家)、木村隆志(コラムニスト)、鎮目博道(テレビプロデューサー)、島本拓(女性アナに詳しいライター)、松本佳子(芸能リポーター)、丸山大次郎(女子アナウオッチャー)、三杉武(芸能評論家)、山田美保子(放送作家)の各氏。

各識者が順位を付けて投票。ポイントは1位が10点、2位が9点、3位が8点、4位が7点、5位が6点とする。「点数」の項目はその合計点を示している。

 

女性アナの「朝の顔」、余裕の1位となったのは『ZIP!』(日本テレビ系)の水卜麻美アナ(36)。島本氏が言う。

「1時間拡大して3時間超の生放送になりましたが、安定感は変わらない。俳優・中村倫也さん(36)との結婚報告も、スタジオに中村さんがサプライズ出演してのろけ合う姿が彼女らしくて、むしろ好感度が上がった」

松本氏も「コメントが臨機応変で頭が切れる」とその実力を高く評価する。さらに、

「朝に相応しい明るさ、朗らかさ、安定したアナウンス力、気遣い、日テレ愛……、こんな完璧なアナウンサーはいない」(山田氏)

「多方面からの祝福コメントを見れば日テレの顔というよりも、もはや女子アナの顔にふさわしい」(木村氏)

といったコメントも寄せられた。

水卜アナに食らいつくのは、『あさイチ』(NHK)の鈴木奈穂子アナ(41)。

彼女が番組で見せる“素顔”に好感を持つファンは多い。碓井氏が語る。

「感情表現が豊かで気取らない。地続きの場所にいてくれる親近感はピカイチ。朝、彼女の顔を見ると“今日も元気にいこう!”と前向きになる」

上杉氏はこう語る。

「朝ドラ受けでは視聴者目線で語ることができるので、視聴者からの好感度が高い。意外と天然な部分があるのもなおよし」

若手の健闘も目立った。丸山氏は『モーニングショー』(テレビ朝日系)の森山みなみアナ(24)を推す。

「抜群のスタイルに目を引かれる男性も多いでしょうが、上品で清潔感あるルックスとフレッシュな笑顔は情報番組アシスタントとして得難い素質」

『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)の斎藤ちはるアナ(26)、『ラヴィット!』(TBS系)の田村真子アナ(27)に期待を寄せるのは放送作家の山田美保子氏。

「斎藤アナは自分の言葉でトレンドを語ることができるし、元乃木坂46で圧倒的に華がある。田村アナは飾らない性格がアナウンスやリアクションに現われていて最高です」

(週刊ポスト 2023年4月28日号)


【気まぐれ写真館】 等身大(?)のアルクマ

2023年04月18日 | 気まぐれ写真館

 

2023.04.16 長野駅


【新刊書評】2022年12月後期の書評から 

2023年04月17日 | 書評した本たち

 

 

【新刊書評2022】

週刊新潮に寄稿した

2022年12月後期の書評から

 

ウディ・アレン:著、金原瑞人・中西史子:訳

『唐突ながら~ウディ・アレン自伝』

河出書房新社 3630円

過去の児童性的虐待疑惑が再燃し、出版中止に追い込まれた経緯を持つ自伝だ。本書では女優ミア・ファローとの泥沼の闘いについても率直に語っている。同時に、本線である映画作りと作品をめぐる回想が実に興味深い。『アニー・ホール』や『マンハッタン』のどこが気に入らないのか。キャスティングはどうしているのか。なぜリハーサルをしないのか。ウディ・アレン流映画術は模倣不能だ。(2022.11.20発行)

 

杉山恒太郎『広告の仕事~広告と社会、希望について』

光文社新書 968円

著者は「ピッカピカの一年生」「セブンイレブンいい気分」など、広告史に残る名CMを手がけてきたクリエイターだ。半世紀に及ぶキャリアを踏まえ、広告の過去・現在・未来を語っている。人に新たな気づきを与え、考え方や態度を変容する技術である広告。「説得」と「共感」の違い。さらに、専門家が知識やスキルを無償提供するボランティア活動「プロボノ」と、広告の関係も明かしていく。(2022.11.30発行)

 

岡田五知信『起死回生 東スポ餃子の奇跡』

エムディエヌコーポレーション 1650円

苦境が伝えられる新聞業界。「東スポ」こと東京スポーツも例外ではない。売り上げは最盛時の半分以下だ。そんな東スポが昨年秋、食品業界に参入した。何と「東スポ餃子」の発売だ。なぜ、スポーツ紙が餃子を? 本書は社内外を取材したノンフィクションである。「日付以外、正確な記事はない」と言われた、愛すべきキャラクターの東スポ。生き残りを賭けた大勝負は、新たな「東スポ伝説」だ。(2022.12.01発行)

 

佐賀 旭『虚ろな革命家たち~連合赤軍 森恒夫の足跡をたどって』

集英社 2200円

1972年の連合赤軍事件から半世紀が過ぎた。しかし、リーダーだった28歳の森恒夫がなぜ革命を志し、なぜ同志たちを殺し、なぜ自死したのかは明らかになっていない。30歳の著者は予断を排しながら、森を知る人たちの証言に耳を傾ける。徐々に見えてくる「党派人間」としての森。メンバーに対する不安と恐怖からの「総括」。第20回開高健ノンフィクション賞を最年少で受賞した意欲作である。(2022.11.30発行)

 

村上春樹『更に、古くて素敵なクラシック・レコードたち』

文藝春秋 2750円

昨年上梓した、同じ趣向の本の続編だ。今回もまた所蔵レコードのジャケット写真と共に、104曲について語っている。「心に残る素敵な曲だ」というモーツァルトのピアノ協奏曲第24番。「驚嘆に値する」のはガーシュインの歌劇「ボギーとベス」だ。中には「期待して買ったんだけど、残念」なレコードがあるのもご愛敬。個人的な報告書(レポート)のようなものだからこそ、本音の感想が楽しい。(2022.12.20発行)

 

黒木 亮『兜町(しま)の男~清水一行と日本経済の80年』

毎日新聞出版 2420円

清水一行が『小説兜町』でデビューしたのは1966年。35歳だった。2010年に79歳で亡くなるまで、経済小説を中心に膨大な数の作品を残している。本書は清水の生涯と日本経済の動きを重ねたノンフィクションだ。敗戦後の共産主義への傾倒。週刊誌のフリーライター時代。そして流行作家としての活躍。創作の裏側はもちろん、時代の流れとの関係性を探った本書は、最良の読書案内にもなっている。(2022.12.20発行)

 

 

 


【新刊書評】2022年12月前期の書評から

2023年04月16日 | 書評した本たち

 

 

【新刊書評2022】

週刊新潮に寄稿した

2022年12月前期の書評から

 

山川宗玄『禅の知恵に学ぶ』

NHK出版 1650円

著者は禅の修行道場で師家(しけ)と呼ばれる指導者を務める僧侶。僧堂での日常生活の中にある「知恵」を公開すると同時に、仏教が表明する「智慧(ちえ)」に関心を持ってもらおうというのが本書だ。「一寸坐れば一寸の仏」という座禅・参禅。体を動かす修行としての作務・勤行。さらに「いのちをいただく」典座・托鉢がある。自己へ執着から離れ、「生かされて生きる」ことを伝えている。(2022.10.30発行)

 

佐高 信『統一教会と改憲・自民党』

作品社 2200円

本書は大きく3つのブロックで構成されている。まず統一教会と自民党との関係だ。家父長制を守る統一教会と自民党の改憲案とは重なっていると言い、両者の「構造癒着」を指摘する。次が橋下徹や竹中平蔵など自公政権を裏支えする面々に対する痛烈な批判。そして昨年1月から今年8月までの社会の動きを精査した時事批評と続く。何が問題なのか。なぜ危ういのか。核心を衝くペンが冴える。(2022.11.20発行)

 

乗杉 純『黒澤明の弁護士』

草思社 1870円

黒澤明監督とその作品に関しては、膨大な数の評論、研究書、そして証言集などが出版されてきた。しかし本書はそのどれにも似ていない。日仏合作の『乱』における、出資条件などの交渉は難渋を極めた。また、名作『七人の侍』の再映画化権は勝手に売り払われていた。信じられない事態だが、著者はいかにして巨匠と作品を守ったのか。弁護士として黒澤明に関わった著者にしか書けない一冊だ。(2022.11.23発行)

 

大島 新『ドキュメンタリーの舞台裏』

文藝春秋 1650円

かつては地味な存在だったドキュメンタリー。最近では劇場で公開される作品も多く、注目を集める映像ジャンルとなっている。本書は『なぜ君は総理大臣になれないのか』などを手掛けた著者の回想記だ。フジテレビ時代の煩悶。フリーランスとなってからの闘い。「一歩引いた視点」で対象を見つめ、自身の解釈で切り取っていく、ドキュメンタリーの醍醐味。現場発の実践的制作論でもある。(2022.11.30発行)

 

沢野ひとし『ジジイの台所(だいどこ)』

集英社 1760円

料理ではなく、台所が主役の本は珍しい。しかも著者は『本の雑誌』の表紙などで知られるイラストレーター。趣味系のエッセイかと思いきや、かなり実用的だ。「生きる手がかりは、健康イコール台所と結する」と言い、台所を職場や書斎に見立てる。鍋料理やロールキャベツの段取りも登場するが、「とりあえず」でいいと柔軟だ。まずは台所に立ち、徐々に自分の居場所にしていけばいいと知る。(2022.11.30発行)

 

佐々木俊尚『Web3とメタバースは人間を自由にするか』

KADOKAWA 1650円

ファイスブック(現メタ・プラットフォームズ)、アマゾン、グーグルといったネット系の巨大企業は「ビッグテック」と呼ばれる。では、ビッグテックの支配は私たちの自由を奪っているのか。また、それは幸福なことなのか。著者は最新技術が暮らしに及ぼす影響を探っていく。見えてくるのはテックが単なる独裁者ではなく、利用者が喜んで隷従する現実だ。新たな「支配構造」がそこにある。(2022.12.02発行)