碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

今週の「読んで書いた本」 2011.10.31

2011年10月31日 | 書評した本たち

内田樹さんの新著『うほほいシネクラブ~街場の映画論』(文春新書)が出た。

さっそく入手。

まあ、よくぞこれだけ観たものだ。書いたものだ。

新書なのに、ずっしりと重く、厚い。

値段だって、新書なのに、税込で1050円!

もう少し書き足して単行本でも十分だ(笑)。

でも、読みだすと止まらない。

自分が観てきた映画に、思わぬ角度からスポットが当たり、「ふーん、そうなんだあ」と新たな知見が得られる快感。

仕方ないか、1050円。


ということで、今週の「読んで(書評を)書いた本」は、以下の通りです。

小林信彦 『流される』 文藝春秋
 
稲葉圭昭 『恥さらし~北海道警・悪徳刑事の告白』 講談社

大谷昭宏・藤井誠二 
『権力にダマされないための事件ニュースの見方』 河出書房新社

長嶋 有 『安全な妄想』 平凡社

山野 勝 『江戸と東京の坂』 日本文芸社



* 上記の本の書評は、発売中の『週刊新潮』(11月3日号)に
  掲載されています。



千歳で途中下車して、「柳ばし」へ

2011年10月30日 | 日々雑感

札幌でのすべての予定を終えて、帰京。

でも、新千歳空港へと直行せず、千歳駅で途中下車した。

「柳ばし」で食事だ。

本日、お母さんが用意してくださった特別メニューは、たくさんの野菜と低カロリー・ハンバーグだった。

ヘルシーにして美味なり。

ご飯茶碗は、私が千歳科学技術大学に単身赴任していた頃に使わせてもらっていた、小ぶりな「ドラえもん」柄。

お茶碗キープだ(笑)

今月も、お母さん・お父さんと雑談をしながら食事ができたことに感謝です。

ごちそうさまでした。


劇場スクリーンで『ブラック・サンデー』

2011年10月30日 | 映画・ビデオ・映像

札幌シネマフロンティアで、映画『ブラック・サンデー』を観た。

愛好している「午前10時の映画祭」の1本だ。


ベイルートのテロ組織“黒い9月”は、スーパーボウルに沸く巨大スタジアムの上空で、巨大飛行船を爆破するという無差別テを計画。米大統領を含む8万人の大観衆の命を奪おうとする。そのことを知ったイスラエル特殊部隊カバコフ少佐(ロバート・ショー)たちが犯人グループを追跡するが、飛行船はついにスタジアムに突っ込んでいく…


監督はジョン・フランケンハイマー。

テロを実行しようとする元米軍パイロットにブルース・ダーン。“黒い9月”の女性テロリストはマルト・ケラーだ。

これは1977年の作品だが、当時、日本では公開されなかった。

上映予定の映画館を爆破するという脅迫があったため、公開一週間前、突然の上映中止が決まったのだ。

そういうわけで、後にビデオにはなったが、スクリーンで観るのは初めて。

「午前10時の映画祭」に感謝である。


ブルース・ダーンはベトナムで戦っていて撃墜され、捕虜となった兵士だ。

ひどい体験を経て帰国してみると、今度は妻や周囲の人間から疎外されていく。

確かスタローンの「ランボー」もベトナム帰りで、やはり社会から冷たい目で見られていたっけ。

全体はドキュメンタリー・タッチで、緊迫感が持続している。

一番の見せ場は、やはり飛行船がスタジアムへと向かうクライマックスだ。

どこかのんびりしたイメージの飛行船。

動きも緩慢で、音も静かなこの大きな飛行物体が大量殺戮兵器となる不気味さ。

船体に描かれた、タイヤメーカー「グッドイヤー」のロゴが忘れられなくなる。

「ジョーズ」が75年で、「ブラック・サンデー」がその2年後だから、ロバート・ショーは50歳だ。

それにしては、この映画の中で、まあ、よく走ること。

でも、公開の翌年、心臓発作を起こし、51歳で亡くなってしまった。

それから、もう30数年が経っている。

しかし、映画の背景となっていたパレスチナ問題は、今も深刻なままだ。


札幌の3局を回る

2011年10月29日 | テレビ・ラジオ・メディア

まずは、HTB北海道テレビ「イチオシ!モーンング」。

コメントは、被災地の自治体によるデータ放送についてなど。

MCの石澤綾子アナと谷口直樹アナです。




エンタメ情報はオクラホマの河野真也さん。




今日も元気な木村愛里さんはお天気情報を担当している。




HTBからUHB北海道文化放送へ。




「のりゆきトークDE北海道」のお料理指南役、キッチンサポーターの青山則靖さん。

今日のテーマは八宝菜でした。

試食あり。

青山さんの作るものは本当においしいのだ。




UHBから、STV札幌テレビへと移動。



報道部デスクの佐々木律さんにお会いして、放送専門誌「GALAC」のためのインタビュー取材を行う。


終わって、札幌駅近くのホテルでひと休み。




再び、HTBへ。

地下鉄・南平岸駅から坂道を上がっていくと、「水曜どうでしょう」のファンには聖地といわれる公園がある。

でも、たいてい誰もいなんですねえ、これが(笑)。








「オンちゃん」と巨大な谷口さん。



「イチオシ!」では、日ハムVS巨人のドラフト騒動等に関してコメント。



ヒロ(福地)さんと共にMCを務めている森さやかアナ。




生放送が終わって、夕食はいつもの「まる山」で、いつもの「鴨せいろ」。

ほんと、まったく飽きない(笑)。




あとはホテルの部屋に戻って、書評の本読み。

こうして、秋の札幌の夜は、無事更けていくのであります。




秋まっ盛りの札幌へ

2011年10月28日 | テレビ・ラジオ・メディア

夕方まで授業をしてから羽田、そして札幌へ。

いつもの番組コメンテーターです。

夜、札幌に到着してみると、やはり涼しい(笑)。

朝の最低気温は5度らしい。

今回も、まだ暗い4時起き(笑)で、頑張ります。




<28日(金)の番組出演>

6時25分~
HTB「イチオシ!モーニング」

9時55分~
UHB「のりゆきのトークDE北海道」

15時45分~
HTB「イチオシ!」

クドカン脚本『11人もいる!』は、この秋のピカイチ

2011年10月27日 | メディアでのコメント・論評

『週刊新潮』から取材を受け、テレ朝の新ドラマ『11人もいる!』について話をさせていただいた。

最新号にその記事が掲載されている。

いや、さすが宮藤官九郎さん。

絶妙の脚本。

そして秀逸なキャスティング(笑)。

ワタクシ的には、この秋のピカイチ、超おススメの1本となっています。


「クドカン」 マジックで甦った
幽霊「広末涼子」


かつてのトップアイドルも結婚離婚再婚で2人の子持ちの広末涼子(31)、天才子役と呼ばれた頃もある神木隆之介(18)、芦田愛菜の出現にすっかり霞んだ“こども店長”加藤清史郎(10)。

他にも光浦靖子、田辺誠一と、ゴールデンタイムではとても並び得ぬ役者たち。そんな終わった感が満載のドラマ『11人もいる!』(テレ朝・夜11時15分~)が10月21日よりスタートした。

なにやらタイトルまで萩尾望都の名作マンガ『11人いる!』にそっくりでバッタモン感すら漂っているのだが、この評判がいい。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)も、
「この秋、ピカイチといっていい。大家族ドラマの原点『ただいま11人』(64年・TBS)をも彷彿させていますが、完全に独自のものとしているところは、さすがクドカン」


脚本は宮藤官九郎。テーマは大家族だが、8人の子を持つ貧乏な10人家族に、死んだ先妻(広末)が幽霊となって現れて……。

「末っ子の清史郎君だけが後妻(光浦)の子で、残りは広末の産んだ子。しかも元ストリッパーという役どころ。この浮世離れした存在が、広末を自然に見せている。こんな使い方があったのかと感心した」(同)

こども店長に向かって“おっぱい触らせてあげよっか”なんていう広末を想像できただろうか。

「広末に綺麗だった過去を懐かしがらせたり、他の役者もみんな見直されるドラマだと思いますよ。大家族モノとはいえ、押しつけがましい家族愛ではなく、コメディだけど、ただ笑わせるだけでもない。自然な家族のよさが伝わってくる」(同)

深夜ながら視聴率は11.4%。幽霊で甦った広末。

(週刊新潮 2011.11.03号)




『週刊プレイボーイ』で、NHK「受信料問題」についてコメント

2011年10月26日 | メディアでのコメント・論評

NHKの、いわゆる「ネット受信料」問題について、『週刊プレイボーイ』最新号が特集記事を掲載している。

この中で、コメントしております。


NHKが進める
「ワンセグ」「インターネット」
受信料徴収の傲慢


ワンセグからの取り立ては正当か!?

NHK受信料拡大化が止まらない。知らない人には冗談にしか聞こえないかもしれないが、現在、NHKの受信料徴収対象となる「受信装置」はテレビだけではない。ワンセグケータイやテレビ視聴可能なカーナビ、ワンセグ受信アダプタをつけたニンテンドーDSにも受信料は発生するのである。

しかも支払う受信料はテレビと一律同額! つまり、画質最高でコンセントから電源が供給される限り視聴可能な大画面のハイビジョンテレビでも、画質の安定しない小型画面で、バッテリーの都合上、最長でも数時間しか持たないワンセグケータイでも、“義務”として同じ月額の受信料を支払わなければならないのだ。

でも、そもそもワンセグケータイって通信機器で受信装置ではないと思うんだけど……。NHKさん、そこんとこどーなの?
「NHKの放送を受信できる携帯電話やカーナビは、放送法第64条第1項で規定されている『協会の放送を受信することのできる受信設備』であり、受信契約対象となります」(NHK広報局)

おっと、一点の曇りもない明確なご回答ありがとうございます。つまり通信機器でもテレビが見られるなら受信設備であり、それは法律で認められているもんねー、ってなとこでございますね。

一方、同様の疑問を放送事業を管轄する総務省にも投げてみた。
「そのお気持ちは理解できますが、放送法上、NHKの受信料はどのような機器で視聴しようが一律に支払うべきもの。受信料は(コンテンツの対価ではなく)公共放送を社会の中で維持していく負担金という位置付けですから、いかなる受信装置でも基本は“ワリカン”です」(総務省・放送政策課)

どうやらNHKも総務省も「なにか問題でも?」というスタンスのよう。たしかに放送法第64条には「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」とあるので、そのとおりだとは思う。しかし、このような但し書きがあることも見落としてはならない。

「ただし放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない」

これって非常に微妙だ。確かにワンセグケータイもカーナビもテレビを見られるけど、ここで言うところの「放送の受信を目的としない受信装置」にあたるのでは? ナットクしがたいところも多々あるが、とにかく契約対象機器が“拡大解釈”されているため、「ウチ、テレビないから」だけでは逃げられなくなっているってわけだ。

ネットユーザーも受信料徴収の対象に!?

そんななか、NHK 側はさらなる拡大政策を進めているという。今年7月、松本正之NHK会長の諮問機関「NHK受信料制度等専門調査会」が番組のインターネット同時配信の必要性を認め、「テレビを持たず、パソコンなどの通信端末のみで受信する人からも受信料を徴収することが望ましい」という、一歩も二歩も踏み出した報告書を同会長に提出したのである。

つまり、将来的にはインターネットでもNHKの放送を流して、ネット利用者からも受信料を支払わせようぜ、ってわけ。ワンセグの次はネットって……マジかよ、NHK!!

放送業界に詳しい上智大学の碓井広義教授は、こう語る。

「ある意味、これは必然的な流れ。NHKは早くからインターネット上でオンデマンド配信を始め、ユーザーや民放各社の反応を伺いながら続けてきました。

そんな折、3.11の大震災が起きた。同調査会でも言及されておりますが、あのとき、従来の放送ではカバーできない部分をネットは補完し、その力を改めて示しました。あれが大きな転換期となったわけです。

また、公共放送に課せられている、『あまねく放送を届ける義務』を考えると、これからの時代、インターネットでの放送は避けて通れないですからね」


受信料は払うべきもの、それに異論はない。多くの国民に支えられ、より公共性の高い放送をするという大義名分も十分理解できる。さらにネットでNHKの本放送を流そうというのも便利だろうし、そうなるべきだとも思う。ただ、仮にそこに従来どおりの受信料制度を当てはめようってんなら、その前にやるべきことがあるんじゃねーの?と言いたくもなるのだ。

まずNHKがやるべきこととは!?
「NHKは無駄の多い組織。国民から無条件で受信料をいただいているのだから、もっとコストカットすべき」舌鋒鋭くそう語るのは、2005年にNHKの不正経理を内部告発した、元職員の立花孝志氏だ。

「特に職員の給与、福利厚生費は削減できる。ここ数年、タクシーチケットや飲食費に関しては厳しくなっていると聞いていますが、それでも職員の給料はまだまだ高い。自分の場合、高卒ですが30歳の時点で年収が1千万円を超えていました。いまだに平均年収は1千万円超だし、組合も強いので、一部のエリートだけでなく仕事をやっているのかやっていないのかわからないような職員でも、十分すぎる報酬をもらっているのが現状なんです」

奇しくも先日、国会答弁でNHK職員のうらやましすぎる実態が暴かれたばかり。9月28日、参院予算委員会の質疑で民主党の桜井充議員がNHK職員の平均報酬を1041万円と紹介(10年度)。さらに平均報酬658万円(同年度)の国家公務員よりNHK職員のほうが健康保険料率が低いと指摘した上で「(NHK職員は)こんなに恵まれている!」と言い切ったのだ。

立花氏はこう続ける。
「ほかにやるべきなのは公平徴収の徹底。それをやらずして拡大化というのはおかしな話です。受信料は所得の多寡に関わらず、均一料金をいただくという公平な制度と謳われています。それは当然、個人に対しても事業所に対しても同じでなければならない。しかし、それがまったく守られていない。平成22年度の時点で徴収率は74パーセントと公表していますが、これは大ウソ。実際は50パーセント前後だろうと私は見ています」

立花氏の言うように仮にガチ徴収率が5割程度なら、公平性の担保が原則の受信料制度はそもそも成り立たない。NHKがそこまで数字をゴマかすとはにわかには信じがたいが、実は立花氏以外にも過去に総務省の「公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会」がNHKの算出している徴収率について問題があると指摘しているのである(ちなみに平成19年3月末にNHKが算出した徴収率70.58パーセントに対して、同研究会は最高で68.31パーセント、最低で65.07パーセントと推計)。

また、本誌編集部の手元にある「NHK提出資料」と書かれた内部文書でも、算出方法が怪しい。この文書によると、平成18年1月末で「ホテル・旅館」の契約対象テレビ設置台数は79万台とされている。しかし、日本全国の宿泊施設はホテル、旅館あわせて6万軒、部屋数は160万室に上る(「ニッセイ基礎研究所」09年調べ)。調査した年が違うので正確な比較はできないが、日本全国160万室のうちテレビが置かれている部屋が半分以下というのは、かなり少ない見立てだ。

「とにかく、事業所の契約対象数を過小報告して “母数”を低く見積もることで全体の徴収率を上げているんです。みんな払ってるから払いましょうね、と。こういうウソを平気でつく組織に、受信料なんて払えますか?」(同・立花氏)

NHKがこれらの数字を故意に操作していたならば、それは当然許されないことだが……。

いずれにせよ、高すぎる給与、疑わしき公平性など突っ込みどころ満載のまま、新たな財源を模索している形のNHK。

国民の冷たい視線を取っ払うには、現行の受信料制度を撤廃して完全スクランブル化にし、受信料を払った人だけ見られるという新受信料体系で出直すしかないのではないかと思うのだが……。

「それはそれで、問題が大きい。NHK側が常々アナウンスしているように、今の制度があるから質の高い番組が作れているのも事実。例えば1本の番組を作るために1年や2年費やすなんてのも、NHKではよくあること。よくも悪くもその“ゆとり”が民放各局との質の違いです」(前出・碓井教授)

昨今、民放番組の質の低下が叫ばれて久しい。皮肉にもここ数年のその体たらくで、NHKの重要性は相対的に高まっていたりする。

「そう考えると、少なくとも現状で受信料制度を止めるのは国民にとっても有益ではない。インターネットで放送するにしても、今までの受信料制度を転用するのではなく、日本の公共放送のあるべき姿、受信料制度の再定義を含めていろいろ議論してから慎重に進むべきでしょう」(同・碓井教授)


ワンセグでもなんでも一律同額徴収という、やや乱暴なことをしているNHK。ネット放送も結構なことだが、まずは受信料制度の見直しを含めて、より多くの国民が納得のいく公共放送のあり方を示してほしい。

(週刊プレイボーイ 2011.11.07号)







「怪物くん」の次は「妖怪人間ベム」ときた

2011年10月25日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載中の番組時評「TV 見るべきものは!!」。

今週は、日本テレビの新ドラマ「妖怪人間ベム」について書きました。


アニメの実写版は「もういいよ」と思った
「妖怪人間ベム」


まんまと当てた「怪物くん」の次は「妖怪人間ベム」ときた。昔のアニメを実写化した日本テレビの新ドラマである。

アニメ版の放送は1968年から翌年にかけて。何者かが人工的に人間を生みだそうとして失敗。ベム、ベラ、ベロの3人というか3体の妖怪人間が誕生した。

このアニメを流していたのはフジテレビで、同じ時期にTBSが放送していたのが「怪物くん」だ。つまり日テレは他局の〝遺産〟で次々と商売していることになる。

ヒットアニメを実写化するメリットはタイトルを含め視聴者になじみがあること。またVFXや特殊メイクで役者の演技力をカバーできることだろう。 

アニメは少年のベロが軸だったが、こちらはベム(亀梨和也)が主役である。

自分たちを迫害する人間への怒りを抱えながらも優しさを失っていないベム。亀梨はひたすら思い詰めたような表情で演じており、見ていて息苦しい。

人間嫌いの女性妖怪ベラ役の杏は「およしよ」といった〝姐(あね)さん言葉〟があまりに似合わない。

救いは「マルモのおきて」で人気になったベロ役の鈴木福(写真)の明るさだ。

過去の再利用も結構だが、モノ作りとしてはやはり寂しい。

この3人を揃えるならリメイクの妖怪物などではなく、現実社会と向き合う真っ当なドラマに挑戦してもよかったのではないか。

アニメの実写化はもういいよ。

(日刊ゲンダイ2011.10.24)

季節外れの「スター・ウオーズ」にはまる

2011年10月24日 | 映画・ビデオ・映像

いかん、いかん。

あれこれ締め切りを抱えているこの時期に、こんな買い物をしてはいかんのだ。

でも、入手しちゃったんですね、これが(笑)。

「スター・ウオーズ ザ・コンプリート・サーガ」である。




エピソードⅠからⅥまでのシリーズ全作に、特典ディスク3枚を加えた全9枚のブルーレイ。

どうしてこんなことになったのかと言えば、雑誌「ブルータス」が悪い(笑)。

「すべての世代に捧げるスター・ウオーズ特集」なんていうのを出すからだ。




これをパラパラと眺めるうち、つい発作的に全9枚を発注してしまった。

手元に届いちゃうと、「仕事が一区切りついたらね」という理性は吹き飛び、やはり見てしまう。見続けてしまう。

人間は、かくも弱いものなんですねえ。

でも、後悔しておりません(笑)。

今週の「読んで書いた本」 2011.10.23

2011年10月23日 | 書評した本たち

地下鉄・新宿三丁目駅で下車して、放送批評懇談会事務局へ。

ギャラクシー賞「報道活動」部門の上半期審査会だった。

往復の車中で読んでいたのは、横溝正史ミステリ大賞の<大賞>を受けた長沢樹さんの『消失グラデーション』。

夢中で読んでいて、あやうく乗り越しそうになりました。

ミステリを読むなら、こうでなくっちゃ。


今週の「読んで(書評を)書いた本」は、以下の通りです。

よく頑張ったなあ(笑)。


桐野夏生 『緑の毒』 角川書店 

馬場マコト 『花森安治の青春』 白水社

吉田修一 『平成猿蟹合戦図』 朝日新聞出版
 
正岡子規:著 天野祐吉:編 『笑う子規』 筑摩書房

矢吹申彦 『おとこ料理読本』 平凡社

川上弘美 『神様2011』 講談社

NHK取材班 『基地はなぜ沖縄に集中しているのか?』 NHK出版



・・・・吉田修一さんの『平成猿蟹合戦図』は、そのとぼけたタイトルからは想像できない(笑)、大胆な物語展開の長編小説です。

* 上記の本の書評は、発売中の『週刊新潮』(10月27日号)に
  掲載されています。



「広報映像セミナー」の一日

2011年10月22日 | テレビ・ラジオ・メディア

朝から、代々木公園に隣接する、国立オリンピック記念青少年総合センターへ。

終日、毎年この時期に行われている、日本広報協会主催の「広報映像セミナー」だった。




全国各地の自治体から、広報担当の皆さんが集まってくる。

割合で言えば、広報セクションに来てから、まだ時間がたっていない方々が多い。

いわば、それぞれの市町村で、これからの広報を担う大切な人材ということだ。

現在のテレビの状況にはじまり、広報番組の制作に関するあれこれについて話をさせていただいた。

最終的に私が伝えたかったことは、「プロデュース・マインド」をもって、仕事にあたってください、ということ。

そして、既成概念にとらわれず、少しずつでいいから何か新しいこと、何かトライをしてみてください、ということだ。

実習もあって、グループワークでの企画立案、プレゼンテーションも行われた。

中には体を張ったプレゼンもあり(笑)、皆さん実に熱心に、また楽しそうに取り組んでいた。

各地に戻った後、それぞれに頑張ってくれたら、とても嬉しい。












TBSの新番組「ヨンパラ」の実験

2011年10月21日 | テレビ・ラジオ・メディア

そうそう、忘れないうちに。

日曜深夜0時50分から、TBSの新番組「ヨンパラ」が始まった。

AKB48のユニット「Not yet(ノットイエット)」の初冠番組だ。

ちなみに、メンバーは大島優子、指原莉乃、北原里英 、横山由依の4人です。念のため。

TBSの説明では、「AKB48の人気ユニットNot yetの4人のメンバーが、その人気ゆえスケジュールが合わずに4人同時に揃えないのを完全に逆手にとり『じゃあ同じ時間に4人のいる4つの場所を中継でつないで、同じゲームでバトルさせちゃえッ!』というミラクルコンテンツ!」。

ポイントは、その「4つの場所を中継でつないで」の方法。

なんと、「スカイプ」なのだ。

おお、ついにスカイプで番組作りの時代になったのかあ、と感慨あり(笑)。

劇団ひとりがスタジオらしき場所にいて、あちこちの局の楽屋などにいる4人に、プチ無理難題の指示を出す。

サッシー(指原莉乃)が、いつも通りのマイペースで笑えます。

ただ、スカイプは使っているけど、生放送、生中継じゃない。

一度、ライブで見てみたいものだ。

とはいえ、画像の質はともかく、画面には常に4人が映っているわけで、彼女たちのファンには喜ばれる企画かもしれません。

実験としての面白さはあり、です。




「特番ウイーク」の馬鹿騒ぎが終わる

2011年10月20日 | 「東京新聞」に連載したコラム

『東京新聞』に連載しているコラム「言いたい放談」。

今回の掲載分では、先月下旬からずっと続いていた、テレビの「特番ウイーク」について書かせていただきました。


「特番ウイーク」うんざり

いつからこんなことになったのか。四月と十月の番組改編前後、何週間も続く「特番ウイーク」のことである。

もともとはドラマの“最終回つぶし”、“初回つぶし”だったはずだ。視聴者の関心が集まるその時に、裏で豪華な特番を放送してお客を散らそうとしたのだ。姑息な手段だが、最初は効果があった。

しかし当然、対抗策が打ち出される。少し早目に最終回を済ませ、同時に新ドラマの開始を一週遅らせたのだ。すると翌年、特番枠も増えていた。

その後はイタチごっこだ。結局、連続ドラマの回数は減っていき、現在のように特番だらけの日々が延々と続くようになった。

もちろん見る側にとってまさにスペシャルな内容なら許せる。しかし昨今の状況はどうだろう。

海外から買い付けた衝撃映像やら珍映像やらを並べたり、芸人の収入をネタに笑ってみたり。それが三~四時間も続くのだ。しかも連日各局横並びである。

作家の小林信彦さんは昭和三九年の東京オリンピック開催中、喧噪を嫌って東京から関西に避難していたそうだ。同様にとは言わないが、この数週間はテレビから避難したくなった。

そんな馬鹿騒ぎもようやく終わる。テレビが日常に戻るのだ。けれど、特番ウイークが終わっても、避難したまま帰ってこない視聴者もいるのではないか。テレビの自業自得とはいえ寂しい話である。

(東京新聞 2011.10.19)



来月、ギャラクシー賞「報道活動」シンポジウムを開催します

2011年10月19日 | テレビ・ラジオ・メディア

選奨委員長を務めさせていただいている、ギャラクシー賞「報道活動」部門。

その受賞作を、全国各地から集まってくださる制作者の皆さんと共に見て、語り合うシンポジウムを、今年も開催いたします。

11月19日(土)の午後、四谷の上智大学にて。

ぜひ、今からスケジュールに入れてください。


公開シンポジウム
ギャラクシー賞「報道活動」を見て、
制作者と語る会 2011


ギャラクシー賞「報道活動部門」とは、番組枠を越えたキャンペーン報道、複数局による報道、単体の番組では完結しないスクープ報道活動などを審査の対象としています。

日本を代表するこれらの報道活動は、全国各地で長期間にわたって放送されたものですが、放送エリア以外では、視聴する機会がほとんどありません。これらを一挙に上映することは、テレビ報道を考えるうえで欠かせないと思います。

また、報道活動に携わった放送局の担当者を招き、その活動を評価した選奨委員、報道活動に関心を寄せる視聴者・研究者などが一堂に会して、報道について議論することは、報道の現状や課題を明らかにし、日本の放送にとって大きな意義があると考えております。

ぜひ、ご参加ください。


●日時: 11月19日(土)午後1時~午後5時
(開場:午後12時30分)
●会場: 上智大学 9号館 249教室


●参加自由(資料費 500円)/申込不要
●主催: NPO法人 放送批評懇談会「報道活動」選奨委員会
●共催: 上智大学文学部新聞学科


上映作品&参加放送局:

<大  賞> 
札幌テレビ放送 「がん患者、お金との闘い」2007年~2011年 一連の報道
<優秀賞> 
宮崎放送  口蹄疫発生から終息宣言までの一連報道
<優秀賞> 
琉球朝日放送 ステーションQ年間企画「オキナワ1945島は戦場だった」
<選  奨> 
テレビ金沢 壁画修復から見つめた 幻の画家アーニョロ・ガッディにおける一連の放送活動
<選  奨> 
東海テレビ放送 報道キャンペーン「堀川のキセキ~人・街・川」
<選  奨> 
日本放送協会 NHK「北方領土プロジェクト」


お問合せ:放送批評懇談会:03-5379-5521((平日10時~13時/14時~18時)





今週の「読んで書いた本」 2011.10.19

2011年10月19日 | 書評した本たち

来週、札幌に行くのですが、あちらから届いたメールには、
「まもなく雪?という寒さです」とありました。

東京も、急に涼しくなってきましたね。

本を読むにはいい季節です、って1年中、読んでるんですが(笑)。


今週の「読んで(書評を)書いた本」は、以下の通りです。

池澤夏樹 『春を恨んだりはしない~震災をめぐって考えたこと』 
中央公論新社

藍野裕之 『梅棹忠夫~未知への限りない情熱』 山と渓谷社

姜 尚中 『あなたは誰?私はここにいる』 集英社新書

寒河江正・羅逸星 『あの時、ぼくらは13歳だった』 東京書籍

指南役 『テレビは余命7年』 大和書房


・・・・池澤さんの『春を恨んだりはしない』は、震災にまつわる文章の中でも出色のひとつだと思います。


* 上記の本の書評は、発売中の『週刊新潮』(10月20日号)に
  掲載されています。