碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

2月4日(日)、『TBSレビュー』に出演します

2018年02月03日 | テレビ・ラジオ・メディア
秋沢淳子アナウンサーと


2月4日(日)の『TBSレビュー』に出演します。

テーマは、ドラマ『コウノドリ』です。


検証番組
『TBSレビュー』
2月4日 日曜日
午前5時30分~6時

この番組は、TBSのみならず、放送全般が抱える問題について、幅広く取上げ、検証していく番組です。


「TBSレビュー2月号#253」

テーマ
「コウノドリ~新しい医療ドラマを目指して~」

出席者
上智大学教授 碓井広義さん

進行
TBSアナウンサー 秋沢淳子

放送日時
2月4日 日曜日 午前5時30分~6時

内容
コウノドリ。
産科医療現場を舞台に
患者と医療者、夫婦や親子のあり方について、
社会背景を踏まえて描いたドラマだ。

実際の病院をロケに使い
多くの新生児を登場させるなど、
リアルな映像描写が話題となり
やや狭いテーマにも関わらず
視聴者から支持を得た。

いま医療ドラマはブームだ。
だがこのドラマには、
よくあるスーパードクターなどは登場しない。

そこには患者に寄り添い
共に考え、悩む
人間臭い医療者たちがいるだけだ。
そこが新しい。

番組では医療ドラマにおける
テーマやメッセージ性、
またリアリズムの描き方など
そのあり方について考える。

またその役割や課題について考える。

(TBS番組サイトより)




「倉本聰 ドラマへの遺言」 第16回

2018年02月03日 | 日刊ゲンダイ連載「倉本聰 ドラマへの遺言」


倉本聰 ドラマへの遺言 
第16回

「キャスティングが決まらないと書かない」
伝説の真相は


倉本氏はドラマの撮影が始まる前、役者たちが集まって行われるホン読み(台本の読み合わせ)にも立ち会うという、多くの脚本家とは一線を画すスタイルを貫いてきた。キャスティングについても口うるさいといわれるが、真相はいかに。

碓井 「倉本伝説」として流布していることのひとつですが、キャスティングが決まらないと書かないんだと。実際に先生がキャスティングに関与しているってことですか。

倉本 プロデューサーには相談しますが、僕自身が決めるわけではありません。2005年放送の「優しい時間」(寺尾聰主演、フジテレビ系)のあたりからは若い役者について全く知らないですからね。主要キャストを担ったニノ(二宮和也)も、長澤まさみも知らなくて、「タレント名鑑」を見せてもらいました。昨秋行われた東京ドラマアウォード(「やすらぎの郷」で脚本賞)の授賞式でも、新垣結衣を知らないから、「あの人誰」って聞いたぐらいですから。

碓井 ガッキー、泣きますよ(笑い)。となると、プロデューサーへの相談はどのようになさるんですか。

倉本 興味のある女優さんには、あらかじめ会わせてもらいますね。「風のガーデン」(08年、フジテレビ系)の黒木メイサも、興味を持っていたので何度か会ったんですよ。

碓井 中井貴一さんが演じる主人公の娘役として起用されていましたね。

倉本 数年前には剛力彩芽にも会わせてもらって。いい女優だなと思ったんですが、起用には至っていません。

碓井 黒木さんと剛力さん、容姿も女優としてのタイプも違いますが。

倉本 男として女に惚れる場合もそうなんですが、こういうタイプだから使ってみたいとか、こういう趣味だから好きだとか、決まった好みってないんですよ。出てきて良ければ、ハイって感じです。特に女優の場合は容姿ではなく、センスが放つオーラのサムシング。これが失われていくケースが往々にしてあって、日本のエージェンシーは下手だなって思いますね。

碓井 使い捨て、とまではいかなくても、役者やタレントを長い目で見ていない、育てようとしていない事務所はありますよね。売れているうちに全部売っちゃえ、みたいな。

倉本 この間もね、ある女優さんとマネジャーさんと一緒に食事する機会があって。「CMは今、何本出てるの?」って聞いたら「9本」って言ってたかな。

碓井 それはすごい。「あまちゃん」に出た後の有村架純さん並みだ。

倉本 業種のかち合わないスポンサーのオファーが13本あるんですって。マネジャーは「9本出ていても、あと4本ある」って言うもんだから、そういう発想もあるのかって驚いたわけですが。(つづく)

(聞き手・碓井広義)

▽くらもと・そう 1935年1月1日、東京都生まれ。東大文学部卒業後、ニッポン放送を経て脚本家。77年北海道富良野市に移住。84年「富良野塾」を開設し、2010年の閉塾まで若手俳優と脚本家を養成。21年間続いたドラマ「北の国から」ほか多数のドラマおよび舞台の脚本を手がける。現在は、来年4月から1年間放送されるテレビ朝日開局60周年記念ドラマ「やすらぎの刻(とき)~道」を執筆中。

▽うすい・ひろよし 1955年、長野県生まれ。慶大法学部卒。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。現在、上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。笠智衆主演「波の盆」(83年)で倉本聰と出会い、35年にわたって師事している。



日刊ゲンダイ連載「倉本聰 ドラマへの遺言」




ドラマへの遺言 (新潮新書)
倉本聰、碓井広義
新潮社




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トークイベント

碓井広義「倉本聰のドラマ世界」を語る。

2019年4月13日 土曜日
18時開演(17時半開場)
表参道「本の場所」


完全予約制です。
申込みは、以下の「本の場所」へ。


本の場所




書評した本: 隈元信一『永六輔 時代を旅した言葉の職人』

2018年02月03日 | 書評した本たち


本業は旅する坊主 永六輔の“全体像”


隈元信一『永六輔 時代を旅した言葉の職人』
(平凡社新書)


永六輔さんが83歳で亡くなったのは一昨年の7月7日だ。その活動は1953年にテレビ放送が始まる前のラジオからでり、放送作家、作詞家、タレント、作家と多才な人だった。

なかなか捉えきれない全体像を、名前にちなんだ「六面体」で描いたのが隈元信一『永六輔 時代を旅した言葉の職人』だ。元朝日新聞論説委員の著者は放送記者としての長い経験をもつ。「旅の坊主」「ラジオ屋」「テレビ乞食」「反戦じいさん」といった6つの視点が秀逸だ。

中でも“旅する坊主”というイメージが永さんにはよく似合う。基本は旅暮らし。全国どこへでも足を運び、そこでの見聞や考えたことをマイクの前で話す。寺を持たぬ僧侶が電波を通じて行う辻説法である。67年開始のラジオ番組『どこか遠くへ』(TBS系)は、『誰かとどこかで』と改名して約47年も続いた。

またテレビの代表作の一つが『夢であいましょう』(NHK、61~66年)だ。ラジオ番組『日曜娯楽版』(NHK)、日本初の音楽バラエティー『光子の窓』(日本テレビ系)、そして大阪労音のミュージカルでの台本書きや舞台監督。永さんが3つの体験を投入したこの番組は、後のテレビ文化に大きく貢献した。

そんな“旅する坊主”は市井の人たちに寄り添う「世間師としてのジャーナリスト」でもあったと著者。憲法についてはもちろん、老いや病いとのつき合い方も伝え続けてくれた永さんに感謝したい。

(週刊新潮 2018年1月25日号)