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先日、テレ朝の視聴率「3冠王」についてコメントした読売新聞の記事が、ようやく全文アップされました。
転載しておきます。
テレ朝が視聴率「3冠王」…4~6月、関東地区
人気番組を効果的に編成
テレビ朝日が好調だ。ビデオリサーチ社の調べによる、4~6月の四半期の関東地区の平均世帯視聴率が、三つの時間帯でトップに立つ「3冠王」となった。
これは1959年2月の開局以来初の快挙だ。人気のある番組を効果的に編成したことが、今回の躍進の原動力となったようだ。
テレビ朝日の4~6月の視聴率は、全日(午前6時~深夜0時)7・9%、ゴールデンタイム(午後7時~10時)12・3%、プライムタイム(同7時~11時)12・7%と、他の在京局を上回った。
同局は在京局としては後発。視聴率競争では苦戦が続き、在京民放5局中4位が指定席という時期が長かった。ただ、ここ数年好調で、年間視聴率では在京民放中3位に上がっていた。そして、4月以降、一躍NHKも含む在京局中トップに躍り出たのだ。
全日での成功は、夕方の時間帯で、水谷豊主演の人気ドラマ「相棒」を再放送し、続いて始まる5~6時台のニュース番組「スーパーJチャンネル」に、視聴者を引き込む流れを作ったことにある。「相棒」の再放送は、夕方の時間帯としては高く、10%台を稼ぐこともある。
夜の時間帯では、午後7時、または8時から、バラエティー番組の2~3時間にわたる特番を頻繁に編成。続く午後9時54分から放送されるニュース番組「報道ステーション」につなげる。この時間帯唯一のニュースである同番組が、平均14%台という好調を維持している。
また、6月には、サッカーW杯最終予選の3試合を放送し、いずれも30%を超える高視聴率を獲得したことも大きかった。
編成が巧みでも、番組内容が貧弱では、数字につながらない。碓井広義・上智大教授(メディア論)は「最もテレビを見ている中高年層向けに、質の高い番組を作っているのが勝因」と見る。
連続ドラマでは、「相棒」に代表される、落ち着いた内容の刑事ドラマが多い。人気が出たら、シリーズ化できるような作りを施し、そうして定着したシリーズものが、じっくり見たいシニア世代に受け入れられている。
一方、バラエティーでは、10年近く続く長寿番組が目立つ。そんな中、「Qさま!!」「アメトーーク!」などが、10%以上を稼いでいる。碓井教授は「視聴者の好みを考えながら、各ジャンルでじっくり番組を育ててきた成果が表れている」と指摘する。
ただ、こうした編成方針は、広告収入では必ずしも有利ではない。フジテレビの豊田皓社長は定例記者会見で、「高齢世代に合わせるだけではスポンサーはつかない。我々はこれまで通り、10代や若い女性向けの番組を作る」と、冷静に受け止めている。
実際、4~6月の各時間帯で2位局との差は、いずれも1%前後の僅差。テレビ朝日の早河洋社長は「楽観視はしていない。我々はあくまでチャレンジャー」と気を引き締めていた。(浅川貴道)
(2012年7月24日 読売新聞)