碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

今週の「読んで(書評を)書いた本」 2012.07.31

2012年07月31日 | 書評した本たち

なぜ急に、その本を読みたくなったのか。

それを説明すると、長くなるので割愛(笑)。

とにかく突然、加賀まりこさんが8年前に出版した、初の自伝的エッセイ集『とんがって本気』(新潮社)が読みたくなった。

本棚を探してみる。

見つからない。

その代わり、文庫版が発見できた。

でも、タイトルが変えられていたのだ。

『純情ババアになりました。』(講談社文庫)

いいですねえ(笑)。

この本の中に、こんな言葉が出てくる。

「お互い、今が一番の人生を送りましょう」

これは加賀さん本人の言葉ではなく、加賀さんが親しくしている老舗の女将さんからの手紙にあったものだという。

いいよねえ、「今が一番の人生」。



今週の「読んで(書評を)書いた本」は、以下の通りです。
 
古川 聡 
『宇宙へ「出張」してきます』 毎日新聞社

金子兜太
『荒凡夫』白水社

大山勝美ほか
『テレビは何を伝えてきたか』 ちくま文庫

平野 悠 
『ライブハウス「ロフト」青春期』 講談社

ケン・シーガル 
『Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学』 NHK出版

臼井幸彦 
『シネマと鉄道』 SCREEN新書


* 上記の本の書評は、
  発売中の『週刊新潮』(8月2日号)
  に掲載されています。



「TBSレビュー」オンデマンド特集に出演しました

2012年07月30日 | テレビ・ラジオ・メディア

29日(日)の朝、出演した「TBSレビュー」オンデマンド特集が、無事放送されました。

私にとっての「オンデマンド」は、実際にNHKの「見逃しパック」「見放題パック」のうち、見逃しを利用しています。

月額945円です。1本だと210円なので(笑)。

それから、民放の番組を、配信会社で単品購入する、というのもやっています。

やはり見逃した時、録画予約を忘れた時に便利。

また、最近多いのは、その番組の評判を聞いて「見てみたい」と思った時に、有難いサービスですね。


         木村郁美アナウンサー




さて、放送で話した一部を再録してみると・・・・


オンデマンドによって、テレビを「見る」ことに関して、主導権が視聴者に移ってきた、ということが一番大きいと思います。

来年、日本のテレビ放送はちょうど60周年を迎えます。

1953年に放送が開始されて、基本的には現在まで変わらない構造があって・・・。

どんな番組を、何曜日の何時に放送するのか、それを決めるのはテレビ局だということです。これを編成と呼ぶんですね。

編成するのはテレビ局で、視聴者は、その編成に合わせて、テレビの前で待っているしかなかった。

つまり「見ること」に関する主導権は、テレビ局が握っていたわけです。

それが少し変化してきたのは「録画機」の登場でした。放送時間にその番組を見られなくても、後から録画を見られるようになった。

オンデマンドは、それをさらに進めた形です。

パソコンなりスマホなりさえあれば、いつでも、どこでも、番組を見ることができる。

テレビ局の都合ではなくて、視聴者が自分の都合に合わせて見る。

テレビを視聴する、テレビを見るということに関する主導権が、視聴者のものになってきたんですね。



・・・・さらに今後は、オンデマンドによって、流しっぱなしではない、ずっと見てもらえる、何度でも見るに耐える番組を求められる。

つまり、これまで以上に、「番組の質を問われる時代」と言えるわけです。




帯広「六花の森」を見学

2012年07月29日 | 日々雑感

「イチオシ!モーニング」の放送終了後、クルマで帯広へ。

約2時間ひたすら走って、帯広にある「六花の森」に到着。

ここはお菓子の「六花亭」が開設したもので、広大な敷地の中に、何棟もの“美術館”が点在しています。







坂本直行記念館
(六花亭の包装紙に描かれた花の絵で知られています)




はらたかよし美術館

真野正美作品館

サイロ五十周年記念館

北の大地ビエンナーレ企画展示室 等々。


現在、ここを舞台に、札幌のアウンビジョン代表・藤島保志さんが映像制作を行っています。

今回は、その藤島さんの案内で、展示施設と作品を見学させてもらいました。




とにかく、“本物”が、もっともいい状態で、保存・管理・展示されているのが、よくわかりました。

たとえば坂本作品の、筆遣い、色遣いも、まさに手にとるように伝わってきます。

静かな森を歩きながら、一つ、また一つと、小さな美術館の中に入って、直接作品と出会う。

どこか理想郷のような、別世界のような、それでいて北海道の風景に美しく溶け込んでいる“美術の森”。

本当は、ほかの人に教えたくないような(笑)、でも、ぜひ来て、見て欲しい、そんな場所です。















28日(土)朝の「イチオシ!モーニング」

2012年07月29日 | テレビ・ラジオ・メディア

28日(土)朝のHTB「イチオシ!モーニング」。

番組が始まった朝7時には、まだ五輪開会式が行われていましたが、その印象について話をしました。

旭山動物園から逃げ出したというフラミンゴも、引き続き話題でした(笑)。

ロンドン五輪開会式を見て

2012年07月29日 | テレビ・ラジオ・メディア

28日(土)早朝、早起きして、札幌のホテルで「ロンドン五輪開会式」の生中継を見ました。

まず、けっしてラスベガス式のショーではなく、自国イギリスの歴史に対する「誇り」と「敬愛」を、きちんと表現していたことに感心。

社会科で習った「産業革命」も出てきたなあ(笑)。


もちろん歴史だけじゃない。

イギリスが文化面でも、世界的なコンテンツを生み出してきたことを、ユーモアと共に見せてくれた。

メリー・ポピンズからハリー・ポッターまで、みんなイギリス産だ。

そして、007がいる。

ポール・マッカートニーがいる。

それに、Mr.ビーンだっている(笑)。


聖火の点火も、バトンを次の世代に渡していく演出が効いていた。

全体として、ここ何回かの五輪開会式の中で、出色の出来だったのではないかと思います。



明日、29日(日)の「TBSレビュー」に出演します

2012年07月28日 | テレビ・ラジオ・メディア

TBSレビュー

●7月29日(日) 朝5時30分~6時  

●テーマ: 「オンデマンド」の現在とこれから

●司会:木村郁美アナウンサー

●出演:碓井広義



なにしろ早朝ですので(笑)
録画して、
ぜひ
ご覧ください。

土曜の朝は「イチオシ!モーニング」

2012年07月28日 | テレビ・ラジオ・メディア

28日(土)朝7時から、HTB「イチオシ!モーニング」に出演します。

もちろん生放送です(笑)。

「佐藤のりゆき 新ステージを応援する会」に出席

2012年07月28日 | テレビ・ラジオ・メディア

18年続いたUHB「のりゆきのトークDE北海道」が幕を閉じたのが、今年の3月。

司会の佐藤のりゆきさんの“新展開”を応援する人たち400名以上が集まりました。

ちなみに、「出馬宣言」ではありませんでした(笑)。

金曜のHTB「イチオシ!」

2012年07月28日 | テレビ・ラジオ・メディア

金曜の午後、猛暑の札幌で、HTB「イチオシ!」に出演しました。

今週末、29日(日)の「TBSレビュー」に出演します

2012年07月27日 | テレビ・ラジオ・メディア

TBSレビュー

●7月29日(日) 朝5時30分~6時  

●テーマ: 「オンデマンド」の現在とこれから

●司会:木村郁美アナウンサー

●出演:碓井広義

今日27日(金)、「イチオシ!」の生放送

2012年07月27日 | テレビ・ラジオ・メディア

札幌に来ています。

いつものHTB北海道テレビのコメンテーターです。

昨日(木)、札幌も日中は29度もあったそうですが、でも、東京のような湿気がないので、ホノルルみたいな爽やかさ(笑)。

札幌の仕事仲間と、企画打ち合わせ兼夕食で、すすきのへ。



いつもの木曜よりも賑やかだなあ、と思ったら、路上で音楽祭が開催されていました。

生の演奏、しかも、なかなかいい音で、なんだか得した気分(笑)。






今日27日(金)は、15時45分から「イチオシ!」生放送です。

今回も、どうぞよろしくお願いします!


オリンピックの「開会式」をめぐって

2012年07月26日 | 「東京新聞」に連載したコラム

東京新聞に連載している「言いたい放談」。

今回は、直前に迫ったロンドン五輪開会式をめぐる内容です。

 
アトランタからロンドンへ

一九九六年七月十九日、私は米国アトランタのスタジアムにいた。二年後に迫った長野五輪開会式の制作に携わっており、浅利慶太さん率いるプロデューサーチームとアトランタ五輪の開会式を視察に来ていたのだ。 

真夏のアトランタは蒸し暑い。夜になり、開会式が始まっても気温は下がらない。汗だくのまま観客席にいる私たちの目の前では、まるでラスベガスのショーのような、やかなアトラクションが延々と繰り広げられていた。その間、場外で待たされたのは各国の選手たちだ。

数時間が過ぎて、照明が変わった。スタジアムの上段とトラックをつなげた巨大なスロープを選手たちが降りてくる。ようやく“本編”の始まりだった。

帰国後、最初の会議で萩元晴彦シニア・プロデューサーが言った。「開会式の主役は選手たちです。観客を楽しませることが目的ではありません」。

本来、オリンピックの開会式で行うべきことは二つだ。一つは世界から集まってくれた選手を迎えること。次が国家元首による開会宣言。派手で豪華な「アトラクション」は何ら本質的なものではない。

ただし、巨大なテレビイベントとしての開会式、世界に配信されるメディアコンテンツとしての開会式には不可欠なものとなっている。果たしてロンドン五輪の開会式は何を見せてくれるのだろう。

(東京新聞 2012.07.26)

「リッチマン、プアウーマン」のコメディエンヌ・石原さとみ

2012年07月25日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今週は、フジテレビの月9「リッチマン、プアウーマン」を取り上げました。

御祝儀相場の初回視聴率13.9%、実質参加の視聴者が集まる2回目で11.3%と下がり、今週の第3話が13.1%とアップ。

制作側は、ほっとしているんじゃないかな。

見ている高校生~大学生は、それなりに面白がっているようなので(笑)、しばらくは、これくらいで推移するはずです。


コメディエンヌ・石原さとみの熟成度に注目

現在の大学4年生の就職活動が始まったのは昨年12月。あれから8ヶ月が過ぎて、学生は3つのタイプに分かれてきた。すでに就職先を決めた者、内定は得ているが就活継続中の者、そしてまだ内定が出ていない者だ。

フジテレビ月9ドラマ「リッチマン、プアウーマン」のヒロイン(石原さとみ)は東大理学部生ながら3番目のタイプ。IT企業のカリスマ社長(小栗旬)と出会い、運命が開け始めたところだ。

このドラマにはいくつかの側面がある。資産250億円の富豪青年と女子学生の恋愛ドラマ。慢性的就職氷河期を生きる学生の就活ドラマ。また小栗が率いるITベンチャーをめぐる企業ドラマでもある。

しかし、何と言っても見るべきものは、コメディエンヌ・石原さとみの熟成度だ。

2年前の「霊能力者 小田霧響子の嘘」(テレビ朝日)で見せた“ふっ切れキャラ”に、更なる磨きがかかってきている。特に、追いつめられた“未内定”就活生の焦り、不安、憤りを体現したシーンなど絶品。

実際、面接で落とされまくり、自分の存在自体を否定されたように感じてしまう就活生は多い。来年春からの「居場所」を必死で探す石原の悲惨と滑稽には、十分なリアル感があるのだ。

今後、物語は石原の素性の謎を交えながら進行していく。“魅惑のくちびる”は何を明かすのか。

(日刊ゲンダイ 2012.07.24)

テレ朝「視聴率3冠王」についてコメントした記事全文

2012年07月25日 | メディアでのコメント・論評
(7月24日は伝説の女性飛行士アメリア・エアハートの誕生日)


先日、テレ朝の視聴率「3冠王」についてコメントした読売新聞の記事が、ようやく全文アップされました。

転載しておきます。


テレ朝が視聴率「3冠王」…4~6月、関東地区
人気番組を効果的に編成


テレビ朝日が好調だ。ビデオリサーチ社の調べによる、4~6月の四半期の関東地区の平均世帯視聴率が、三つの時間帯でトップに立つ「3冠王」となった。

これは1959年2月の開局以来初の快挙だ。人気のある番組を効果的に編成したことが、今回の躍進の原動力となったようだ。

テレビ朝日の4~6月の視聴率は、全日(午前6時~深夜0時)7・9%、ゴールデンタイム(午後7時~10時)12・3%、プライムタイム(同7時~11時)12・7%と、他の在京局を上回った。

同局は在京局としては後発。視聴率競争では苦戦が続き、在京民放5局中4位が指定席という時期が長かった。ただ、ここ数年好調で、年間視聴率では在京民放中3位に上がっていた。そして、4月以降、一躍NHKも含む在京局中トップに躍り出たのだ。

全日での成功は、夕方の時間帯で、水谷豊主演の人気ドラマ「相棒」を再放送し、続いて始まる5~6時台のニュース番組「スーパーJチャンネル」に、視聴者を引き込む流れを作ったことにある。「相棒」の再放送は、夕方の時間帯としては高く、10%台を稼ぐこともある。

夜の時間帯では、午後7時、または8時から、バラエティー番組の2~3時間にわたる特番を頻繁に編成。続く午後9時54分から放送されるニュース番組「報道ステーション」につなげる。この時間帯唯一のニュースである同番組が、平均14%台という好調を維持している。

また、6月には、サッカーW杯最終予選の3試合を放送し、いずれも30%を超える高視聴率を獲得したことも大きかった。

編成が巧みでも、番組内容が貧弱では、数字につながらない。碓井広義・上智大教授(メディア論)は「最もテレビを見ている中高年層向けに、質の高い番組を作っているのが勝因」と見る。

連続ドラマでは、「相棒」に代表される、落ち着いた内容の刑事ドラマが多い。人気が出たら、シリーズ化できるような作りを施し、そうして定着したシリーズものが、じっくり見たいシニア世代に受け入れられている。

一方、バラエティーでは、10年近く続く長寿番組が目立つ。そんな中、「Qさま!!」「アメトーーク!」などが、10%以上を稼いでいる。碓井教授は「視聴者の好みを考えながら、各ジャンルでじっくり番組を育ててきた成果が表れている」と指摘する。


ただ、こうした編成方針は、広告収入では必ずしも有利ではない。フジテレビの豊田皓社長は定例記者会見で、「高齢世代に合わせるだけではスポンサーはつかない。我々はこれまで通り、10代や若い女性向けの番組を作る」と、冷静に受け止めている。

実際、4~6月の各時間帯で2位局との差は、いずれも1%前後の僅差。テレビ朝日の早河洋社長は「楽観視はしていない。我々はあくまでチャレンジャー」と気を引き締めていた。(浅川貴道)

(2012年7月24日 読売新聞)

ロンドンオリンピックは、「ネット生中継」五輪

2012年07月24日 | テレビ・ラジオ・メディア

1964年の東京オリンピックは、「衛星生中継」で海外に向けて発信されたことで放送の歴史に残るものとなりました。

静止軌道上にある通信衛星を使用した、史上初となる衛星生中継。

そして、今度のロンドンオリンピックは、「ネット生中継」だ。

「衛星生中継」五輪から、「ネット生中継」五輪へ。

そういう時代になったわけですね(笑)。


NHKが五輪ネット生中継種目を公表

NHKは23日、ロンドン五輪でインターネット生中継を行う競技種目を「NHKオリンピック特設サイト」で公表した。

大会2日目、日本時間で28日午後4時半からのバドミントン1次リーグを皮切りに、大会最終日まで1日6~19競技を、最大8チャンネルで配信する。

NHKと民放が放送で生中継しない競技の中から、日本人選手の出場競技や世界のハイレベルの戦いを中心に選択するという。

アナウンサーの実況や解説者のコメントなどはなく、競技会場の音声をそのまま配信する。総配信時間は約886時間となる見込み。

(日刊スポーツ 2012.07.23)