碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

『Qros(キュロス)の女』栗山(桐谷健太)の記者魂

2024年10月31日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

栗山の「記者魂」が光る

桐谷健太主演

「Qros(キュロス)の女

 スクープという名の狂気」

 

ドラマプレミア23「Qrosの女~スクープという名の狂気」(テレビ東京系)。主人公は、「週刊キンダイ」で多くのスクープを放ってきた芸能記者、栗山孝治(桐谷健太)である。

タイトルの「キュロス」とは、「ユニクロ」のようなファストファッションのブランド名だ。そのCМに登場した謎の美女(黎架)が話題となり、栗山たちも正体を明らかにしようと動き出す。

ただし、このドラマは彼女をめぐる探索物語に留まらない。芸能界の裏側で発生する、いくつものスキャンダル。それを暴こうとする側と隠そうとする側のリアルな攻防戦が大きな見所だ。

たとえば、人気アイドルと有名塾講師の不倫。スピリチュアル団体のビジネスに利用される若手女優。さらに大物落語家によるセクハラ、モラハラ、パワハラの三大ハラスメントもあった。

いったんスクープされれば、彼らの芸能人生命は断たれてしまう。やり過ぎだという声に対し、編集長の林田(岡部たかし)が言う。「俺たちはネタを提供してるだけ。それを元にジャッジしてるのは世間様だ」と。

さらに「人間の後ろ向きな欲望みたいなものが膨らんで、そのはけ口として誰かをめちゃくちゃに攻撃して暴走する。その群集心理が一番怖いんだよ」

だからこそ、間違った情報を世の中に出さないためなら何でもする、栗山の「記者魂」が光る。 

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.10.30)

 


【気まぐれ写真館】2024年10月末の夕景

2024年10月30日 | 気まぐれ写真館

2024.10.30

 


「クノール カップスープ」CMの河合優実さん

2024年10月30日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

ほら、もう目が離せない

味の素「クノール カップスープ」コーンクリーム

「コーンなうれしい朝にして」篇ほか

 

ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)で、インパクトのある昭和の女子高生を演じて注目を集めた河合優実さん。その後も映画やドラマで「今年の顔」と言っていい活躍を見せている。

最大の魅力は、演じた人物の背後にある「物語」まで想像させる力だ。どこか謎めいており、見る側は「本当はどんな女性なのか」「心の中で何を思っているのか」と気になって仕方がない。

そんな優実さんが、味の素「クノール カップスープ」のCМに21代目キャラクターとして登場した。

「コーンなうれしい朝にして」篇、「ポタージュなお年ごろ」篇、「ごちそうの方程式」篇の3本が並ぶが、中でも「お年ごろ」篇から目が離せない。

お父さんと向き合ってスープを飲みながら、「子どもじゃないのよ私、もう」という心の声。ポタージュの深みが分かるし、一緒に味わうカレシだって…と、つい言いそうになる。

驚くお父さんを見て、ウソともホントともとれる「罪な微笑」でごまかす優実さん。ほら、もう目が離せない。

(日経MJ「CM裏表」2024.10.28)

 


言葉の備忘録408 死など・・・

2024年10月29日 | 言葉の備忘録

展覧会「 ヨシタケシンスケ展かもしれない」より

 

 

 

 

死などどうだっていい。

大切なのは

今日、今日、今日なのだ。

まさに然り。

 

 

 

チャールズ・ブコウスキー

『死をポケットに入れて』

 

 

 

 

 

 


【新刊書評2024】 『遠藤周作 おどけと哀しみ』ほか

2024年10月28日 | 書評した本たち

 

 

「週刊新潮」に寄稿した書評です。

 

加藤宗哉

『遠藤周作 おどけと哀しみ~わが師・狐狸庵先生との三十年

河出書房新社 2310円

著者は慶應義塾大学在学中に遠藤周作編集の「三田文学」に関わり、以後生涯の師弟関係となった。若き日の著者が書いた小説について、〈暑さ〉を描きたいのなら、太陽や光ではなく「カゲを書くのや」と言っていた遠藤。ケタはずれの読書家・勉強家でありながら、そのイタズラ心は晩年まで衰えなかった。「融通がきかぬほどに真面目な人だった」師が、弟子の前だけで見せた素顔がここにある。

 

箕輪顕量:編著、東京大学仏教青年会:著

『日本を変えたすごい僧侶図鑑』

産業編集センター 1980円

仏教には学問と修行の2つの道がある。その大きな流れの中で活躍した50人の僧侶を紹介するのが本書だ。総合的な仏教体系を目指した最澄。日本各地に伝説を残す空海。浄土宗を開いた法然。こうした〝有名人〟はもちろん、修験道の祖である役小角(えんのおづぬ)や室町期の禅宗興隆を招いた高僧・夢窓疎石(むそうそせき)など、知る人ぞ知る傑僧たちの人生と教えに接することができる。

(週刊新潮 2024.10.24号)

 


【気まぐれ写真館】 本日「衆議院議員総選挙」

2024年10月27日 | 気まぐれ写真館

2024.10.27

 


「海に眠るダイヤモンド」この国の70年総括する試みか

2024年10月27日 | 「毎日新聞」連載中のテレビ評

 

 

〈Media NOW!〉

野木亜紀子脚本「海に眠るダイヤモンド」 

この国の70年総括する試みか

 

脚本家・野木亜紀子の快進撃が続いている。昨年の「フェンス」(WOWOW)の舞台は沖縄。米兵による性的暴行事件を取材する雑誌ライター(松岡茉優)を軸に、沖縄と本土、日本とアメリカ、ジェンダーや人種の相違など、さまざまな<フェンス>を乗り越えようとする人間の姿が生々しく描かれていた。第74回芸術選奨・放送部門の文部科学大臣賞受賞作だ。

今年は、綾野剛主演の映画「カラオケ行こ!」で始まった。綾野演じるヤクザが合唱部部長の中学生から歌のレッスンを受ける話だ。訳ありのヤクザとちょっと気難しい中学生の掛け合いが絶妙だったが、漫画が原作だ。野木脚本のオリジナル作品が見たくなった。

公開中の映画「ラストマイル」はそんな期待に応えている。舞台は巨大ショッピングサイトの物流センター。そこから配送された段ボール箱が連続して爆発する。誰が何のために仕掛けたのか。センター長(満島ひかり)はどう対処するのか。見えてくるのは日本人の消費生活を支える物流の現場に潜む深い闇だ。監督は塚原あゆ子、プロデュースが新井順子。野木脚本のドラマ「アンナチュラル」(TBS系)などの面々だ。

そして今月20日、この3人が参加する日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」(同)がスタートした。主な舞台は長崎県の端島(通称・軍艦島)と東京である。

1955年、大学を卒業した鉄平(神木隆之介)は故郷の端島に戻ってきた。父(国村隼)や兄(斎藤工)が炭鉱作業員として働く鉱業会社に事務職員として就職したのだ。そんな端島に、歌手だというリナ(池田エライザ)が現れる。

一方、2018年の東京では、売れないホストの玲央(神木の二役)が謎の婦人いづみ(宮本信子)と知り合い、彼女に誘われて一緒に長崎へと飛ぶ。港からフェリーで向かったのは、長く廃虚となっている端島だった。

まず、70年前の端島の風景に驚いた。多くの人が働き暮らす、活気に満ちた炭鉱の島が再現されている。最新の視覚効果技術の成果だ。しかし、見る側には複雑な思いもある。現在の私たちは石炭産業が急速に斜陽化していくことを知っているからだ。いや、斜陽化というより切り捨てられたのだ。

野木は、このドラマで昭和の経済成長が私たちにもたらした光と影の両方を描こうとしているのではないか。「愛と青春と友情、そして家族の壮大な物語」を通して、この国の70年間を総括する試みかもしれない。そんな妄想さえ抱かせる野心作であることは確かだ。

(毎日新聞夕刊 2024.10.26)

 


逆転サヨナラ満塁ホームラン!

2024年10月26日 | 日々雑感

2024.10.26

 

 

ワールドシリーズ

ドジャース 6ー3 ヤンキース

 

延長10回に、

ドジャースの

フレディ・フリーマン内野手が

逆転サヨナラ満塁ホームラン!

すごい試合でした。

 

 


【気まぐれ写真館】 「表参道界隈」散策

2024年10月26日 | 気まぐれ写真館

2024.10.25

 


朝ドラ「おむすび」における「ギャル」への違和感

2024年10月25日 | 「しんぶん赤旗」連載中のテレビ評

 

 

「ギャル」への違和感

 

今年度後半のNHK連続テレビ小説は「おむすび」である。前作「虎に翼」は実在のモデルがいた実録系だった。しかも大正生まれの女性であり、近い過去とはいえ一種の歴史物でもあった。

今回は架空の人物が主人公の現代物だ。実録系であれば、既にその人物に対する評価というものがあり、ドラマ化されても大きくズレることはない。だが、架空の人物の現代物は要注意だ。過去に迷走するばかりのヒロインが複数いたからだ。

さて、「おむすび」である。舞台は2004年の福岡県糸島郡だ。主人公は高校1年の米田結(橋本環奈)。両親と祖父母との5人暮しだが、最近、姉の歩(仲里依紗)が東京から戻って来た。

現在までに分かったのは、このドラマにはいくつかのテーマがあるということだ。1つが「食」。結の家は農家で、食べることも大好きだ。「おいしいもん食べたら悲しいこと、ちょっとは忘れられるけん」といったセリフが、食に関わる将来を暗示している。

次は「災害」だ。結は1995年の阪神淡路大震災の被災者でもある。神戸に住んでいたが、震災を機に父親の故郷である糸島に移り住んだ。災害に遭遇した人たちの過去と現在、さらに「これから」も描こうとしていることがうかがえる。

そして3番目のテーマが問題だ。何と「ギャル」である。ギャル文化の全盛期は90年代後半だ。ドラマの背景である2000年代半ばにもギャルはいたが、すでに往時の勢いはない。特に地方では微妙に浮いた存在と化していた。

そんなギャルが、ドラマでは何らかの価値観の「象徴」として扱われている。「自分がやりたいことを貫く意思」といったものだ。

しかし、どこか無理がある。「食」や「災害」とは異なり、ギャルに理屈抜きの拒否反応を示す視聴者は少なくないからだ。毎朝、あの独特の派手なメイクや「チョー受ける!」といった話し方、パラパラダンスなどに接することをストレスと感じる人もいるだろう。

サブカルチャーとしてある輝きをもってはいるが、それをメインカルチャーのように提示されることに違和感があるのだ。果たしてギャルで見る側の共感が得られるのか。物語の行方に注目だ。

(しんぶん赤旗「波動」2024.10.24)

 


【気まぐれ写真館】 秋空ひろがる、10月の「夏日」

2024年10月24日 | 気まぐれ写真館

2024.10.24

 


言葉の備忘録407 なっちゃんも・・・

2024年10月24日 | 言葉の備忘録

幼なじみの野枝(小泉今日子)と奈津子(小林聡美)

 

 

 

なっちゃんも

のえちゃんも

ご隠居さんみたいに

座り込んでちゃダメよ。

自分の人生は

自分で切り拓かなきゃ。

だって

自分の人生の主役は

自分よ!

 

 

福田陽子(名取裕子)の言葉

ドラマ『団地のふたり』第8話(NHK)

 

 

 


「ドクターX」の〈後継医療ドラマ〉として真価が問われる「ザ・トラベルナース」

2024年10月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「ドクターX」の

〈後継医療ドラマ〉として問われる真価

「ザ・トラベルナース」

 

岡田将生主演「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日系)が2年ぶりの復活を果たした。

このドラマの特色は3つある。まず、あまり知られていなかったトラベルナース(有期契約で仕事をするフリーランスの看護師)をテーマにしたこと。

次にナースとして男性看護師を設定したことである。看護師と聞けば女性を思い浮かべる人は今も多い。しかし現場では多くの男性看護師が活動しているのだ。

そして第3のポイントが、主人公の那須田歩(岡田)と対比する形でベテランのスーパーナース、九鬼静(中井貴一)を置いたことだ。

歩は、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療を行うことが可能な「ナース・プラクティショナー」の資格を持つ。腕もいいが自信過剰でプライドも高い。

そんな歩を「プライドだけが無駄に高く、患者に寄り添えない、不適切で無能なナース!」などと諭せるのは静しかいない。

前シーズンの舞台は、利益第一主義の院長・天乃(松平健)が君臨する「天乃総合メディカルセンター」だった。

今回の「西東京総合病院」では、新たに院長に就任した薬師丸(山崎育三郎)がもくろむ「改革」が、様々な波紋を起こしそうだ。

12年も続いた「ドクターX」が、12月公開の「劇場版」で幕を閉じることが報じられた。〈後継医療ドラマ〉としての真価が問われる秋になる。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2024.10.22)

 


言葉の備忘録406 フリーウエイに・・・

2024年10月22日 | 言葉の備忘録

 

 

 

 

フリーウイに入ってラジオをつけると、運良くモーツァルトが流れてきた。たまには人生も素晴らしいものになる。しかしそうなるかどうかはわたしたち次第という場合もあるのだ。

 

 

チャールズ・ブコウスキー『死をポケットに入れて』

 

 

 


感謝と合掌の「10月21日」

2024年10月21日 | 日々雑感

 

 

 

今日

10月21日は、

母の命日。

 

今年も合掌。