碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

【新刊書評2023】 5月後期の書評から 

2023年09月30日 | 書評した本たち

信州土産「信州アルクマびより ショコラサンドクッキー」

 

 

【新刊書評2023】

週刊新潮に寄稿した

2023年5月後期の書評から

 

 

樋口卓治『危険なふたり』

幻冬舎 1760円

樹木希林と内田裕也。他者には想像もつかない、独特の関係を続けた夫婦だ。この2人が主役のホームドラマの制作が決まった。シナリオを手掛けるのは、売れない脚本家の草生介(そうすけ)だ。数々のエピソードは残されているが、それだけではドラマにならない。鬼才と呼ばれる大物監督に罵倒され、悩む草生介。そんな彼の前に現れたのは、何と希林その人だった。笑えて泣ける創作活動小説だ。(2023.04.20発行)

 

本橋信宏『歌舞伎町アンダーグラウンド』

駒草出版 1760円

上野、新橋、高田馬場などに続くシリーズ最新刊。舞台は「人間の欲望を満たす施設がすべて揃っている」歌舞伎町だ。今回もワケありの面々が登場する。裏社会の男たち、ヤクザの街で暮らす女たち、半生を明かすキャバクラ嬢、生活と意見を語るホストなどだ。彼らの多くが「敗者復活戦ができる街」と言う歌舞伎町。非日常の妖しさと自分だけのチャンスを求め、今日も誰かがこの街にやって来る。(2023.04.29発行)

 

猪熊弦一郎『マチスのみかた』

作品社 2970円

画家の猪熊弦一郎が亡くなったのは1993年5月。今年は没後30周年にあたる。30代半ばでパリに渡り、マチスの指導を受けた猪熊。本書は当時の訪問記を含め、マチスの人と芸術をめぐる文章を集めた一冊だ。豊富な図版を材料に、作品の変化や技法の秘密に迫っている。たとえば彼のデッサンは美しく、楽しく、ごまかしがないと絶賛。8月まで東京都美術館で「マティス展」が開かれている。(2023.04.27発行)

 

渡部素次『昭和・平成に誕生した 懐かしの国産車』

三樹書房 3080円

トヨタのパブリカ、コロナ、セリカ。日産のセドリック、グロリア、スカイラインGT-R。そしてマツダのキャロル360、カペラ、サバンナなど。懐かしいクルマたちが当時の「カタログ」で甦る。昭和26年生まれの著者は島根在住の医師。少年時代から集めたカタログは膨大な数で、厳選した42台は個性豊かな傑作車ばかりだ。著者のクルマ愛と作り手たちへの敬意に満ちた解説文も読み応えがある。(2023.05.05発行)

 

稲田豊史『こわされた夫婦~ルポ ぼくたちの離婚』

清談社 1760円

離婚を経験した男女に、その経緯や顛末を聞いたルポルタージュだ。取材対象としては男性が多い。著者によれば、最近は離婚の背景に「社会問題」があるという。貧困、不妊問題、ジェンダーロール(性別による役割)、虐待などだ。それらを反映した妻たちの暴走が止まらない。夫は「不機嫌をぶつけていい相手」だった妻。「私を察しろ」と迫る妻。反面教師として参考にしたい事例が並ぶ。(2023.05.10発行)

 

半藤一利『戦争の時代1926~1945 半藤先生の「昭和史」で学ぶ非戦と平和 上』 

平凡社 2420円

2021年に90歳で永眠した半藤一利は昭和史に関する多くの著作を遺した。このシリーズは、『昭和史1926-1945』、『昭和史 戦後篇1945-1989』、『B面昭和史1926-1945』、そして『世界史のなかの昭和史』の四冊を、それぞれ二分冊にして全八巻に再編集したものだ。本書で探っているのは満州事変、二・二六事件、日中戦争などの実相だ。昭和史を見つめ直すことで、非戦と平和の意味を再認識する。(2023.04.19発行)

 

酒井順子『日本エッセイ小史~人はなぜエッセイを書くのか』

講談社 1760円

エッセイストである著者による、エッセイをテーマとしたエッセイ集だ。「際立って輪郭がはっきりとしてしない」ジャンルであるエッセイは、「文芸世界における雑草のような存在」だと著者は言う。「随筆をエッセイに変えた」といわれる、伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』が登場したのは1965年。60年近い歴史を振り返り、時代との連動やテーマの変遷を見つめ、エッセイの未来も語っている。(2023.04.24発行)

 

森達也『歯車にならないためのレッスン』

青土社 2420円

「僕はジャーナリストではない」と著者。常に優先するのは「自分の主観」だからだ。しかし、そのおかげで客観性を標榜する組織ジャーナリズムが伝えない、物事の本質に迫る評論活動ができる。本書は2017年から22年にかけての時評集だ。敵基地攻撃の正当化に始まり、公文書改ざん、辺野古の新基地建設、「表現の不自由展・その後」の展示中止問題などが並ぶが、その背景は繋がっている。(2023.04.30発行)

 


【気まぐれ写真館】 雲間の「中秋の名月」

2023年09月29日 | 気まぐれ写真館

2023.09.29 20時38分


【新刊書評2023】 5月前期の書評から 

2023年09月29日 | 書評した本たち

信州「松本駅」旧駅舎の看板

 

 

【新刊書評2023】

週刊新潮に寄稿した

2023年5月前期の書評から

 

 

和田京子:編『北斎富嶽二〇〇景』

平凡社 4180円

北斎といえば「富士山」が思い浮かぶ。有名な『冨嶽三十六景』や『富嶽百景』以外にも多くの作品で富士山を描いている。本書は富士山を通して北斎の画業をたどる、ビジュアル版の一代記だ。北斎の特徴は「機知に富む場面と説得力のある精緻な構図」だが、富士図では特に顕著となる。肉筆画1点を除き、メトロポリタン美術館やボストン美術館など海外の所属品で埋め尽くされた豪華版だ。(2023.03.22発行)

 

宇都宮ミゲル『一球の記憶』

朝日新聞出版 2178円

シンプルだが強い書名だ。登場するのは昭和の球界で活躍した37人の名選手。自身の「忘れられない、あの一球」を明かしていく。梨田昌孝が挙げるのは父の命日に打った3ランホームラン。村田兆治は好敵手だった南海の門田博光との対戦だと言う。そして掛布雅之にとってのそれは、入団4年目にヤクルトとの開幕戦で放った満塁ホームランだ。読者も至高の一球がもたらす至福の瞬間に立ち会える。(2023.03.30発行)

 

岡崎武志:編『上京小説傑作選』

中公文庫 1100円

それぞれの事情を抱えて地方から東京にやってくる人たちを、著者は「上京者」と呼ぶ。そして彼らを描いたのが「上京小説」だ。文庫オリジナルの本書には、旧制三高から東京帝大に進んだ梶井基次郎の『橡(とち)の花』や、二十歳で東洋大学に入学した坂口安吾の『二十一』などが並ぶ。歌手を目指して上京した浅川マキが、世に出る前の自身を書いた『プロデューサー』が読めるのも貴重だ。(2023.04.25発行)

 

西崎伸彦『消えた歌姫 中森明菜』

文藝春秋 1760円

昨年、デビュー40周年を迎えた歌手・中森明菜。圧倒的な歌唱力と表現力で今も多くのファンを持つ。しかし、表舞台から姿を消して6年近くが過ぎた。人はなぜ明菜に惹かれるのか。本書は、綿密な取材で答えを探そうとするノンフィクションだ。生い立ち、デビューと躍進、事務所と家族への不信、そして自殺未遂と混迷の90年代。才能がもたらす栄光と悲惨をくぐった歌姫の明日はどっちだ?(2023.04.10発行)

 

椎根 和『49冊のアンアン』

フリースタイル 2200円

雑誌『アンアン』の誕生は1970年3月。女性誌だけでなく雑誌自体の概念を変える、斬新なビジュアル・ファッション・マガジンだった。創刊から2年間、堀内誠一がアートディレクターとして手掛けたのが49冊だ。起用されたのは立木義浩や篠山紀信など、当時新進気鋭の写真家たち。堀内はアンアンを「視覚の砦」としていった。本書は創刊編集者だった著者による、貴重な同時代ドキュメントだ。(2023.04.15発行)

 

米田彰男『寅さんとイエス [改定新版]』

筑摩選書 1980円

映画『男はつらいよ』の車寅次郎とイエス・キリスト。この2人が並んで論じられるとは思わなかった。果たして寅さんとイエスは似ているのか。フーテン(風)とは常識をはみ出した者であり、故郷を捨てた者だ。また2人は他者の幸福を願う生き方でも共通している。さらにユーモアの塊だったイエスと、語りや仕草が笑いを生む寅さんが重なる。神学者である著者が新たな視点で解明する人物像だ。(2023.04.15発行)

 

池田道彦『今日も舞台を創る~プロデューサーという仕事』

岩波書店 2640円

著者は長年、渡辺プロダクションの統括マネージャーを務めた後、独立。これまでに約150作品もの舞台を企画・制作してきた。代表作に1974年が初演となる、木の実ナナと細川俊之の『ショーガール』などがある。本書は舞台人生の詳細な回想記であり、昭和・平成のエンタメ史だ。プロデューサーとは何者で、いかにして作品を創り上げるのか。創造とビジネスの両輪を駆動させる力技に拍手だ。(2023.04.12発行)

 


日曜劇場「VIVANT」、たった一つ欠けていたものがあるとすれば・・・

2023年09月28日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

日曜劇場「VIVANT」

たった一つ

欠けていたものがあるとすれば・・・

 

17日に幕を閉じた、日曜劇場「VIVANT」(TBS系)。最終回の世帯視聴率は19.6%、全話の平均視聴率が14.26%だった(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。今期、平均4~5%台の連ドラが多かったことを思うと飛び抜けている。あらためて、このドラマを振り返ってみたい。

まず驚かされたのが、長期モンゴルロケに代表される、壮大なスケールだ。圧倒的な砂漠の風景にも見知らぬ都市の雑踏にも、珍しいものを見ることの快感があった。

次に自衛隊の秘密部隊「別班」という設定が秀逸だった。映画「007」や「ミッション:インポッシブル」などのシリーズを思わせる、ジェットコースター型の冒険スパイアクションの快感だ。

そして何より起伏に富んだストーリーがある。原作は、演出を務めた福澤克雄のオリジナル。「半沢直樹」や「下町ロケット」の八津弘幸ら複数の脚本家が参加し、ハリウッド形式のシナリオ作りが行われた。高速の物語展開。伏線に次ぐ伏線。謎が謎のまま残され、迷路を引きずり回されるような快感を覚えた。

さらに主演の堺雅人をはじめとする俳優陣の熱演だ。ここぞという瞬間で大見えを切る、あのセリフ回しと大写しの表情には、“日曜劇場名物”といえる快感があった。

つまり、このドラマは刹那的な「快感」のオンパレードだったのだ。たった一つ欠けていたものがあるとすれば、恒久的な「感動」かもしれない。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2023.09.27)


『らんまん』の寿恵子(浜辺美波)を、「朝ドラ三大女房」と呼びたいワケとは?

2023年09月27日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

 

『らんまん』の寿恵子(浜辺美波)を、

「朝ドラ三大女房」と呼びたいワケとは?

 

半年間続いてきた連続テレビ小説『らんまん』(NHK)も、いよいよ今週末で幕を閉じます。

関東大震災の前あたりから時間は一気に進み、気がつけば万太郎(神木隆之介)も妻の寿恵子(浜辺美波)も、孫のいる夫婦になっていました。

「寿恵子という存在」の大きさ

ここまで見てきて、つくづく思うことがあります。それは、このドラマにおける「寿恵子という存在」の大きさです。

万太郎はもちろん、見る側にとっても、彼女がいてくれて本当に良かった。いや、助かったということです。何しろ、万太郎という主人公は、良くも悪くも、ずっと同じことを続けてきた人物です。

大学に出入りしようが、それを禁じられようが、また多額の借金を抱えようが、年齢を重ねようが、万太郎がやってきたことはいつも変わりません。ひたすら植物採集を行い、その草花を絵と文で記録し、それが貴重な植物図鑑となっていく。

モデルの牧野富太郎が実際にそうだったのかもしれませんが、ドラマの主人公という意味では、「変化」にとぼしいことは否めませんでした。

その一方で、物語に豊かな「起伏」を与えてくれたのが寿恵子です。

研究に湯水のごとくカネを使う夫のために家計をやりくりし、借金取りたちとの愉快な攻防を繰り返しながら、いつも笑顔を絶やさない。

ついには、自分で「待合茶屋」まで開業してしまった。夫と暮らす長屋ではごく普通の妻であり母でありながら、自分の店では凛とした美しい女将です。

さらに関東大震災の後、万太郎にも知らせず、東京郊外に土地を購入。住居と標本の保存だけでなく、四季の草花と常に接することの出来る環境を整えました。

しかも、それらはカネに無頓着な“坊ちゃん”である万太郎のためだけでなく、自らの意思と選択による、自分の「生きる道」でもあったのです。

寿恵子は「朝ドラ三大女房」の一人に

『南総里見八犬伝』の愛読者である寿恵子は、自分の人生を「冒険」に見立て、夫を支える苦労も困難も常に楽しんできました。

誰をも和ませてしまう笑顔と、ここぞという時の思い切りの良さと勝負勘。その姿が見る側を元気づけ、寿恵子と共に万太郎という“不思議な天才”を応援する気持ちにさせてくれたのです。

『らんまん』における、「もう一人の主人公」だった寿恵子。これはもう、『ゲゲゲの女房』の布美枝(松下奈緒)や、『まんぷく』の福子(安藤サクラ)と並ぶ、「朝ドラ三大女房」と呼んでもいいのではないでしょうか。

そんな寿恵子の魅力を、浜辺さんが全身で表現してくれました。少し早いですが、大きな拍手を送りたいと思います。


【気まぐれ写真館】 九月の空

2023年09月27日 | 気まぐれ写真館

2023.09.26


【気まぐれ写真館】 この秋、初めて見たトンボ

2023年09月26日 | 気まぐれ写真館

2023.09.25


この夏、いきなり出現した「なりすましドラマ」とは?

2023年09月25日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

バットマンになりすました(?)どーもくん

 

この夏、いきなり出現した

「なりすましドラマ」とは?

 

「なりすましドラマ」の多発

この夏、いきなり2本の「なりすましドラマ」が出現しました。

なりすます(成り済ます)とは、「実際はそうでないのに、なりきった風をする」こと。

たとえば、Aという人物が、Bという人物を装って行動すれば、それは「なりすまし」になります。

これを物語の主要な要素としたドラマを、「なりすましドラマ」と呼びたいと思います。

若村麻由美主演『この素晴らしき世界』

1本目の「なりすましドラマ」は、先日幕を閉じた『この素晴らしき世界』(フジテレビ系)です。

パート主婦の浜岡妙子(若村麻由美)は突然、芸能事務所から驚きの依頼を受けます。

大女優・若菜絹代(若村の二役)のスキャンダルが発覚し、謝罪会見を開きたい。しかし本人はアメリカへと逃走してしまった。

容姿がそっくりの妙子に、「若菜の代役を務めてほしい」というのです。

妙子は一度だけのつもりで会見を乗り切りますが、それで終わりではありませんでした。

若菜としての出演だけでなく、事務所が抱えた大問題にも巻き込まれ……。

しかし妙子は、なりすましの体験を通じて、本来の自己を「再発見」していきました。

そもそも主演の若村さん自身が、体調不良で降板した鈴木京香さんの代役です。

とはいえ、「平凡な主婦」と「大物女優」、さらに「女優になりすました主婦」という3態を、若村さんならではの表現で演じ分けて、見事でした。

蒔田彩珠主演『わたしの一番最悪なともだち』

2本目の「なりすましドラマ」が、現在も放送中の夜ドラ『わたしの一番最悪なともだち』(NHK)です。

主人公の笠松ほたる(蒔田彩珠)は就職活動中の大学4年。でも、なかなか内定が得られず、途方に暮れていました。

ある日、幼なじみの鍵谷美晴(高石あかり)のキャラクターを「借用」してエントリーシートを書き、第1志望の会社に送ると通過してしまう。

小学生の頃からクラスのもめ事を鮮やかに収め、高校でのトラブルも柔軟な発想で解決した美晴。大学ではダンスサークルの中心メンバーです。

ほたるにとって、何かと鬱陶(うっとう)しい存在でありながら、「こんな自分だったらいいのに」と思っていたことに気づきます。

その後、1次面接も突破して次へと進みますが、気持ちは晴れないままでした。

そして最終面接では、ついに面接官から「あなた(自身)の話が聞きたい」と言われてしまう。ほたるは、半ば開き直って自分の思いを語り始めます。

仮面をつけて外界と向き合ったことで、逆に自分にとって「大切なもの」が見えてきたのです。

結果的にこの会社から内定をもらい、無事入社。ドラマでは現在、社会人3年目です。

蒔田さんはNHK朝ドラ『おかえりモネ』(2021年)でヒロインの妹、『妻、小学生になる。』(TBS系、22年)では堤真一と石田ゆり子の娘を好演。

映画『万引き家族』(18年)など是枝裕和監督作品の常連でもあります。

今回がドラマ初主演ですが、ほたるが抱える自身へのモヤモヤも、美晴への複雑な心境も繊細な演技で見せています。

「なりすましドラマ」の効能

「なりすましドラマ」のヒロインたちが、戸惑いながら得るのは「複眼の視点」です。

素の自分と別人格になった自分。そのギャップや落差の中に、これまでとは違う「自分の居場所」を見つけるヒントがあるのです。

年齢に関係なく、誰もが人生を「再構築」できることを示してくれるのもまた、「なりすましドラマ」の効能かもしれません。

新作『ミワさんなりすます』は、「なりすましドラマ」の本命!?

さらに、この秋、同じ夜ドラ枠で『ミワさんなりすます』が放送されます。

原作は青木U平さんの同名漫画で、主人公は映画サブカル好きの29歳フリーター、久保田ミワです。

国際的俳優・八海崇(やつみ たかし)の熱烈なファンであるミワは、ふとしたきっかけでスーパー家政婦・美羽(みわ)さくらになりすまし、八海邸で働くことになります。

身元がバレることへの恐怖。八海の近くにいられる喜び。両者の間で揺れるミワの日常が、なかなかスリリングです。

ドラマでミワを演じるのは、松本穂香さん。八海役は堤真一さん。いいキャスティングです。

原作を踏まえながらも、ドラマならではの世界観が現出するのではないか。

「なりすましドラマ」の本命として、今から楽しみです。


【気まぐれ写真館】 母校での講演会

2023年09月24日 | 気まぐれ写真館

長野県松本深志高校

変わらない風景が嬉しい

トンボの校章

卒業50周年(深志25回卒)の同期たち

2023.09.23

 


日刊ゲンダイで、月9ドラマ「真夏のシンデレラ」について解説

2023年09月23日 | メディアでのコメント・論評

 

 

月9ドラマ「真夏のシンデレラ」

歴代ワースト視聴率

大爆死の必然

 

森七菜(22)と間宮祥太朗(30)がダブル主演を務めるフジテレビの〝月9〟「真夏のシンデレラ」の最終回の平均世帯視聴率が6・3%(関東地区・ビデオリサーチ調べ=以下同)だったことがわかった。全10回の平均世帯視聴率は5・7%で、これは18年1月期の「海月姫」の6・1%を下回り、月9史上ワーストとなってしまった。

今季のドラマでは、日曜劇場「VIVANT」(TBS)が最終回で世帯視聴率19.6%と有終の美を飾り、SNS上では、いまだ〝考察〟が続き、続編への期待が高まっているのとは対照的だ。

やはり今時、恋愛ドラマは流行らないのか。それとも恋愛に興味がある若い人ほど配信での視聴が中心だからここまで落ち込んだのか。しかし一番の理由は、何よりもその内容にあったようだ。

メディア文化評論家の碓井広義氏は、「申し訳ないけど、今回はよく5・7%行ったよねと思うくらい、もっと惨敗してもおかしくないダメなドラマだったと思います」としてこう話す。

「まず『真夏のシンデレラ』という設定からして疑問です。今どき、貧しい女の子がお金持ちの男の子に見染められて幸せを掴む〝格差恋愛〟なんて誰も望んでいないでしょう。

今の若い女性は、そうした『シンデレラ願望』を持っている人なんていないですよ。欲しいものは自分で手に入れようという考え方が主流の時代に、これは作り手たちが頭の中で考えたもので、完全に時代を読み間違えていると言わざるを得ない」

また、その描き方にも大いに疑問符がつくという。

「ドラマは物語と登場人物が重要な要素ですが、今回は、その両方ともいかがなものかと。ストーリーは、家庭や学歴に恵まれない、いかにもな3人の女性と、中途半端にセレブな5人の男性によって展開します。

頭のどこかに往年の名作『男女7人夏物語』などがあったのかも知れませんが、ひとりひとりの掘り下げ方が浅く、ドラマ全体が平板で物語に起伏がない。海辺が舞台となっていますが、まるで金魚鉢の狭い世界の中で、8匹のメダカがつつきあってるかのようです。これでは視聴者は引き込まれないでしょう。

さらに登場人物に関しては、森七菜演じる主人公は〝明るくてサバサバした性格〟ですが、恋愛ドラマとしては、憧れや共感を得にくく、感情移入できないキャラクターでした。男性陣もよくなくて、画面に出てくるだけで萎えてしまうような感じでした。いい俳優を使っているのにこれではまるで活かせていない」

長らくドラマを見つめてきた碓井氏はこう言った。

「今回の視聴率を見て、視聴者はいいドラマと悪いドラマはちゃんと見分けるんだなとむしろ安心しました。視聴者はやはりレベルの低いドラマには反応しないんです。恋愛ドラマがダメなのではなくて、ダメな恋愛ドラマがダメなんですよ」

看板の枠に大いにドロを塗る格好になってしまった今作だが、今後の作品でリベンジを目指すしかなさそうである。

(日刊ゲンダイ 2023.09.22)


【気まぐれ写真館】 「晴天・雨・強風の一日」の終わり

2023年09月22日 | 気まぐれ写真館

2023.09.21


朝ドラ「らんまん」 寿恵子がいてくれて本当に良かった

2023年09月20日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

NHK朝ドラ「らんまん」

寿恵子がいてくれて本当に良かった

 

連続テレビ小説「らんまん」(NHK)の放送も、ついに残り10日を切った。ここまで見てきて、つくづく思うことがある。

槙野万太郎(神木隆之介)の妻、寿恵子(浜辺美波)がいてくれて本当に良かった。いや、助かったということだ。

何しろ万太郎という主人公は一つのことを続けてきた人物だ。ひたすら植物採集を行い、その草花を文と絵で記録していく。それが貴重な植物図鑑となるのだが、やっていることは常に同じだ。

一方、物語に適度な起伏を与えてきたのが寿恵子だった。研究に湯水のごとくカネを使う夫を支えて家計をやりくりし、借金取りたちとの攻防を繰り返しながらも、常に笑顔を絶やさない。

ついには経済的安定を得るためにと、自分で「待合茶屋」まで開業してしまった。カネに無頓着な“坊ちゃん”である万太郎のために奮闘する寿恵子こそ、このドラマのもうひとりの主人公だ。

「ゲゲゲの女房」の布美枝(松下奈緒)、「まんぷく」の福子(安藤サクラ)と並ぶ、「朝ドラ三大女房」である。

夫と暮らす長屋ではごく普通の奥さんでありながら、自分の店では凛として美しい女将へと変貌する寿恵子。

妻や母という役割にとどまらず、自分で自分の生き方を決める、当時としては新しい女性像を打ち立てている。

そのギャップと落差の魅力を、浜辺が鮮やかに演じ切ってくれた。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2023.09.19)

 


『映像の世紀 バタフライエフェクト』が生み出す、目で見る歴史の「臨場感」

2023年09月19日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

『映像の世紀 バタフライエフェクト』が生み出す、

目で見る歴史の「臨場感」

 

今年の夏もまた、何本もの戦争関連番組が放送されました。

その多くは日本の敗戦で終わっているわけですが、もちろん歴史の流れが止まることはありません。

アーカイブス映像からプライベートフィルムまで

8月21日放送のNHKスペシャル『映像の世紀 バタフライエフェクト~GHQの6年8か月 マッカーサーの野望と挫折~』は、戦後の「占領期」を舞台としていました。

GHQとは「連合国軍最高司令官総司令部」の略称です。

昭和20年8月30日、厚木飛行場に降り立った連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーは、そこから横浜へと移動しています。

イギリスの従軍記者が撮ったプライベートフィルムには、マッカーサーが見たものと同じ景色が記録されていました。

驚くのは、マッカーサーが通過する沿道に、数多くの日本兵がいたことです。

しかも彼らは皆、道路に「背を向けて」立っていました。

それは戦勝国の最高司令官を「守ろう」とする、「敬意のジェスチャー」だったのです。

歴史的人物の映像と肉声

マッカーサーは、「五大改革」と呼ばれる政策を断行していきました。

婦人の解放、労働組合の奨励、教育の民主化、経済機構の民主化、そして圧政的諸制度の廃止です。

政治犯や思想犯が釈放され、たとえば18年間刑務所にいた日本共産党の徳田球一も出所しました。

後に、GHQによってパージ(追放)されることになる徳田ですが、インタビューに応えて「連合国軍と人民大衆の同情と絶大なる援助のもと、解放された」と笑顔で語っています。

マッカーサーをはじめとする、歴史的人物の映像と肉声による臨場感は、この番組の真骨頂です。

また、日本国憲法が生まれる過程も実に興味深い。

憲法改正調査会の試案を見たマッカーサーは、日本政府には民主主義的な憲法は作れないと判断し、民政局に草案作りを命じました。

その際、「マッカーサー・ノート」で基本原則を示しています。

一つは天皇が最上位にあること。

もう一つが国の主権的権利としての戦争の廃止、つまり戦争放棄でした。

憲法9条につながる考えが、すでに挙がっていたのです。

歴史への新たな視点

しかし、やがてアメリカは占領政策の転換へと動きます。

民主化・非軍事化に逆行する方針を打ち出す、いわゆる「逆コース」でした。

昭和25年、朝鮮戦争が勃発。マッカーサーは国連軍司令官となります。

そして治安の空白を埋めるために、警察予備隊(後の自衛隊)の創設を指令。

自ら手掛けた憲法9条があるにもかかわらず、日本の再軍備を進めていきます。

マッカーサーは何をもたらし、何を失わせたのか。

当時の日本に与えた影響が、現在も続いていることが伝わってきました。

世界各国から収集した貴重なアーカイブス映像をもとに、歴史への新たな視点を提示する、この番組の意義もそこにあります。


【気まぐれ写真館】W杯ラグビー、対イングランド戦

2023年09月18日 | 気まぐれ写真館

 

 

午前4時のキックオフ。

 

途中で

寝ちゃうかもしれませんが(笑)、

可能なところまで

応援です。

 

強い相手だけど、

がんばれ!

 

 


言葉の備忘録341 いいドラマは・・・

2023年09月17日 | 言葉の備忘録

 

 

 

いいドラマは

いい脚本からしか生まれない。

寿司職人が何かのインタビューで、

いい舎利があってこそ、

いい寿司が完成すると言っていた。

脚本は舎利なのだ。

 

 

樋口卓治『危険なふたり』