碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

『週刊新潮』でNHK「あさイチ」の暴走(笑)についてコメント

2011年09月30日 | メディアでのコメント・論評

発売中の『週刊新潮』最新号に、NHK「あさイチ」で放送された、「閉経」特集に関する記事が掲載された。

この日の「あさイチ」、なかなかディープな(笑)内容ではありました。

記事の中で、コメントしております。


有働サン!
朝から「閉経」と「セックス」は見たくない


平日の午前8時15分、TVで<閉経><セックス><潤滑ゼリー>と連呼されたら。

眠気はふっ飛び、不快感だって催すではないか。

それをやってのけたのは、またしても。9月26日放送の「あさイチ」(NHK)だ。

セックスレス特集や有働由美子アナ(42)の脇汗で話題となり、今や朝の名物になりつつある番組はこの日、<“閉経”を語ろう>をテーマに選んだ。

ゲストに迎えた作家の室井佑月氏、元おニャン子クラブの城之内早苗、タレントのRIKACOとは対照的に、所在無げなV6の井ノ原快彦、柳澤秀夫解説委員の男性キャスター2人。

しかし、有働アナはいつもの通りの爽やかさで、「しっかり見つめて、明るく楽しく語ろうということでございます」と、切り出す。

閉経を目前に控えた“お年頃”中年女性たちは、座談会で<閉経して、もう女として使いものにならない>と嘆き、<そんな気にならなくなる>ことへの不安を吐露していく。

しかし、さすがは有働アナ。<現在は良好?>と訊ね、<普通に>との回答を引き出す。さながら深夜の女子会の様相を呈していくのだ。

続けて、専門家へのインタビューを基に、閉経による身体や体型の変化、精神面にも触れていくが、番組後半で、またまたセックス。

更年期女性にとって悩ましいのが<性交痛>で、これは<粘膜を潤す>役割を果たす女性ホルモンが激減し<膣の乾燥>が起こることが原因だと、ご丁寧に説明。

<(性交痛に関する)話ができないためセックスレスになり、夫婦別れになる>ケースがあると産婦人科医が解説すれば、室井氏も、「仲良くなりたくてするのに、痛いのはイヤじゃないですか」

しかし、愚痴で終わらせないのが「あさイチ」の親切心であり、余計なところ。

<閉経後、膣の乾燥と性交痛に悩んだというAさん>の例を紹介。膣を潤す“潤滑ゼリー”と産婦人科で処方された“膣座薬”で克服した経験談を披露。

続けて、その夫も、「閉経後の性生活の方が大事だと思うんです。細かいことは気にしないで」と、夫婦円満の秘訣を明かしたのだ。

活字メディアでは珍しくない類のハウツー情報だが、朝一番にNHKで。

いいのか?

  閉経してジャニーズ

上智大学の碓井広義教授が、眉をひそめる。

「女性にとって関心が高いテーマをテレビが取り上げることは否定しません。

ただ、番組や時間帯というTPOを配慮するべきです。

NHKには情報から健康番組まで様々な選択肢があるわけですからね。

高視聴率もあって、「あさイチ」は、タブーへの挑戦だと自信を持ってやっているのでしょう。

チャレンジ精神は評価しますが、朝っぱらから流されてはたまりませんね。

この番組の暴走が心配です。ますます過激になっていかなければ良いのですが」


しかし、この“実用的な”特集には、番組終了までに600通近いFAXが寄せられた。

選ばれた1通には<閉経して、大好きなジャニーズやK-POPにハマって楽しく過ごしています>との声も。

それって閉経と関係ないじゃないか、という視聴者の戸惑いを余所に、放送終了間際、有働さんはポロっと、言ってのけた。「これ、またやりますかね」

え!? これ以上、どう踏み込むの?

(週刊新潮 2011.10.6号)


・・・・そうですか、「眉をひそめ」ましたか(笑)。

まあ、番組自体が好調なので、イケイケドンドンなのは分かるのですが、「置きどころ」ってもんはあると思うのだ。

次は何をやってくれるんだろう。


札幌へ

2011年09月29日 | テレビ・ラジオ・メディア

今日、札幌へ。

番組出演と、新たな番組制作の打ち合わせがある。

ぜひ、ヒコーキは宙返り、いや背面飛行をしないで欲しい(笑)。



++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

<番組出演>

9月30日(金)

6時25分~
HTB「イチオシ!モーニング」

9時54分~
UHB「のりゆきのトークDE北海道」

15時45分~
HTB「イチオシ!」

テレビ東京「ありえへん∞世界」の放送倫理違反

2011年09月28日 | テレビ・ラジオ・メディア

テレビ東京「ありえへん∞世界」の内容に関して、放送倫理・番組向上機構(BPO)が意見書を公表した。

沖縄・南大東島のサトウキビ農家を取り上げた回が、放送倫理に違反していると言うのだ。


テレ東バラエティーで放送倫理違反=BPO

放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会は27日、沖縄・南大東島のサトウキビ農家を取り上げたテレビ東京の情報バラエティー番組「ありえへん∞世界」(1月25日放送)に放送倫理違反があったとの意見を公表した。

意見書によると、同番組は農家の年間売り上げを「年収1000万円超」と表現し、経費を除いた所得と誤解されるような伝え方をした。「事実を正確に伝えず、誤った認識に視聴者を導き、偏見をあおる結果を招いた」と指摘した。 

(時事通信 2011.09.27)



以下は、BPOが発表した「意見書」からの抜粋です。

●意図的な情報操作が行われている。つまり、これは過失ではなく、「故意」である。

●制作スタッフが考える「面白さ」が、取材を通して把握された「事実」よりも優先。

●番組は「事実に基づ」かず、「公正」さに欠けた「過剰な演出」となり、「一方に偏るなど視聴者に誤解を与え」るだけでなく、そのことによって取材に協力してくれた「個人」と、南大東島に暮らす人たちの「名誉を傷つけ」るような素地が作られていった。

●ここには、制作者は取材協力者との関係をどう考えるのか、という問題がある。

●島民たちの現実を置き去りにし、事実から遊離した過剰な演出となり、視聴者に誤解を与えるだけでなく、島民たちの名誉を傷つけるものとなった。

●制作体制の緩みがなかったか、編集・演出の手法に独断がなかったか、制作者と出演者との意思の疎通に問題がなかったか等、番組の原点に立ち返って再点検していただきたい。


・・・・これらの「意見」は、ごく真っ当なものであり、BPOに賛成したい。

ただ、その上で、意見書では分からなかった部分が一点ある。

沖縄地方で見られる局は、NHK、NHK教育、琉球放送(TBS系)、沖縄テレビ(フジテレビ系)、琉球朝日放送(テレ朝系)の5つだ。

テレビ東京の番組は、基本的には見られないのである。

もしも制作者たちが、「取材した現地の人たちは番組を見ることはない(見られない)」ことを前提に、いや、そのことを隠れ蓑に、自分たちにとって都合のいい、事実とは異なる内容を伝える番組作りを行ったのであれば、さらに悪質だ。

その辺りについてのヒアリングがあったのかどうか。


いずれにしても、「またもや制作会社」というのが、制作会社出身の私としては残念でならない。

放送されている番組の多くに制作会社が関わっているのだから当然、という言い方も出来るだろうが、最近のテレビ局の不祥事のほとんどが“制作会社がらみ”で起きている現実は無視できない。


文学部「1年生研修」にて

2011年09月27日 | 大学

我が新聞学科を含む文学部で、恒例の「1年生研修」が行われた。

秋学期を控えたこの時期、入学から半年を経た1年生に向けての特別講座だ。

自分の学生時代と比べると、この辺り、本学は実にきめ細かい(笑)。

今回、私が担当したのは、「大学での学び」についてのミニ講演。

相手は新聞学科と哲学科という、不思議な組み合わせ(笑)の1年生たちだった。

話した内容は、全体として彼らの“ヒント”になればと考えたもので、
以下のようなキーワードというか、キーフレーズを挙げながらの45分でした・・・・


●「自分は何を知らないか」を知る

●「知らないことをどうしたら知ることができるか」を知る

●自分を「デザイン」する

●自分を「編集」する

●自分の「ナビゲーター」「キュレーター」を見つける

●本を読むこと=著者との時空を超えた対話

●大きな書店を「彷徨う」ことのススメ

●松岡正剛さん「松丸本舗」(丸善丸の内本店)の面白さ 

●自分の「知の見取り図」を作る

●ゼミは大学での学びの中心となる「場」

●主体的に動くことでゼミの効果は倍加する 等々



・・・・どれくらい届いたのかは分かりませんが、講演終了後に、予期せぬ拍手をもらいました(笑)。

深夜ならではの「有田とマツコと男と女」

2011年09月27日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「TV 見るべきものは!!」。

今週は、TBS「有田とマツコと男と女」について書きました。


深夜だから楽しめる
有田とマツコの猥雑さと毒気


金曜の深夜、いつもゆる~い気分で見ているのが「有田とマツコと男と女」(TBS)だ。

タイトル通り、有田哲平とマツコ・デラックスと一般人50名によるスタジオ・トークショーだが、この秋で堂々一周年を迎える。

ウリは司会の2人に乗せられた「普通の人」たちが語る〝笑える下ネタ系エピソード〟だ。

先週も「異性にドキッとする瞬間」てなお題だったが、「前かがみになった時の胸元」が男性だけでなく、女性からも支持があったりして可笑しかった。

この番組の良さは出てくる素人の年齢が10代から60代までと幅広く、職業や趣味嗜好もバラエティに富んでいることだ。

それはちょっとした社会の縮図であり、今どきの世の中を垣間見られる。

そして、同じ素人でも、かつての「恋のから騒ぎ」(日テレ)などと違って、彼らの中に「番組出演をきっかけに顔と名前を売ろう」といった軽薄な女子アナ志望、タレント志願がいないのもいい。

来月はゴールデンで特番をやるそうだが、視聴率がよかったとしても深夜からゴールデンに移そうなどと考えないでほしい。

早い時間帯での放送なら、有田とマツコの猥雑さも毒気も薄めるしかないわけで、番組のよさが失われる。

(日刊ゲンダイ 2011.09.26)


『TBSレビュー』で話したこと

2011年09月25日 | テレビ・ラジオ・メディア

インタビュー出演した、25日の『TBSレビュー』。

オン・エアを見て、いいと思ったのは、BPO(放送倫理・番組向上機構)の「若きテレビ制作者への手紙」を、番組キャスターの木村郁美アナウンサーが“朗読”していたことだ。



テロップで文字を出すだけでなく、じっくりと読み上げてもらったおかげで、視聴者にその内容がきとんと伝わってきた。

スタジオには、「手紙」を執筆した、BPO放送倫理検証委員会委員で作家の重松清さん。



文章も分かりやすかったが、その解説も聞きやすかった。

何より、この手紙に、制作の「現場」にいる人たちに対する“応援”“声援”という意味が込められていることが理解できた。

ただ、ひとつ気になったのは、番組内で木村アナがしていた、BPOが審議した事案の説明。

3つのうち2つが毎日放送の「イチハチ」(すでに打ち切り)で起きたものだ。



この番組は確かに毎日放送の制作だが、関東の視聴者はTBSで見ていたわけで、「ウチは毎日放送が作ったものを流しただけなので関係ない」とは言えない。

言っていないけど(笑)。

毎日放送とTBSの関係や放送責任について、ひと言あってもよかったのではないか。そんな風に思った。

私のインタビューは、全体の終盤に登場。



使われていた談話を採録すると、ざっと以下のようなものでした・・・・


この「手紙」に書かれていることは、実はテレビの制作者にとっては基本中の基本なんですよね。もっと言えば、基本以前のことかもしれません。

だけども、あえてそれを書かなければいけない、言わなければならない現状が今のテレビなのではないか。

たぶん、そういう風に、書いた方も考えたんじゃないかな、と思います。

ものすごく乱暴な言い方をすれば、「制作現場の劣化」ですよね。

今、番組を作る時に、いろんなハードルがあります。

制作期間が短い、時間がない。お金がない、予算が少ない。人手が足りない。知恵が出ない。いろんなことがあります。

しかし、それは今までのテレビの歴史の中でも変わらなかったことで。

もちろん、「今が一番大変だ」と言われれば、そうかもしれませんが、作るものが「こんなもんでいいじゃないか」という所に陥っているのではないか。そんな気がするんですよね。

一旦、自分たちでハードルを下げてしまったら、どこまでも堕ちていきます。

そこでギリギリ踏ん張れるかどうかが、作り手の一番大事なところなんですが、その部分のストッパーが効かなくなっているような。

特に若い人たち、若い制作者の人たちが、何を以って自分を維持するのか、分からなくなっているんじゃないか。

やはり3月11日の大震災が契機になったと思うのですが、世の中の気分とか意識が、いろんなジャンルで変わってきています。

テレビも、「3・11以後」のメディアとして、自分たちのことを考えなくてはならない。

存在意義とか、意味とか、そういうものを問われる時代になりました。

そんな中で、これまでと同じように、「ま、こんなもんでいいだろう」「時間もないし、お金もないし」「笑ってもらえばいいや」「可笑しければいいや」というだけでは、これからのテレビはやっていけない。

そういう時だからこそ、制作現場の一人一人に、この手紙が読まれるべきだし、内容について、ぜひ考えてみて欲しいです。



・・・・インタビューVTRが終わり、スタジオに戻った際、重松さんが「手紙の背後にあるものまで指摘してもらった」と話していらしたのが、嬉しかったです。

「手紙」はBPOのサイトで読むことが出来ますので、興味のある方はぜひ、ご一読ください。

「若きテレビ制作者への手紙」
http://www.bpo.gr.jp/kensyo/decision/011-020/012_k_letter.pdf


明日25日(日)、『TBSレビュー』にインタビュー出演

2011年09月24日 | テレビ・ラジオ・メディア

お知らせです。

明日25日の朝、TBSの検証番組『TBSレビュー』に、インタビュー出演します。

番組は、「BPOによる”若き製作者への手紙”は2つの情報バラエティの審議入りをきっかけに意見書とともに書かれた。BPOはなぜこうした試みをしたのか。これをもとに良質の番組作りのありかたを考えていく」という内容。

この手紙は、BPO放送倫理検証委員会委員で作家の重松清さんによって書かれたものであり、重松さん自身が、その意図などをスタジオで説明してくださる予定です。

今回、私はインタビュー取材を受けており、VTR部分で登場するはず。

休日早朝につき、録画予約して(笑)ご覧ください。


「TBSレビュー」

放送:2011年9月25日(日) 5時30分~6時00分

今週の「読んで書いた本」 2011. 09.24

2011年09月24日 | 書評した本たち

用事があって、茅ヶ崎へ。

電車の中で読んでいたのは、東野圭吾さんの新作『マスカレード・ホテル』(集英社)。

本の間に挿入されていたのが「投票ハガキ」だ。

「あなたの好きな東野圭吾作品を5点選んで、投票してください」とある。

面白い作品は多いぞ。

さあ、どうしよう?


   (今日の茅ヶ崎は晴れ。国道一号線は混雑)


今週の「読んで(書評を)書いた本」は、以下の通りです。

佐々木譲 『密売人』 角川春樹事務所 

海堂 尊 『救命~東日本大震災、医師たちの奮闘』 新潮社
 
谷口桂子 『一寸先は光』 講談社 
   
土屋賢二 『幸・不幸の分かれ道~考え違いとユーモア』 東京書籍 

すがやみつる 『仮面ライダー青春譜~もうひとつの昭和マンガ史』 
ポット出版

宇田川悟 『最後の晩餐』 晶文社

小林健治 『差別語不快語』 にんげん出版 
   


・・・・人生のエンディングで食べたいもの?

『最後の晩餐』では、いろんな人がそれに答えているが、どこか人柄も読み取れたりして、面白い。

うーん、自分ならどうしようか。

案外、豪華料理とか特殊なものではなく、普段の、日常の食事を選ぶかもしれない。

子どもの頃に、母親が作ってくれた「ウインナ炒め」とか(笑)。


* 上記の本の書評は、発売中の『週刊新潮』(9月29日号)に
  掲載されています。



BPOが、「セシウムさん」問題で<提言>

2011年09月23日 | テレビ・ラジオ・メディア

22日に、BPO(放送倫理・番組向上機構)が、「東海テレビ放送『ぴーかんテレビ』問題に関する提言」を発表した。

BPOからの「提言」自体が珍しいものだ。

今回の「セシウムさん」問題をふまえて、他の放送局にとっても参考になる「提言」を目指したという。

とりあえず、印象に残ったポイントだけ、整理しておきたい。


●この番組の総スタッフ中、社員は十数人で、82パーセントが外部スタッフであり、しかも経験の浅い者の割合が高かった。

●番組制作費は過去約3年間で9パーセント削減。

●制作スタッフの人数がぎりぎりで、ひとりが担当する仕事の量も種類も多く、多忙をきわめていた。それがスタッフ間のコミュニケーション不足、チェック体制の低下につながる。

●制作現場は「スタッフ同士、顔も名前もわからない希薄な関係」

●余裕のない制作環境は、「組織のスリム化・業務の効率化による企業体質の強化」という経営計画に沿って生じた。

●時間的にも予算的にも心理的にも余裕のない制作現場。

●放置しておけば、物理的にも精神的にもバラバラになりがちな大勢のスタッフをひとつのチームとしてつなぐのは、放送という仕事に対する使命感であり、それを支える制作体制のはず。


上記を踏まえて、BPOからの「提言」

1.全社的なレベルで、あるいは部署や制作現場ごとに、放送の使命について話し合う機会を設けること。

2.番組が、その制作に必要な人員と時間が確保される環境で制作されているか、とくに生放送番組において種々の不測の事態にも対応できるゆとりが確保されているかどうかを再点検すること。

3.スタッフの間で忌憚のない意見交換や問題提起が行われるような職場環境を整えること。

4.制作現場スタッフの研修が、放送局所属か制作会社所属やフリーかを問わず、十分に行き渡り、各人が納得できる方法で実施されているかどうかを再検討し、改善を要するところは早急に改善し、実りある研修を継続すること。


・・・・この提言からうかがえるのは、今回の問題は東海テレビによるものだが、その問題を派生させた「制作現場」「制作環境」は、他の放送局でも共通する点が多いのではないか、ということだ。

つまり、提言は東海テレビに対してだけのものではない。

120を超える放送局全体に向けたものなのだ。

それにしても、最近のBPOは積極的(笑)。

いや、それだけ放送界の現状に危機感を持っているからだ。


ところで。

今週日曜(25日)の朝に放送される、TBSの自己検証番組「TBSレビュー」も、BPOに関する内容だ。

「BPOによる”若き製作者への手紙”は2つの情報バラエティの審議入りをきっかけに意見書とともに書かれた。BPOはなぜこうした試みをしたのか。これをもとに良質の番組作りのありかたを考えていく」というもの。

この手紙は、BPO放送倫理検証委員会委員で作家の重松清さんによって書かれたものであり、ご本人が、その意図などをスタジオで説明してくださる予定。

今回、私はインタビュー取材を受けており、カットされていなければ(笑)、VTR部分で登場するはずです。


「TBSレビュー」

放送:2011年9月25日(日) 5時30分~6時00分


「日本民間放送連盟賞」の受賞と辞退

2011年09月22日 | 「東京新聞」に連載したコラム

『東京新聞』に連載しているコラム「言いたい放談」。

今回は、「日本民間放送連盟賞」について書いています。


「受賞」と「辞退」

放送界の大きな賞のひとつ、「日本民間放送連盟賞」(連盟賞)が発表された。

この中の「放送と公共性」部門で審査員をさせていただいている。

<最優秀>は山口放送の「過疎の島の介護日記~あるヘルパーと歩んだ10年の放送活動」。

<優秀>は札幌テレビ「がん患者、お金との闘い 2007年~2011年の活動」、ラジオ福島「災害ラジオとインターネット連動展開の記録」、そして長野朝日放送「地球を守ろう!プロジェクト」だ。

実は、<優秀>がもう一本あった。

東海テレビの「キャンペーン“司法シリーズ” 開かれた司法へ」である。

ところが、例の「セシウムさん」問題が発生し、東海テレビが受賞を辞退してきたのだ。

審査会では、あくまでも審査対象作品と向き合っての評価であり、今回の問題と受賞は別のことであるとしていた。

辞退は東海テレビなりの判断ではあるが、どこか割り切れない思いも残る。

今年、東海テレビは「放送と公共性」以外の四部門でも受賞を辞退した。

「テレビ教養番組」と「テレビエンターテインメント番組」では<最優秀>であり、この局が日頃、自社制作番組でいかに頑張ってきたかを物語っている。

その意味でも、「セシウムさん」問題は痛恨の出来事だったのだ。

一日も早く信頼を回復し、連盟賞にも再登場してもらいたい。

(東京新聞 2011.09.21)

台風のおかげで

2011年09月21日 | 本・新聞・雑誌・活字

どしゃ降りの雨の中を駅まで歩き、ホームで電車を待っていたら、携帯が鳴った。

大学の事務局からだった。

台風による荒天のため、各種の会議その他を、本日はすべて中止にするという。

学内にいる人間は帰宅すべし、来ようとしている者は来るな、の指示だ。

おお、間に合ってよかった(笑)。

一瞬、携帯への連絡が遅ければ、電源を切って電車に乗り込んでいたはずだ。

私の今日の予定はてんこ盛りで、院生との打ち合わせ、委員会、教授会、さらに夕方からは研究会まで入っていた。

ラッキーである(笑)。

なかったはずの時間をプレゼントされたようで、嬉しい。

この年齢になると、時間が、特に自由に使える時間が、いかに貴重なものか、分かってくる。

とはいうものの、また豪雨に打たれながら帰宅し、締め切りを目前に控えた共著の原稿を、猛烈な勢いで書き始めたわけではない。

まあ、この辺りが、極めてダメなところで(笑)。

積んである本を、次から次とめくったり、久しぶりで訪問するサイトをチェックしたり。


島崎今日子さんの『<わたし>を生きる~女たちの肖像』(紀伊国屋書店)を読み出したら、止まらない。

雑誌「アエラ」に発表された、人物ノンフィクションを集めたものだ。

山田詠美、夏木マリ、綾戸智恵、北村明子(演劇プロデューサー)、北村道子(スタイリスト)など16人の女性が並んでいるが、いずれもハズレなし。

「こんな人だったんだ」と納得やら感心やら、いや、それ以上に彼女たちから刺激を受ける。

島崎さん、文章がいいんだよなあ。

多分、それを支えているのは、当たり前のことを当たり前以上に行う、徹底した取材なのだろう。

ご本人に、ささっとインタビューして、ささっと仕上げたものとは、まったく違う。

わずか1行の記述のために、取り上げた人物に関係した人に、ちゃんと会いに行って話を聞いているのがわかる。

時間やエネルギーといった“元手”がかかっているのだ。

また、取材対象の女性に対しても、半端な予断を持たず、真っ直ぐに向き合っているのがいい。

だから、知ってる人でも、まるで知らなかったような相貌が、文章の中から現れるのだ。

お見事です。


さらに、ミステリー作家・新津きよみさんのホームページで、次のような文章に遭遇した。

映画『ゴーストライター』を観ました

新聞広告で、警察小説の売れっ子作家・今野敏さんが推薦していたし、上智大学新聞学科の教授・碓井広義さん(松本の高校の先輩で、兄の同期。しかも、妹同士がまたまた同級生という縁)がご自身のHPで「良かった。もう一度観たい」と書いていたので、これは見逃してはならない、と急いで行きました。

本格サスペンスで満足しました。暗めの映像も素敵。近年観た映画の中ではベスト3に入るかも。

(新津きよみの書いたり観たり ミステリー作家 http://plaza.rakuten.co.jp/os2758/)


うーん、嬉しいですねえ。

先日、このブログに書いた映画の話を読んで、実際に映画館に足を運んで下さったとは。

感謝です。

ちなみに、文中にある「警察小説の売れっ子作家・今野敏さん」は、
上智大学新聞学科のご出身(笑)。


台風による風雨は、ますます強まっている。

子どもの頃は、台風が来ると、よく停電したなあ。

暗闇でロウソクを探しながら、「明日は小学校が休みになるかも」
なーんて、密かに期待したりして(笑)。

ていうか、今も同じ。

大人になっても、あまり変わってないんだね。

いかん、いかん。

さあ、そろそろ仕事しよっと(笑)。



 まるで「滝ごり」状態のポロ君

韓国から日本への“芸能輸出”、続く

2011年09月21日 | テレビ・ラジオ・メディア

韓国による日本への“芸能輸出”は、まだ続くようだ。

今朝、複数の番組で、韓流四天王の一人だという俳優のウォンビンの舞台挨拶を見かけた。

新作映画「アジョシ」のキャンペーンで来日したらしい。

それで思い出したのが、同じように朝の番組で目撃した、K-POPガールズグループのRainbow(レインボー)だ。

何でも、日本のテレビで生歌&生ダンスは初めてとかで、話題の(?)おへそを見せるダンスを披露しておりました。

少女時代の「美脚」。

KARAの「腰ふり」。

そしてRainbowの「へそ出し」、ですか(笑)。

国を挙げての輸出品であり、外貨獲得の戦略商品ですから、各々のウリは明快じゃないとけないのでしょう。

ただ、“へそ出し”っていわれても、私たち“70年代の若者”はすでに40年前、あの山本リンダさんの名曲「どうにもとまらない」で、見事なへそ出しルックを目撃しております。

しかもリンダ姐さんは、おへそを出しっぱなしだった。

Rainbowのチラ見せくらいじゃ、驚きません(笑)。

それに、申し訳ないけど、K-POPガールズグループって、みんな同じ顔に見えちゃうのだ。

名前も覚えられない、というか覚える気もないけど。

今、ちょっと気になっているのが韓国映画「ホワイト」だ。

「売れないガールズグループが、1本のビデオテープをきっかけにスター街道を昇っていく一方、センターに選ばれた女の子が次々と呪われ、痛めつけられていく」

というホラー映画だそうで、結構、怖そうでしょ?(笑)



『BRUTUS』の「写真術」が楽しい

2011年09月21日 | 本・新聞・雑誌・活字

雑誌『BRUTUS』の特別編集・合本「写真術」が楽しい。

特に、中とじ企画である、篠山紀信「写真術公開授業」全36ページが素晴らしい。



実際の写真撮影を例にしながら、篠山塾長が、何をどのように行っているのが分かる仕掛けだ。

「塾長の作品」「メイキング」「ダイアログ」「塾長の解説」がタテに並ぶ。

しかも、ヌード編、アイドル編、「人間関係」編、そして記念写真編と多彩だ。

それに続いて、5人の女性写真家との対談もある。








一度だけ、その撮影現場に立ち会ったことがあるのですが、篠山紀信さんって、やはりスゴイです(笑)。


今週の「読んで書いた本」 2011. 09.20

2011年09月20日 | 書評した本たち

連休が明けたら、急に涼しくなった。

小雨の降る今日は、いかにも秋、という感じだ。

もう9月下旬に入ったのだから、当然なのかもしれないが。


さて、今週の「読んで(書評を)書いた本」は、以下の通りです。

五木寛之 『死を語り生を思う』 角川書店

永江 朗 『広辞苑の中の掘り出し日本語』 バジリコ

神谷和宏 『ウルトラマンと「正義」の話をしよう』 朝日新聞出版

七尾和晃 『原発官僚』 草思社


・・・・永江さんの新刊は、天下の「広辞苑」で遊んでしまおう、という楽しい企画だ。

日本語、まだまだ奥深いです(笑)。


* 上記の本の書評は、発売中の『週刊新潮』(9月22日号)に
  掲載されています。



3連休の間に、入試

2011年09月20日 | 大学

大学では、この3連休の間に、入試が行われた。

今回は、「海外就学経験者入学試験」(いわゆる帰国子女枠)と、「カトリック高等学校対象特別入学試験」(まさにカトリック系大学ならでは)の2つだ。

筆記試験と面接試験。

ひとりひとりと向き合って話をしていると、彼らの生きてきた17~18年を凝縮された形で提示されることになる。

すでに出身高校内部での選抜をくぐってきた生徒たちであり、みんな、知力も感性もなかなかのものだ。

出来るなら全員を入れたくなってくるが、それは叶わない。

面接を含む入試は、選考する側も、悩みながらの取り組みとなる。