(日刊ゲンダイ 大阪版)
日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今回は、テレビ東京のドラマ「孤独のグルメ シーズン3」について書きました。
「孤独のグルメ」テレビ東京
キモは松重豊の”ひとりツイッター”
キモは松重豊の”ひとりツイッター”
昨年このコラムでも取り上げたテレビ東京「孤独のグルメ シーズン2」が、ソーシャルテレビ・アワード2013の「日経エンタテインメント!賞」を受賞した。一見、ソーシャルメディアとの連動性は薄そうだが、ツイッターなどへの投稿が非常に多いというのだ。
この夏、堂々の「シーズン3」が始まった。主人公はお馴染みの井之頭五郎(松重豊)だ。個人の輸入雑貨商だが、仕事の描写はごくわずか。商談で訪れた町に実在する食べ物屋で、松重が一人で食事をするだけなのだ。
基本的には東京エリアが舞台だが、先週は伊豆急に乗ってのプチ出張。川端康成「伊豆の踊子」で知られる河津町でグルメした。
食したのは名物のワサビを使った「生ワサビ付きわさび丼」だ。カツオ節をまぶしたご飯に自分ですりおろした生ワサビを乗せ、醤油をかけて混ぜるだけの超シンプルな一品。しかし、重の表情でその美味さがわかる。
しかもそこに、「おお、これ、いい!」とか、「白いメシ好きには堪らんぞ~」といった心の声がナレーションされると、見る側も俄然食べたくなってくる。
そう、このドラマのキモは口数が少ない主人公のせりふではなく、頻繁に発する心の声、つまり「つぶやき」にあるのだ。いわば松重の「ひとりツイッター」ドラマであり、ソーシャルテレビ・アワードの受賞も納得だ。
(日刊ゲンダイ 2013.07.30)
勉強会の後、大阪にいる教え子たち(慶応SFC碓井ゼミOB)
が集まってくれました。
ふだんはライバル関係にある、3つの放送局に勤務する3人。
急な大阪行きだったにもかかわらず、嬉しいことです。
楽しい時間を、ありがとう。
お店の近くで威容を誇るABC朝日放送
発売中の「週刊ポスト」最新号に、TBSのドラマ「半沢直樹」と、演出担当の福澤克雄ディレクターに関する特集記事が掲載されている。
その手腕だけでなく、慶應義塾の創立者である福澤諭吉の玄孫(やしゃご)ということに注目したようだ。
玄孫だから、福澤先生の曾孫(ひまご)の子供ってことですね。
我々塾員としても、おろそかに扱えない人物だ。
ってのはオーバーですけど(笑)。
とにかく記事は、「半沢直樹」ヒットの功績者としての福澤ディレクターを軸に書かれています。
文中、コメントしているのは、「半沢直樹」の伊與田英徳プロデューサー、TVコラムニストの桧山珠美さん、そして私の3人。
記事全体は例によって本誌をご覧いただくとして、私のコメントは以下のようになっています・・・・
上智大学教授(メディア論)の碓井広義氏はその演出力に舌を巻く。
「ともすると複雑な話になりがちなテーマなのに、非常にわかりやすくできているのがこのドラマの見どころです。銀行内部のドロドロとした権力闘争やパワハラなどをリアルに描きつつ、同時に自然な形で銀行の業務や金融業界全体が見えるようにしている。まるで池上彰さんの絵解きのごとく、視聴者を飽きさせない、うまい工夫が施されていると思います」
「福澤さんはこれまでにTBS日曜劇場の『南極物語』や『華麗なる一族』なども手がけており、男のドラマの見せ方はうまい。それに加えて今回は、夫の地位や身分で妻たちの序列も決まるといった、社宅住まいの妻たちの苦労も描いている。男たちの企業ドラマでありながら、女性視聴者の共感も得られるような工夫が凝らされている。銀行という閉じられた空間だけの話にせず、周辺にいる人たちをきちんと描いている点も秀逸です」
(週刊ポスト 2013.08.09号)
・・・・ちなみに、26日放送の「半沢直樹」第3回の視聴率は、前週の
21.8%から、さらにアップして22.9%でした。
この数字はすごい。
19.4%→21.8%→22.9%という推移は、もはやこの夏のブームと言っていい。
原作者である作家の池井戸潤さんは、確か慶應の文学部と法学部の両方を卒業して(学士入学?)、当時の三菱銀行に入ったはず。
またドラマの主人公・半沢直樹は、慶應の経済卒ってことになっている。
そこに福澤克雄ディレクターを加えると、“慶應社中”(卒業生、在学生、教職員の総体)の取り組みにも見えます。
福澤先生が喜んでいらしゃるかもしれない。
もっとも、主演の堺雅人さんは早稲田ですが(笑)。
ということで、先日、日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」で、「半沢直樹」について書いたものを転載しておきます。
ドラマ「半沢直樹」TBS
大胆さが吉と出た
大胆さが吉と出た
夏ドラマの初回視聴率がとても高い。テレビ朝日「DOCTORS2」19.6%。フジテレビ「ショムニ2013」18.3%。そしてTBS「半沢直樹」が19.4%だ。
個別の分析はともかく、最大の要因は「毎日メチャ暑い!」ことだろう。この猛暑では外で夜遊びする気にもならない。みんな早く家に帰って、クーラーの効いた部屋で休息したいのだ、多分。
「半沢直樹」の注目ポイントは2つある。
まず主人公が大量採用の“バブル世代”であること。企業内では、「楽をして禄をはむ」など負のイメージで語られることの多い彼らにスポットを当てたストーリーが新鮮だ。
池井戸潤の原作「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」は、優れた企業小説の例にもれず、内部(ここでは銀行)にいる人間の生態を巧みに描いている。
福澤克雄ディレクター(「華麗なる一族」など)の演出は、この原作を相手に正攻法の真っ向勝負だ。
第2のポイントは主演の堺雅人である。
今年6月、「リーガル・ハイ」(フジ)と「大奥」(TBS)の演技により、ギャラクシー賞テレビ部門の個人賞を受賞したが、まさに旬と言っていい。シリアスとユーモアの絶妙なバランス、そして目ヂカラが群を抜いている。
思えばタイトルを「半沢直樹」としたのは大胆な選択だったはず。
その大胆さも吉と出た。
(日刊ゲンダイ 2013.07.16)
月曜の夜のTBSと言われて、すぐに「水戸黄門」や「大岡越前」を思い浮かべる年代も、だんだん少なくなっています。
ある時期、ほとんど交互に、この2作が放送されていました。
提供は松下電器であり、パナソニック。
定番の枠でした。
その1社提供枠が、この秋で幕を閉じるそうです。
長年続いた「東芝日曜劇場」も、今はただの「日曜劇場」。
フジテレビ「サザエさん」のスポンサーも、東芝1社から変わって、
だいぶ経ちます。
近年、広告宣伝費の費用対効果が厳しく精査されるようになり、
1社提供番組の数は減少。
1社提供は、個々の商品よりも、企業イメージを広く伝える手段と
言われていたのも、遠い過去のような気がしてきます。
いずれにせよ、現在放送中の「名もなき毒」が、57年におよぶ
1社提供枠最後のドラマとなるわけです。
実は、このことを知った時、ほんの少し気になったのが、先日の
「スマートビエラ」CM拒否問題でした。
もしかしたら、1社提供からの撤退は、パナソニックの民放に対する
まさかの“報復”、いや“警告”、いやいや“メッセージ”ではないか、と。
それも第1弾の。
たぶん、きっと、単なる考え過ぎだと思いますが(笑)。
パナソニック、57年間の1社提供に幕
TBSドラマ枠
TBSドラマ枠
パナソニックが、「明るいナショナル」のキャッチコピーで広く知られ、時代劇「水戸黄門」「大岡越前」などの名作を放送してきたTBS系の月曜夜のドラマ枠への1社提供を、今秋で取りやめることがわかった。同社の主力事業が家電から、自動車や住宅関連などの企業向け製品にシフトする中、テレビCMのあり方を見直した結果だという。
パナソニック広報は「ブランドイメージを高める役割は果たした」とコメント。巨額の赤字を受けて同社が宣伝費を絞り込んでいることも背景にある。
TBSは今後、当面はドラマ枠を維持する方針だが、10月改編以降は「パナソニックを含む複数のスポンサーで放送する」(広報)という。
パナソニックが1社提供を始めたのは1956年4月。主に「ナショナル劇場」のタイトルで57年間放送を続けてきた。
社名変更に伴い2008年からは「パナソニックドラマシアター」に変更。今年4月からは「月曜ミステリーシアター」となって社名の冠は外れたが、1社提供は続いていた。
(朝日新聞 2013年07月27日)
<このブログ内での関連記事>
J-CASTニュースで、「スマートテレビCM拒否」についてコメント
2013年07月09日
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/f7f90f440cb034cb7553f7c0eb7913bd
週刊現代で、「パナソニック」CM拒否問題についてコメント
2013年07月18日
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/4a207e896d742728415495f0f87aa21c
HBCラジオのスタジオ
佐藤のりゆきさん 元北海道新聞記者の杉江良之さん
渡辺陽子さんと
27日(土)午後1時から3時半まで、HBCラジオ「大人のラジオ~
土曜は朝からのりゆきです!」拡大版に生出演します。
特集企画で、タイトルは、何と「ラジオでテレビを斬る!」。
・テレビ60年
・テレビ離れは本当か?
・この夏のテレビドラマ
・NHK「あまちゃん」快進撃の理由
・スポーツ中継
などなど。
さて、どんなラジオ放送になるでしょうか(笑)。
お楽しみに!
27日(土)朝7時から、HTB「イチオシ!モーニング」に生出演します。
ラインナップは・・・・
ファイターズ、ソフトバンクとの対戦。
山口連続殺人続報などのニュース。
週末ナビは円山動物園夜間営業などです。