碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

松岡茉優の“屈折女子”が冴える、NHK「限界集落株式会社」

2015年02月11日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、NHK土曜ドラマ「限界集落株式会社」について書きました。


地域活性という地味なテーマが
堂々のエンターテインメントに昇華

過疎と高齢化が進み、社会的な共同生活を維持することが困難になった地域。それが「限界集落」だ。何て秀逸な、そして悲しい呼称だろう。

NHK土曜ドラマ「限界集落株式会社」の舞台である「止村(とどめむら)」も、まさに限界ギリギリの状態だ。農家の老人たちの、ある者は病に倒れ、またある者は村を去っていく。

そんな村に帰ってきたのが大内正登(反町隆史)。かつて有機農業の夢に破れ東京へと逃げた正登だが、母親(長山藍子)や娘の美穂(松岡茉優)と共に、再び農業にトライしようというのだ。

もう一人、突然この村に現れたのが経営コンサルタントの多岐川優(谷原章介)だ。村人たちに向かって「農業はやり方次第で儲かる」と説き、さまざまなアイデアで実践してみせる。

原作である黒野伸一の同名小説では多岐川が主人公だが、ドラマでは正登を主軸としている。両者をつなぐのが美穂だ。この3人の個性と配置のバランスが功を奏して、地域活性という地味なテーマが堂々のエンターテインメントになっている。

出演者の中では、「あまちゃん」で注目された松岡茉優がハマリ役だ。フジテレビで放送中の「問題のあるレストラン」といい、このドラマといい、こんなにも“屈折女子”が似合う若手女優はいない。

限界集落のジャンヌ・ダルクとなるか。

(日刊ゲンダイ 2015.02.10)


何やらスゴイぞ、5分30秒の「エヴァ無号機」

2015年02月10日 | テレビ・ラジオ・メディア

「evangelion:Another Impact(Confidential)」

<スタッフ>
原作 庵野秀明
脚本・絵コンテ・監督 荒牧伸志
Another Eva デザイン 竹内 敦志
CG ディレクター 松本 勝
声ノ出演 山寺宏一 
       林原めぐみ
制作 SOLA DIGITAL ARTS
    スティーブンスティーブン

<あらすじ>
別の場所、別の時、
決戦兵器 の起動実験が行われていた。

秘密裏に開発と実験が進められていた「Another No.=無号機」は、
ヒトの制御を受け付けず、突如暴走を始める──。

『Another No. = 無号機』は、何のために作られたのか?

「別」の世界で起動したエヴァの、暴走と咆哮の物語……。


http://animatorexpo.com/evangelionanotherimpact


【気まぐれ写真館】 今年の入試、終わる

2015年02月10日 | 気まぐれ写真館

2015年冬 ひと味違う「注目CM」はこれだ!

2015年02月09日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム



テレビ番組もそうですが、CMは時代を映す鏡です。その時どきの世相、流行、社会現象、そして人間模様までをどこかに反映させています。 この冬、流されているCMの中から、注目作を選んでみました。


●中外製薬 「風で吹きこまれるいのち」篇

不思議なものを目にした時、人は瞬時にして過去の体験を振り返り、記憶のデータベースを検索し、類似した何かを探そうとする。このCMを見た人の多くもそうするはずだ。しかし、残念ながら結果は芳しくない。何物にも似ていないからだ。

組み上げられた無数のプラスチック・チューブが、まるで動物の骨格のように動き、砂浜を歩行する。しかも船の帆のような白い布が横に広がっている。そう、この“生きもの”の動力は風なのだ。動いては止まり、止まっては動く予測不能なテンポは、風の吹くままを体現したもの。まさに“風で吹きこまれるいのち”だ。

「新しい世界は、見たこともない創造から始まる。」というコピーにふさわしく、見る者のイマジネーションを強烈に刺激するこの作品。タイトルは「砂浜の生物」を意味する「ストランドビースト」で、作者はオランダの芸術家、テオ・ヤンセンである。風がやみ、一瞬立ち止まったビーストが見る夢は、果たして、未来か、それとも過去か。


●ペプシ 「桃太郎Episode.2」篇

ペプシネックスゼロのCM「桃太郎エピソード・ゼロ」篇は衝撃的だった。いきなり現れた「巨大な鬼の一族」。島の住民をおびやかす彼らの全身は赤黒く焼けただれ、ぶすぶすと煙を立ち上らせていた。なぜ侵略するのかも不明であり、その存在自体が実に怖かった。

立ち向かうのは小栗旬さんが演じる桃太郎だ。伝説にのっとり、犬、サル、キジなどの仲間を集めて鬼が島へと向かう。いずれの動物も人間の姿をしており、それぞれに得意技を持っている。

今回の「エピソード2」で描かれるのは、犬が背負っている過去だ。狼に育てられた人間の赤ん坊だった彼。だが、成長した時、母親狼は鬼に殺されてしまう。青年は母の形見を身に着け、自らを「犬」と名乗って復讐を誓った。

想像力をかき立てるストーリー。スタイリッシュな映像。ハリウッド並みの精緻なVFX。長編映画の一部を見ているような贅沢感が広がっていく。この冬も、「その先が見たくなる」CMの代表格だ。


●TOTO 「ネオレスト 菌の親子」篇

ネット社会を痛烈に批判した『ネット・バカ』の著者ニコラス・G・カー。その新作が『オートメーション・バカ』だ。飛行機から医療まで、社会のあらゆる部分が「自動化」された現在、利便性に慣れるあまり、それなしではいられない事態に陥っていないかと警告する。

カーの言い分も分かるが、こと温水洗浄トイレに関しては譲れない。悩める人々に福音をもたらした世紀の発明品だと思っている。1982年に登場した、戸川純さんの「おしりだって、洗ってほしい。」というCMも衝撃的だった。コピーは巨匠・仲畑貴志さんだ。

その後も進化を続け、新製品では見えない汚れや菌を分解・除菌し、その発生さえ抑制するという。これではトイレに生息する“菌の親子”、ビッグベンとリトルベンもたまったものではない。

除菌水の威力を見た息子菌(寺田心くん)が言う、「悲しくなるほど清潔だね」のせりふが泣けてくる。ごめんね、リトルベン。


【気まぐれ写真館】 この週末も、入試中

2015年02月08日 | 気まぐれ写真館

漱石『心』&書評本『芸能人の帽子』ほか

2015年02月07日 | 書評した本たち



このところ、なぜか漱石がマイブームとなっています。

わけもなく、モーレツに読み返したい(笑)。

年齢的なこともあるのかもしれません。

主だった作品を連続して読んでから、気がつけば数十年が過ぎています。

今年、日常の中で時間を作って、少しずつ読んでみようと思っています。

もちろん、「吾輩は猫である」から始めてもいいのですが、祖父江慎さんがブックデザインを手がけた「心」からスタートしました。

この本、手にとった時の感触がとてもいいのです。

特にページというか、紙の手触り。

というわけで、1年がかりの、ゆっくり漱石再読ツアーです。




今週の書評本は以下の通りです。

『芸能人の帽子~アナログTV時代のタレントと芸能記事』
 中山千夏 
 講談社

天才子役として登場し、人気女優として、また参議院議員としても活躍した著者。自分について書かれた当時の芸能記事を読みながら、その軌跡を振り返るという一風変わった回想記だ。芸能界の内側と社会の動きをリンクさせながらの検証は貴重な現代文化史でもある。


『ある昭和の家族~「火宅の人」の母と妹たち』
 笠 耐 
 岩波書店

物理教育者である著者は、壇一雄の父親違いの妹だ。明治生まれの母トミは3度の結婚を経験しているが、一雄はこの生母を終生大切にした。本書で回想されるのは、世間から見れば一風変わった大家族の人間模様。日常的に接した者にしか描けない作家の素顔がある。


『時代を刻んだ貌~田沼武能写真集』  
 田沼武能 
 クレヴィス

今年86歳になる著者が65年間に撮った肖像の集大成。火鉢の前に端坐する永井荷風。書棚を背にした若き三島由紀夫。カメラの傍らに立つ黒澤明。他に歌舞伎役者、落語家など240名に及ぶ昭和の顔が並ぶ。巻末の取材ノートも当時の彼らを浮かび上がらせて貴重だ。

(週刊新潮 2015.02.05号)

今週の「金曜オトナイト」は、ラサール石井さんと・・・・

2015年02月06日 | 金曜オトナイト

BSジャパン
「大竹まことの金曜オトナイト」

2015年2月6日(金)
夜11時30分~深夜0時00分

【ゲスト】ラサール石井




<出演者>
レギュラー:大竹まこと、山口もえ、碓井広義(上智大学教授)
進行:繁田美貴(テレビ東京アナウンサー)
ゲスト:ラサール石井

<番組内容>
◆流出ワイド◆
(秘)ラサール石井59歳、80歳までのローンを組む
(秘)10年後には認知症が700万人
(秘)仰天!線を引くだけで「2桁かけ算」の答えが分かるインド式算数
(秘)納得いかない世の中の風潮

◆文化情報コーナー◆
ラサール石井オススメ映画
男性不信の母娘と同居人のハートフル・コメディ


サンデー毎日で、坂本九「スキヤキ・ソング」について解説

2015年02月06日 | メディアでのコメント・論評



発売中の「サンデー毎日」最新号に、「一億人の戦後史」というシリーズが掲載されています。

今週は「昭和30年代編」。

この中の、坂本九さんに関する記事で解説しています。

記事タイトル:
上を向いて歩いていたら大当たり
坂本九「スキヤキ・ソング」


・「モダンなアメリカン・スタイルで歌っている」というのが、アメリカのレコード専門誌「キャッシュ・ボックス」編集長による坂本九評。

・1963年(昭和38年)のアメリカで、坂本九さんの「上を向いて歩こう」が「スキヤキ・ソング」として大ヒットした。

・外国語で歌われた外国の歌が、アメリカでナンバーワンになったのは初のことだった。


なぜアメリカでこれほどのヒットとなったのか。上智大文学部の碓井広義教授(メディア論)が語る。

「64年の東京五輪へ向けて、世界の目が日本に注目し始めていたことが大きいでしょう。高度経済成長期の日本の勢いと、その背景にある歪(ひず)みが少しずつ現れていた当時。時代の応援歌として私たちの背中を押してくれるような歌でした」



・その後もヒットを続けた九ちゃん。

・当時の「サンデー毎日」にも登場し、ニキビが魅力だというファンの声を伝えている。

・1985年(昭和60年)、大阪へ向かう日航機事故に遭遇し死去。43歳の若さだった。存命であれば、いま74歳のはずだった。

(サンデー毎日 2015.02.15号)


【気まぐれ写真館】 ただいま連日、入試中 (雨のキャンパス)

2015年02月06日 | 気まぐれ写真館

「○○妻」は、「夫婦とは何か」を問いかける異色の社会派ドラマ

2015年02月05日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、「○○妻」(日本テレビ系)について書きました。


日本テレビ系「○○妻」
「夫婦とは何か」「結婚とは何か」を問いかける
異色の社会派ドラマ

「家政婦のミタ」の脚本家・遊川和彦とスタッフが再結集したドラマ「○○妻」(日本テレビ系)。先週までの平均視聴率は14%を超え、「DOCTORS3」(テレビ朝日系)との首位争いを展開している。

ニュースキャスターである東山紀之の妻・柴咲コウは、夫を支えることにかけては完璧だ。家事全般はもちろん、服装のコーディネートから番組の感想まで手を抜かない。誰よりも尊敬する夫に尽くしたいからだ。

ところが、2人は正式な夫婦ではない。柴咲は「契約妻」なのだ。東山は普通の結婚を希望しているが、柴咲は断固拒否する。なぜ契約なのか。「家政婦のミタ」同様、ヒロインの秘密が徐々に明らかになっていくプロセスがスリリングだ。

しかし、それ以上に興味深いのは、契約妻という設定を通じて「夫婦とは何か」「結婚とは何か」を問いかけていることだ。遊川の脚本、連ドラ初主演の柴咲と華のある東山の好演に支えられて、異色の社会派ドラマと呼べる1本になっている。

それにしても人を食ったタイトルだ。美人妻とか昼顔妻とかを連想させながら、フタを開けてみれば「契約妻」だった。とはいえ、あえて「○○妻」としたのは、契約だけではない妻の“実相”がまだ隠れているからだろう。極悪妻ってことはないはずだが、勝手に当てはめてみるのも面白い。

(日刊ゲンダイ 2015.02.04)

【気まぐれ写真館】 ただいま連日、入試中 (四谷駅前)

2015年02月05日 | 気まぐれ写真館

最新除菌トイレに嘆く、“菌の親子”が面白カワイイ!?

2015年02月04日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム



日経MJ(流通新聞)に連載している「CM裏表」。

今回は、TOTOの新しい温水洗浄トイレのCMについて書きました。


TOTO 『ネオレスト 菌の親子編』
菌の親子も嘆く
温水洗浄トイレ

ネット社会を痛烈に批判した『ネット・バカ』の著者ニコラス・G・カー。

その新作が『オートメーション・バカ』だ。飛行機から医療まで、社会のあらゆる部分が「自動化」された現在、利便性に慣れるあまり、それなしではいられない事態に陥っていないかと警告する。

カーの言い分も分かるが、こと温水洗浄トイレに関しては譲れない。悩める人々に福音をもたらした世紀の発明品だと思っている。

1982年に登場した、戸川純さんの「おしりだって、洗ってほしい。」というCMも衝撃的だった。コピーは巨匠・仲畑貴志さんだ。

その後も進化を続け、新製品では見えない汚れや菌を分解・除菌し、その発生さえ抑制するという。これではトイレに生息する“菌の親子”、ビッグベンとリトルベンもたまったものではない。

除菌水の威力を見た息子菌(寺田心くん)が言う、「悲しくなるほど清潔だね」のせりふが泣けてくる。ごめんね、リトルベン。

(日経MJ 2015.02.02)


各局「有力制作チーム」による新作ドラマ3本

2015年02月03日 | 「北海道新聞」連載の放送時評


北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、1月に始まった連続ドラマについて書いています。


有力制作陣の新作ドラマ
「夫婦とは」問う異色作

1月から新たな連続ドラマが始まっている。注目したいのは、これまで確かな実績を残してきた制作チームによる新作3本だ。


1本目は真木よう子主演「問題のあるレストラン」(フジテレビ系)。真木、脚本の坂元裕二、そしてスタッフは「最高の離婚」のチームである。真木の勤務先は飲食会社だ。高校時代の友人で同僚でもある女性が、あまりにひどいセクハラを受ける。怒って大暴れした真木はクビになってしまう。

「いい仕事がしたい」と思うのは男性も女性も同じだが、まだまだ男性中心の会社は多い。女性たちはパワハラやセクハラに耐えながら働いている。

だが、人としての尊厳まで踏みにじられては黙っていられない。真木は仲間を集め、会社が経営する店の近くでレストランを開くという反撃に出た。シリアスとユーモアのバランスが絶妙な、働く女性への応援ドラマである。


次は、「家政婦のミタ」の脚本家・遊川和彦とスタッフが再結集した「○○妻」(日本テレビ系)。ニュースキャスターである東山紀之の妻・柴咲コウは夫を支えることにかけては完璧だ。ところが2人は正式な夫婦ではない。柴咲は「契約妻」なのだ。

なぜ契約なのか。「家政婦のミタ」同様、ヒロインの秘密が徐々に明かされるプロセスがスリリングだ。

しかし、それ以上に興味深いのは、契約妻という設定を通じて「夫婦とは何か」を問いかけていることだろう。遊川の脚本、柴咲と東山の好演に支えられて、異色の社会派ドラマとなっている。


有力制作チームの新作、3本目は「流星ワゴン」(TBS系)だ。脚本の八津弘幸とスタッフは「半沢直樹」のメンバー。そこに西島秀俊と香川照之という「ダブルフェイス」「MOZU」のコンビが加わった。

会社はリストラ、息子は家庭内暴力、妻からは離婚届と最低の状況にあった西島は、ふと乗り込んだ不思議なワゴン車で過去へと向かう。人生の分岐点に立ち戻り、修正しようというのだ。

しかも同伴者は若き日の父・香川。西島は誤解していた過去の事実や、後に長年の確執が続く父の意外な側面を知ることになる。同時に、息子の気持ちを分かっていなかった自分にも気づいていく。このドラマは、“こじれた”親子の再生物語なのだ。

西島と香川が向き合う場面は、やはり迫力がある。特に香川が演じる“昭和のオヤジ”は出色の出来だ。SF的な設定に抵抗があると言う人も、一見の価値は十分にある。

(北海道新聞 2015年02月02日)

T-SITEで、今期ドラマの「ダメ男」&「東大卒」について解説

2015年02月02日 | メディアでのコメント・論評


1月ドラマの意外なキーワード 
「東大卒」に「ダメ男」

今年1月からスタートしたテレビドラマは現在、第3話から第4話に入っている。今期のドラマには、共通する2つのキーワードがある。

「ダメ男」と「東大卒」だ。

 ■ヒロインを際立たせる「ダメ男」

「ダメ男」は、次の各ドラマに共通している。

『残念な夫。』(フジテレビ系、毎週水曜22時~)
『○○妻』(日本テレビ系、毎週水曜22時~)
『デート~恋とはどんなものかしら~』(フジテレビ系、毎週月曜21時~)
『問題のあるレストラン』(フジテレビ系、毎週木曜22時~)
『流星ワゴン』(TBS系、毎週日曜21時~)。

たとえば『残念な夫。』では、自分は育児に非協力的なのに「夫としては80点」と自信を持つ、文字通り残念な夫が描かれている。勘違いで情けないダメ男を演じているのが、イケメンの玉木宏というのもおもしろい。

『○○妻』でニュースキャスター役の東山紀之は、完璧な妻(柴咲コウ)がいないと服のコーディネートがダメなばかりか、ハンコの位置すらわからない。仕事一筋だから、ま、いいか…。

35歳になってもニートで、一度も働いた経験がないくせに自分を「高等遊民」と言い張るダメ男(長谷川博己)が登場するのは『デート』。

一方、セクハラやパワハラをしても何がいけないのか気づかず、自分のことしか考えない男を描く『問題のあるレストラン』は、社会問題を追及するような秀作だ。

これら“ダメな男”が、なぜ今期多く登場しているのか。上智大学文学部の碓井広義教授(メディア論)は、こう分析する。

「いま女性が元気な時代で、それを象徴しているのだと思います。言ってみれば、ヒロインを際立たせる役割を担っている。ダメ男をも飲み込んでしまう女性の元気さが、より強調されているのでしょう」


女性の方が充足していなくて、ある意味、野心があるということなのだろうか。

 ■明確なキャラ設定ができる「東大」

もう一つのキーワードは「東大卒」。

『銭の戦争』(フジテレビ系、毎週火曜22時~)で、主演の草なぎ剛が演じる富生は東大卒の元エリート証券マンという設定。原作は韓国の漫画だ。

二階堂ふみが『問題のあるレストラン』で演じる新田もまた東大卒だし、生田斗真と小栗旬の共演で話題を呼んでいる『ウロボロス~この愛こそ、正義。』(TBS系、毎週金曜22時~)で、女性刑事・日比野(上野樹里)もまた東大卒だ。

初回視聴率14.8%と好調な滑り出しを見せた『デート』で、杏が演じる依子はなんと東大大学院を卒業後、内閣府の研究所で働く国家公務員である。そのエリートが、初対面の男性に勃起力や性的な嗜好を聞くなど、斬新なドラマになっている。

やはり東大出身者は、勉強はできるがやや変わり者なのか?

「明確なキャラクター設定がされている、ということでしょう。勉学はできるけれども、どこか変で少し浮いている奴。それを説明なしにドラマに組み込んでいけるのです。いわば、記号としての東大卒でしょうね。実際の東大卒は千差万別なんですが」(前出・碓井教授)

登場人物のバックグラウンドが「東大卒」というだけで、ある程度認識できるようなキャラ設定ということなのだ。

今クールのドラマは「ダメ男」と「東大卒」をチェックしながら今後の展開を見守っていくと、新たな発見があるかもしれない。(文:青柳雄介)

(T-SITE 2015.02.01)

2日早朝、「TBSレビュー」再放送

2015年02月02日 | テレビ・ラジオ・メディア
司会の木村郁美アナウンサーと


1日(日)朝、放送中の「TBSレビュー」が、番組の途中でイスラム国人質事件の速報が入ったため、中断の形になりました。

2日(月)、以下のように再放送されます。

2015年2月2日(月) 
午前4時30~5時
「TBSレビュー」

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