碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

フジ月9「カインとアベル」の”チープ感”は払拭できるのか?

2016年10月21日 | メディアでのコメント・論評



日刊ゲンダイで、フジテレビの月9ドラマ「カインとアベル」について、コメントしました。


フジテレビ月9「カインとアベル」
初回史上最低
8.8%の大ショック

放送枠の消滅もウワサされるフジテレビ「月9」の凋落が止まらない。17日放送の「カインとアベル」が初回の平均視聴率8・8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。昨年7月期「恋仲」の9.8%を下回り、初回視聴率の最低を更新したのだ。

主演はジャニーズの人気グループHey!Say!JUMPの山田涼介(23)。旧約聖書の「創世記」がモチーフで、優秀な兄に対し、複雑な気持ちを抱く弟の“成長”を描いたヒューマンラブストーリーだ。

ドラマを見た上智大教授の碓井広義氏(メディア論)はこう言う。

「一言で言えば、“チープ感”でいっぱいです。まず、主人公の山田君に『月9』を引っ張るだけの存在感がない。桐谷健太以外のキャストにも“凡作感”が漂っています。物語も兄弟の葛藤なのか、恋愛なのか、ミステリーなのか、何を描きたいのかハッキリしません。予算削減の影響でしょう、セットもまるで“昼ドラ”のよう。このままでは第2話以降、視聴率が急落する可能性は高いです」


■局内に吹き荒れる亀山社長の悪評

今期のドラマは、まさにフジの“独り負け”だ。初回視聴率をみると、米倉涼子主演のテレ朝「ドクターX」が20.4%という驚異の好発進。織田裕二主演のTBS「IQ246」は13.1%、石原さとみ主演の日テレ「地味にスゴイ!」も12.9%の好スタートだ。フジで“10%超え”しているドラマはひとつもない。

実はフジ社内の雰囲気も開局以来、最悪だという。上司のパワハラ疑惑や心を患う社員など“悪い話”が後を絶たないのだ。視聴率の低下とともに業績も悪化していて、今年の夏のボーナスはすでに3割カットされている。「楽しくなければテレビじゃない」を旗印に、わが世の春を謳歌したのも今は昔。最近ではテレビ東京の後塵を拝すことも多い。一体“元凶”は何なのか。社員らが異口同音に言うのが、亀山千広社長の悪評だ。ある社員は不満をこうブチまける。

「フジの幹部が集まる定例会があるのですが、そこで亀山さんが『今年の冬のボーナスをゼロにしろ』『リストラを検討しろ』と言い出しているらしいんです。業績を改善するために数字を作ろうとしているのですが、まずは自分自身がここまでの低迷を招いた責任を取れという話です」

失敗のツケを社員に押しつけるためのコストカットなら誰でもできる。フジにまず必要な“処方箋”は、成功体験から抜け切れない“亀のクビ”のすげ替えじゃないか。

(日刊ゲンダイ 2016.10.20)

【気まぐれ写真館】 秋雲

2016年10月21日 | 気まぐれ写真館

書評した本: 春日太一 『鬼才 五社英雄の生涯』ほか

2016年10月20日 | 書評した本たち

「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。

春日太一 『鬼才 五社英雄の生涯』
文春新書 994円

『三匹の侍』でテレビ時代劇の既成概念を打ち破り、『鬼龍院花子の生涯』『極道の妻たち』などの大ヒット映画を生んだ五社監督。毀誉褒貶の激しい63年の軌跡を、作品分析、本人の言葉、そして取材による事実の掘り起こしで見事に再構築した、熱い快作である。


武田砂鉄 
『芸能人寛容論~テレビの中のわだかまり』

青弓社 1,728円 

芸能人に対して誰もが抱くモヤモヤ感。それを払拭するどころか、もっと深い闇へと引きずり込む、独断と偏見の書だ。松本人志が語る時事問題、マツコ・デラックスの自由度、池上彰依存社会など、著者は隠れた実相を言語化していく。テレビが10倍楽しめる1冊。

(週刊新潮 2016年10月13日号)

ドラマ「砂の塔」は、本邦初の“階層サスペンス”!?

2016年10月19日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、TBSのドラマ「砂の塔~知りすぎた隣人」について書きました。


TBS系「砂の塔~知りすぎた隣人」
本邦初の“階層サスペンス”か!?

すごいな、タワマン。金曜ドラマ「砂の塔~知りすぎた隣人」(TBS系)の舞台であるタワーマンションのことだ。

引っ越してきたばかりの主婦・亜紀(菅野美穂、好演)は、高層階に住むセレブ主婦たちの言動に戸惑っている。上の階ほど部屋の値段が高いから、住んでいる階数でその家庭の年収や生活レベルも分かるというのだ。

特にリーダーである寛子(横山めぐみ)の選民意識がすさまじく、低層階の住人は「私たちとは民度が違う」と言い放つ。地位や財産や職業などで区分される「社会階層」と、建築物の階数を指す「階層」を重ねて見ているのだ。

背景には格差社会、階層社会といわれるこの国の現状があるが、これって、本邦初の“階層サスペンス”か!?

一方、タワマンの周辺では幼児の連続失踪事件が起きている。いずれも子育てをおろそかにした母親の子供が被害者だ。

ドラマの冒頭、いきなり犯人かと思わせるような描写で登場したのが弓子(松嶋菜々子)。謎めいたアルカイックスマイルと、何もかも知っていそうな黒幕風たたずまいが結構怖い。例の家政婦を彷彿とさせて、松嶋、久方ぶりのハマリ役かも。

このドラマは、「黒の女教師」や「アリスの棘」などを手がけてきた池田奈津子のオリジナル脚本だ。ダークヒロイン物を得意とするその腕前、大いに期待したい。

(日刊ゲンダイ 2016.10.19)


【気まぐれ写真館】 秋なのに、気温25度

2016年10月18日 | 気まぐれ写真館

かつて、「過激派活動家」という若者たちがいた

2016年10月17日 | 本・新聞・雑誌・活字



本のサイト「シミルボン」に、以下のコラムを寄稿しました。

https://shimirubon.jp/columns/1675071


かつて、「過激派活動家」という若者たちがいた

1970年代の半ば頃、渋谷にあった木造2階建のアパートに住んでいた。JR渋谷駅から、センター街を抜けて細い路地に入り、しばらく歩く。NHK放送センターが見えてくれば、我がアパートはもうすぐそこ・・・そんな場所にあった。

トイレ・ガス・水道が共同という、今ではなかなかお目にかかれなくなったアパートだ。1階にも2階にも部屋が3つ。私の部屋は2階の4畳半で、他の部屋は、隣が同じ4畳半、向かいに6畳間があった。


●不思議な隣人

住んでいた5年間に、隣と、向かいの部屋の住人は何度か入れ替わった。その6畳のほうに、20代後半と思しきカップルが住んでいた時期がある。この男女が学生なのか、社会人なのか、よく分からなかった。というのは、昼間いたかと思うと、夜になっても朝になっても帰ってこなかったり、その逆で夜しかいなかったりするのだ。

古い木造だし、トイレも共同だから、隣も向かいも、その動きは何となく気配でわかる。この6畳には、ときどき何人もの男女が遊びに(?)来ていた。それも必ず夜だ。

外へ出るには階段を降りて、そこで靴を履くようになっていたが、この来客たちは靴を部屋に持ち込んでいるらしく、部屋からは複数の人の話し声が聞こえてくるのだが、階下の入り口に靴は置かれていなかった。

不思議なことに、彼らが住んでいた1年の間、引っ越してきた当時以外に、廊下でばったり会うことはほとんどなかった。顔もほとんど覚えていない。また、いつ引っ越していったのかも分からない。ある日、消えていたのだ。

大学を卒業して社会人になった頃、勤めていた会社に、いきなり警察が私を訪ねてやってきた。特に悪さをした記憶もないので平気だったが、いったい何の用事だろうとは思った。

それは刑事だったが、聞かれたのは、アパートの向かいの部屋に住んでいた例の男女のことだった。どんな人たちだったか。よく知りません。部屋で何をしていたか。分かりません。話したことはあるか。ありません。全部、本当のことだ。で、ものの5分でおしまいだった。

刑事は、ほとんど詳しい話をしてくれなかったが、その口ぶりから、あのカップルが「過激派活動家」だったこと。指名手配されていたこと。ときどき来ていたのは、彼らの仲間だったこと、などが分かった。しかし、その後、刑事が再び来たこともないし、警察から問い合わせがあったこともない。

もうずっと長く忘れていたが、彼らはどうなったんだろう。今、どうしているんだろう。


●「ゲバルト時代」という時代

そんな40年も前のことを思い出したのは、中野正夫さんが書いた『ゲバルト時代 SINCE1967-1973 あるヘタレ過激派活動家の青春』(バジリコ)を読んだからだ。

1948年生まれの中野さんは、高校時代から「ゲバルト活動」を始め、浪人してからも学生運動のいくつかのセクトと関わる。大きな流れとしては、ブントから赤軍へということになるが、その後、逮捕されたりしながら73年まで活動家だった人だ。

この本は、活動家時代のいわば回想録になるが、類似のものが思いつかない面白さをもっている。それは、一にも二にも、中野さんの考え方というか、思想、スタンスがユニークだからだ。

それは自らを「ヘタレ過激派活動家」と呼んでいることでもわかる。主義、主張があっての活動参加ではない。「何か面白そうジャン」というノリで活動に入っていってしまい、基本的にそのまま終わりまで行ってしまう。

羽田、佐世保、新宿、日大、東大など、数々の有名な闘争の「現場」にいて、制圧する側とぶつかり、相手をぶちのめしたり、自分もケガをしたり、逮捕されたりもするのだが、どこまでも不思議なアマチュア精神(?)の人なのだ。

過激派活動家といわれる人の実生活、実活動が、こんなに率直に、リアルに語られたことが今まであっただろうか、と思う。自分が体験、もしくは近くで見聞きした活動の話はもちろん、活動家たちの男女関係にいたるまでが、淡々と、そしてユーモアもまじえて回想されている。

この本には、(中野さんが言うところの)「革命ごっこの親玉たち」や「革命ごっこ」経験者たちの多くに見られる、自己満足、自己陶酔、自己正当化や欺瞞がない。それを最も嫌っているからだろう。

中野さんは書く。

 「人は言ってることより、やっていることを見ろ!」

 「実際は、『理論』や『理念』では人は動いていないという現実」


●「いちご白書」をもう一度

ああ、そういえば、映画『いちご白書』が公開されたのは、60年代と70年代の境目、1970年だ。

キム・ダービーが演じた女子学生が可憐だった。こんな女の子がバリケードの中にいたら、つい闘争に参加しちゃう青年がいてもおかしくない。

あらためて、この映画は“時代の空気感”のようなものをフリーズドライしているところに価値があると思う。

『いちご白書』公開から5年後の1975年に、ユーミンが作ってバンバンが歌った、『「いちご白書」をもう一度』がヒットする。

歌詞の中に、それまで無精ひげと髪を伸ばしていた主人公が就職することを決めた時に髪を切り、恋人に「もう若くないさ」とやや自嘲気味に言い訳するシーンがある。

この時代、学生から社会人になるということは、そういう一面も含んでいたのだ。

60年代後年から70年代にかけて、この国の若者たちに何があったのか。それは現在と、どうつながり、もしくはつながっていないのか。それを考えるのに、この“青春記”は外せない。



やったね!日ハム 日本シリーズだ!!

2016年10月16日 | 日々雑感
大谷、165キロ プロ野球最速を更新!

書評した本:  『永六輔の伝言~僕が愛した「芸と反骨」』ほか

2016年10月16日 | 書評した本たち



「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。

矢崎泰久:編
『永六輔の伝言~僕が愛した「芸と反骨」』

集英社新書 799円

今年7月7日、永六輔が83歳で亡くなった。草創期からテレビに携わり、放送作家、作詞家、タレント、また作家としても活躍した異能の人だ。旅が日常で、行った先で見たこと、聞いたこと、出会った人のことを電波と活字で伝え続けた。60歳で上梓した『大往生』(岩波新書)は大ベストセラーとなる。そこには有名・無名を問わず、永の気持ちを揺り動かした、他者の言葉と人生が並んでいた。

矢崎泰久:編『永六輔の伝言~僕が愛した「芸と反骨」』(集英社新書)は、元『話の特集』編集長である矢崎が、永に”成り代わって”語る自分史であり、有名人たちとの交友録である。
 
たとえば昭和22年、14歳の永は、まだ焼け跡の残る浅草で、鉄くずなどを集めて生計を立てていた渥美清を知る。やがてコメディアンとなった渥美と、永が作・構成を手がけた『夢であいましょう』(NHK)で一緒に仕事をすることになる。人気者になっても、ひけらかすことのない渥美はまた、最期まで義理堅い人だった。永は生前、渥美のことを書いたことがない。それは親しさの証しだ。

他に登場するのは坂本九、三波春夫、淡谷のり子、やなせたかし、井上ひさし。「中年御三家」を組んだ小沢昭一と野坂昭如。そして作曲家の中村八大もいる。中でも貴重なのが三木鶏郎をめぐる回想だ。戦後、その社会風刺がGHQや政府から煙たがられた、伝説のラジオ番組『日曜娯楽版』(NHK)を作った男の仕事ぶりが活写されている。


加藤陽子 
『戦争まで~歴史を決めた交渉と日本の失敗』

朝日出版社 1836円

評判を呼んだ『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』の姉妹編。本書では3つの歴史的な「交渉」と「選択」を検証する。満州事変とリットン報告書、日独伊三国軍事同盟条約、そして太平洋戦争と日米交渉だ。平易な語り口と立体的視点で戦争の本質に迫る好著。


石光 勝 
『老いの風景~物語で経験する「生老病死」』
 

中央公論新社 1836円

現在82歳の著者はテレビ東京の元常務取締役。自身の老いと対峙しながら、文学や映画を通じて生老病死と愛を探っていく。テキストは深沢七郎『楢山節考』、丹羽文雄『厭がらせの年齢』、ヘミングウエイ『老人と海』、そして山田洋次監督の『東京家族』などだ。


山田 薫 
『気がつけば被告?イライラ社会の法律トラブル』

日経ビジネス人文庫 842円

訴訟の当事者となる自分を想像できるだろうか。多くの人は小説やドラマの一場面だと思っているはずだ。しかし本書を読めば被告席は遠くないことがわかる。電車内でのケンカ、スキー場での接触事故、中古マンションの売買など、豊富な事例で身を守る術(すべ)を知る。

(週刊新潮 2016.10.06号)

【気まぐれ写真館】 週末のキャンパス 夕景

2016年10月16日 | 気まぐれ写真館

もしも、夏目漱石が”隣人”だったら!?

2016年10月15日 | 本・新聞・雑誌・活字


面白く見てきたNHK土曜ドラマ『夏目漱石の妻』が、間もなく終了する。全4回はちょうどいいけど、あっという間だ。原作は、妻・鏡子の語りを筆録した『漱石の思い出』(文春文庫)である。

このドラマを見ていて、漱石夫妻が暮らしている「家」に興味がわいた。というか、単純に「いいなあ、こういう家」と思ったのだ。かつては普通に散見できた日本家屋だが、今どきは、そうはいかない。

漱石が東京・千駄木で暮らしたのは、英国留学から戻った直後の明治36年から、日露戦争をはさんで39年の年末までだ。東京帝国大学や第一高等学校の教壇に立ちながら、徐々に作家へと移行していく時期だ。この間に書いたのが『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『草枕』などである。

森まゆみさんは、著書『千駄木の漱石』(筑摩書房)の中で、漱石を自らの故郷に迎えた“隣人”の如く、その軌跡を丁寧に追っていく。借家だった住居の歴史。生真面目に準備された講義。帝大での学生たちとの軋轢。寺田寅彦など弟子たちとの交流。そして家庭における夫や父としての漱石。

中でも興味を引くのが、小説『道草』で描かれた人間模様と、漱石とその周辺にいる実在の人々との重なり具合。作品は実在の姉、兄、妻、養父などとの確執を浮き彫りにしているのだ。森さんは『吾輩は猫である』を滑稽小説にして近隣憎悪小説、また『道草』を心理小説にして近親憎悪小説と呼んでいるが、卓見である。

さらに本書では、妻である鏡子との“せめぎ合い”も読みどころの一つだ。神経質で夢見がちな夫とヒステリーの妻がいる環境から、なぜいくつもの名作が生まれたのか。「僕は世の中を一大修羅場と心得ている」という漱石自身の言葉が実に味わい深い。

【気まぐれ写真館】 すっかり、あきのそら

2016年10月15日 | 気まぐれ写真館

南海電鉄「不適切アナウンス」騒動をめぐって・・・

2016年10月15日 | メディアでのコメント・論評



フジテレビのネット放送局「ホウドウキョク」に、電話で生出演。

「あしたのコンパス」で、南海電鉄「不適切アナウンス」騒動について解説しました。













大島由香里アナウンサーと古市憲寿さん



*今回の放送を、「あしたのコンパス」のサイトで、視聴することができます。

南海電鉄で車掌が不適切アナウンス「外国人多くご不便を」
http://www.houdoukyoku.jp/pc/archive_play/00042016101201/4

【気まぐれ写真館】 秋曇りの横浜みなとみらい

2016年10月15日 | 気まぐれ写真館

読売新聞で、「中日新聞」記事ねつ造問題についてコメント

2016年10月14日 | メディアでのコメント・論評



中日新聞 記事に捏造
記者「想像して書いた」 
連載「新貧乏物語」

中日新聞は12日、5月に掲載した連載記事2本に誤りがあったとして、同日付朝刊社会面で「おわび」を掲載し、記事や見出し、写真を削除すると明らかにした。

架空のエピソードを盛り込んだ記者の取材メモをもとに記事が書かれたことが原因としている。今後、この記者や編集幹部を処分し、同じ記者が書いた連載以外の記事についても調査する方針。

誤りがあったのは、5月17日付と19日付の朝刊社会面に掲載された連載「新貧乏物語 第4部 子どもたちのSOS」。

おわびでは、19日付の記事について、「教材費や部活の合宿代も払えない、などとした三か所の記述が事実でないことを確認した」としている。病気の父を持つ中学3年の少女が、「教材費も払えない」「バスケ部の合宿代一万円が払えず」などと記述した部分を指すとみられる。

また、17日付の記事には、10歳の少年がパンを売るために「知らない人が住むマンションを訪ね歩く」などとした説明を添えた写真が掲載されたが、この写真は実際の販売現場ではなく、少年の関係者の自宅前で撮影したものだったという。

同紙によると、8月末に少女の家族からの指摘を受けて調査した結果、取材班の記者1人が架空の取材メモを作成し、写真も記者がカメラマンに指示して撮影していたことが判明した。記者は「原稿を良くするために想像して書いてしまった」と話しているという。取材班のキャップやデスクらは、記者が書いた記事をチェックしたものの、メモは記事掲載時点で誰も見ていなかったという。

臼田信行・名古屋本社編集局長は、おわびの中で、「記者が事実と異なることを自ら知りながら書いたことは到底許されません。深くおわび申し上げます」と謝罪した。この連載が6月に掲載された中日新聞社発行の東京新聞などでも当該の記事を削除する。

ただ、おわびでは、19日付の記事で誤りがあったという「三か所の記述」が明示されていない。平田浩二・編集局次長は読売新聞の取材に対し、「関係者に迷惑がかかるので、これ以上は明らかにできない。デスクなど上司による圧力などがあったとは認識していない」と話した。問題の記者の所属や年次なども明らかにしなかった。

連載は1月に始まり、第6部まで掲載。中日新聞は、今年度の新聞協会賞の編集部門にこの連載を応募していた。同紙は、ほかの記事に問題はないとし、連載を継続する方針。

碓井広義・上智大学教授(メディア論)の話
「子供の貧困問題に斬り込む連載の趣旨に沿って悲惨さを強調しようとしたのだろう。 記者のメモの虚偽を見抜くのは難しいが、デスクを含めた取材チーム全体でメモや原稿を入念にチェックし、表現や事実関係の妥当性を検討すべきだったのではないか。 新聞全体の信頼を損なう深刻な捏造行為といえる。『おわび』で、事実でない記述を明示していない点も、読者の混乱を招くことになり、不適切だ」




(読売新聞 2016.10.12)

ノーベル文学賞は、ちょっとびっくり、ボブ・ディラン!

2016年10月13日 | 本・新聞・雑誌・活字



13日午後8時すぎ、ノーベル文学賞の発表がありました。

なんと、ボブ・ディラン!

いやはや、かなりのサプライズです。

ノーベル賞の公式サイトによるライブ配信を見ていたのですが、会場も、どよめいていました(笑)。