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ニホニウム

2016年06月09日 | 時事
森田さん「やっと声に出し喜べる」=新元素「ニホニウム」
原子番号113番の原子に、日本所縁の名前がつけられた模様です。

このニュースを見た後気になって高校の化学の教科書を開いてみると、我々の習った時代は103までしか載っていなかった模様です・・・と、どうやら4年前にも全く同じ行動をしていたみたいですが(笑)現在の教科書では112番までそれぞれに名前がついており、一応118番までが発見されているのだとか。この番号はその原子の原子核にある陽子の数と同義で、この世の全ての物質は陽子が1個(水素)、2個(ヘリウム)、3個(リチウム)・・・というように番号順に分類でき、それぞれに異なる性質があるわけですな。しかし、自然界に存在すると言うか、自然界で過去に発見されたことのある原子は92番のウランが最高で、それ以上の物質は実験室で人工的に作成し「発見した」とされている模様です。単純に言えば、大きなものほど結びつきが弱く壊れやすいため、例えばウランでも放置しているとどんどん壊れていずれはなくなってしまいます。その際に出すのが放射線であり、広島に落とされた原子爆弾はこのウランを強制的に崩壊させる核分裂反応を利用しています。まあそれは余談ですけどね。

自然界のウランは比較的安定しており、いずれといっても半分なくなるのに何億年とかかる(半減期)わけですが、原子番号が100を越えるようなようものは非常に不安定で、強制的に合成できたとしても、ものによっては0.1秒も持たずに崩壊してもらうのだとか。そりゃ、もしも陽子を一つ増やす作業が単純な足し算のように済むのなら、それこそ原子番号200とか300とかでも続々と生まれるハズですからね。実験室でしか見られないのは仕方ないとしても、ちゃんと「発見した」とするには色々制約があるそうです。今回の森田さんのチームは同じく発見したと日本より先に発表していた米ロの共同チームよりも確実なデータを提出したため、無事第一発見者として命名権を獲得し、ニホニウムと名づけられた模様です。周期表を見てみると、番号の小さいものは聞き慣れているものが多く、92番(ウラン)以降は明らかに人の名前や地名などを由来にしている物が多くある傾向にありますから、これらが元々馴染みのあった物質でなく、人工的に作られ命名されたものだということを物語っていますね。ちなみにその米ロのチームは他にも115番、117番、118番まで「発見」して命名権も得ており、113番はまあ日本に譲られたと見るのが正しいかもしれません。

ともあれ、今後世界中の教科書に載るであろう元素の周期表に日本由来の名前の物質が載り続けるようになることは大変名誉なことですね。