かったかくんのホームページ

日々感じたこと、心に残ったこと・・・綴っていきますね。よかったら、立ち寄って下さい。

能面教室開催

2008年02月23日 | Weblog
 午後から、1年生を対象にした能面教室が開かれました。興味があって、最初から見させていただきました。大山町から講師が来てくださり、講義などをしていただきました。

 義理の父が謡をしています。何度か宇佐神宮の舞台での能楽を見たことがあります。しかし、学習として間近で見るのは初めてです。

 講師は、能面を作っています。作るきっかけとなったのは、宇佐神宮に行かれたとき、能面を見て、感激をしてからだそうです。鳥肌が立ったそうです。それくらい能面との出合いはインパクトの強いものがありました。20代後半からというので、40年間掘り続けています。

 能面というのは、能の舞台でしか生きられないそうです。だから、能面を作るためには、能(仕舞)を知らなければなりません。

 能を知るためには、謡を知らなければなりません。
そのために、仕舞や謡にも通じている講師です。ふだんは、学校に電気関係の仕事でよく来るのですが、また袴をはいたいつもとは違う講師の方を見ると、凜としたものがあります。


 実際に能面を持ってきてくれていました。
般若の面には、目は「悲しみ」、口は「怒り」を表しているそうです。離反したものが能面にはあります。また、「能面」とは、一般的に無表情なことを言いますが、しかし、能面ほど表情があるものはないとも言いました。確かにちょっと面の角度を変えるだけでも見ている方にとっては、表情が違ったものに見えます。日本独特の文化の多くを自分自身知らないままに過ごしてきました。

 もちろん、強制的に日本文化を学ばされるのには、抵抗があります。しかし、もっと私たちが受け継げるものはつないで行く必要があるのではないかなと感じました。

 能面の木は、木曽の檜が使われているそうです。樹齢300年のものを利用します。木の魂にお礼を言いながら彫っていきます。

 能面の歴史、能面から、仕舞、謡いなどの説明をしてくれました。実際に能面をつけたり、謡いの「高砂」を講師のあとをつけてうたったりました。

 講師は、「わたしたちの日本の伝統の文化を忘れてはならない、守っていかなければならないものがある。」と授業の最初で話した後、授業の終わりには、「続ける」「伝える」「つなげる」ということを大事にして、今、講師の方は、継承をしていっているということで授業をまとめました。

 味わいを感じさせる時間でした。



見つけた童話

2008年02月23日 | Weblog
 学校においているファイルの中から、姉が書いた童話が出てきました。紙もちょっと古びて懐かしい童話でした。ふと読み返してみました。あの頃の様子が思い浮かんできました。
 熊本の大学病院に数年入院をしている連れ合いのところに、子どもを連れて、行っている時に、バスが流していたOBSラジオから、童話が流れてきました。聞いていると、何か、自分の状況によく似ていると思っていました。連れ合いの病気のことでした。童話の作者を最後にアナウンサーの方が紹介した時に、そのの童話は姉が書いたものだとわかりました。すごい偶然でまた内容が内容だけに驚きました。

 子どもが横にいるので、涙がこぼれ落ちるのを、歯を食いしばって我慢したことを、バスから見える景色を、子どもたちの顔を・・・今でも鮮明に、覚えています。
 
時間があるときに、読んでみて下さい。上の子どもの気持ちをテーマにしたものです。


            健くんのじゅぎょうさんかん日

 健くんのおうちは、おじいちゃん、おばあちゃん、おとうさん、おかあさん、健くん、そしておとうとのたくちゃん・・・と六人かぞくです。

 でも、いまは、いまは・・・五人しか、おうちにいません。おかあさんはとおくのびょういんににゅういんしているんです。

「さみしいだろうけど、ほんのちょっとだけだから、たくちゃんとなかよくるすばんしていてね。」

っていって、ちかくのびょういんににゅういんしていたんだけど、それからまたとおくのびょういんにかわって“ほんのちょっと”が“ずっと”になって、もう十ヶ月になってしまいました。

 ちかくのびょういんにいるときは、ときどきおみまいにいけたけど、いまのびょういんはとおいからほんのたまにしかいけません。

 おかあさんにあえないのは、さみしいけど、おじいちゃんやおばあちゃんがなんでもしてくれるし、おとうさんはべんきょうをおしえてくれたりあそびにつれていってくれたりするし、たくちゃんはおもしろいことばかりいっているし、みんなであかるくがんばっています

 きょうは、健くんのじゅぎょうさんかん日です。健くんがちょっととくいでちょっとにがてなさんすうのおべんきょうです。そろそろおかあさんたちがやってきました。健くんは、きんちょうしてこくばんのほうをみています

『おばあちゃんきてるかな・・・?』

健くんがそっとうしろをふりかえると、きれいなようふくをきたおばあちゃんがにこにこわらいながら、

『がんばって!』

って、声をださないでくちだけうごかしていいました。

『きょうのおばあちゃん、すごくおしゃれだな・・・』

健くんは、にこっとしてまた、まえをむきました

でも・・・

『おばあちゃんもいいけど、おかあさんもきてくれたらな・・・』

 健くんがそうおもったとき、目のおくからなみだがぽろん、じゃなくてポ・・・って、一ミリぐらいでそうになりました

『あっ、たいへん・・・』

 健くんはみんなにわからないように、あわててまばたきをしました

 シュバシュバシュバジュバ・・・

ちょうスピードで、いっぱいいっぱいいっぱいまばたきをしたので、目がぼしょぼしょピュルーンとなってしまいました。


『だれもぼくがなきそうになったのにきがつかなかったかな・・・?』

 健くんが、気になってぐるっとまわりをみまわしたとき・・・

『あっ、あれっ・・・! おかあさんだ・・・!』

 おばあちゃんのよこに、おかあさんがにこにこしながらたってこっちをみているんです。健くんと目と目があうと、おかあさんは、

『きてるよう!』

って、おばあちゃんみたいに口だけうごかしながら手をふってくれました。

『わぁい、おかあさんがきてくれたんだ!』

 健くんは、おおはりきりです

「はじめまーす!」

みんなでげんきよくあいさつをしておべんきょうをはじめました。

「このもんだいわかるひと?」

「はあい!」

健くんは、おおきなこえで手をあげました。

「げんきいいわね、はい、健くん。」

「8こです。」

「はい、よくできました。」

健くんはとくいそうににこにこしています。

「おかあさん、みてくれてかな?」

・・・

「はい、ではつぎのもんだい、これがわかるひと?」

「はあい!」

「あら、健くんだけ?ほかのひとは?」

みんな、シ~ンとしています。

「じゃあ、もういっかい健くんどうぞ!」

「六人です。」

「はいそうです、すごいわね。健くんはりきってるね。」
 
 健くんの大かつやくでじゅぎょうがおわりました。

♪キ~ン コ~ン カ~ン コ~ン
キ~ン コ~ン カ~ン コ~ン♪

『おかあさんほめてくれるかな?』

・・・

健くんがにこにこしてふりかえると、

「お・か・あ・さ・ん・・・」

 おかあさんは、いません。おばあちゃんがにこにこしてたっているだけです。

「おかあさ~ん!」

 健くんはおおごえでさけびたいのをぐっとがまんしました。

『おかあさん、どこにいったんだよう!』

 かえるよういがおわって、いそいでおばあちゃんのところへいくと、

「ねえ、おかあさんはどこへいったの?」

健くんは、おこったようにおばあちゃんにききました。

 すると、おばあちゃんは、

「えっ、おかあさん?・・・おばあちゃんは、健くんばかりいっしょうけんめいみてたからきがつかなかったけど、きてくれていたか
もしれなね。」

って。健くんのかおをじっとみながらやさしくいいました。

 健くんはもうそれいじょうきかないで、こころの中で、

『おかあさんどこへいったのかな、びょういんへかえっちゃったのかな・・・?』


ってずっとおもいながら、おばあちゃんとてをつないでおうちにかえりました

 おうちにかえってランドセルをおくと、いそいでおかあさんをさがしました。ちゃのま、だいどころ、トイレ、おざしき、おうせつま、にかい・・・でも・・・いません。るすばんをしていたおじいちゃんとおとうとのたくちゃんに、

「ねえ、おかあさんかえってこなかった?」

って、そっときいてみました。おじいちゃんは、

「さあ、どうかな。おじいちゃんは、たくちゃんとおひるねをしていたからきがつかなかったなあ。」

って、わからないかおでいいました。


「ぼくとおじいちゃん、いっしょにおひるねねちてたもんね、ねっ、おじいちゃん。」

 たくちゃんもぜんぜんわからないかおをしていいました。

「きょうは、健くんとってもがんばっておべんきょうしてたのよ。おじいちゃん、
たくちゃんほめてあげて。」

って、おばあちゃんがいうと、おじいちゃんが、

「そうか、そうかよくがんばったんだなあ、健!」

ってあたまをなでてくれました。たくちゃんも、

「おにいちゃん、えらいえらい!」

って、“あたまなでなで”をしてくれました。健くんは、とってもいいきぶんです。

『でも、おかあさんどこへいっちゃったんだろう・・・?』

健くんは、ランドセルといっしょにじぶんのおへやにいくと、びんせんをだして
おかあさんにおてがみをかきはじめました。

『おかあさんへ

 きょうはわざわざきてくれてありがとう。
 ぼくは、とってもうれしかったです。
 だからいっしょうけんめいがんばっておべんきょうしました。

 おかあさん、みてたでしょう。

 でもどうしてすぐかえっちゃったの?
 だけどぼくは、おかあさんがすごくげんきそうだったから
 うれしかったです。

 このつぎのさんかん日には、もっともっとげんきになって
 きてください
 
                      健   』



 って、そんな童話が、予期もしないときにラジオから流れてきました。それもお見舞いに行っている途中に。

姉の温かい気持ちも感じました。またがんばらないと・・・という強い気持ちもおこりました。

 あのころ、子どもも夜は、夢の中で、まぼろしで一緒におかあさんのぬくもりを感じながら、寝ていたことでしょう

 つれあいもあれから月日がたち、障害をもちながらも、教壇に立っています。

家族にとっては、先が見えない長い月日でしたが、それぞれの子どもたちも、母の愛情を感じながら、20歳(はたち)を超えていきました。この童話は家族の歴史であり、宝物です。