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「安部公房とわたし」 山口果林

2015-12-12 | 読書

この本、以前紀伊国屋でざっと立ち読みした。

これです。

感想はこちら。

http://blog.goo.ne.jp/kawashima134/e/00aee40d943eb1e0c59e7432496fb918

近所の公民館できのう借りてきて、本日読了。

感想は2年前と大して変りないけど、この本を出す前に安部公房の娘さんが父のことを本にしたその対抗として出したらしい。

娘さんの本には当然著者のことは殆ど触れられてないらしい。それは妻と娘にしてはあってはならないことだから。「ちょっと男の子をしていた」という表現だけ。

この本の中で、安部公房は娘ほど歳の離れた著者と逢瀬を重ね、旅をし、買い物や食事に行き、後半では家族と別居して箱根の別荘で生活し、楽しそうである。

著者もまた女優としての仕事があり、収入もあり、単なる愛人ではないという自負もあっただろう。そして作家を何よりも理解し、小説が産まれる現場に立ち会ったのもこの私であると、言いたげでもある。

私には人様のことを断罪する趣味も資格もないけど、やっぱりなあ、男がずるいよと思った。家庭と愛人のいいとこどり、どんなに遊んできても最後は妻子は自分を迎えてくれると高をくくっていたのではあるまいか。

前にも書いたけど、ノーベル文学賞を貰うのに愛人の存在は都合が悪いと編集者が言っただけではなく、ご本人もそう思っていたのではないかと思う。

本妻さんとはほとんど接触がなかったけど、初めのころ、本妻さんに「私達は週に二度夫婦関係がある。私とは別れないと言っている」と宣戦布告され、臨終直前、「病院には来ないでほしい」と言われたと書いてるけど、誰でもそのくらいのことは言うと思う。本妻さんが特にいじわるではないと思う。

辛い思いもいろいろしただろうけど、それに余るいいこともあったはず。後悔はしていないようなので、まあよかったと思いますが。

ちょっと引っかかったのは、登場人物、死んだ人も生きている人も全部呼び捨て。これはちょっとないんではないだろうかと。特に安部公房の娘は本の中で呼び捨てされて感じ悪かったのでは。奥さんも生きている間は奥さんでいいのでは。あえて名前で呼び捨てすることもなかろう。

それはまあ女優さんですから。一般人とは感性が違うのかも。安部公房が取ったと思われるヘアヌード写真もあります。ファンの方は必読です。

やれやれ、何かイラッとした。お茶でも飲もうっと。

ノーベル賞にいちばん近いと言われた作家もやっぱり男だったわけで。ガックリ。

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