軽井沢高原文学館。2006年。有島武郎の別荘を移築。テラスでお茶します。
夏になると、涼しいところに長期滞在してのんびりしたいなあと、昔から思っていました。
30年くらい前、たまたま、県北、吾妻山の貸別荘に一泊したことがありますが、理想と現実は大違い、全然くつろげませんでした。
借りたのは高床式のログハウス、リビングや台所、部屋は二つ、家族5人で宿泊しましたが、食事作って風呂沸かして、慣れない道具で四苦八苦、家にいるより忙しかった。
何より当てが外れたのは、とても暑かったこと。エアコンはなし。でも窓が少なくて風通しが悪く、昼間の熱気が抜けずに蒸し暑かった。
でもまあ初めての体験だし、高校野球見る長男を残して、みんなで吾妻山登山。三男はパジャマズボンにスリッパで、お父さんにおんぶされて。親も若く、子は幼い。
追分、堀辰雄の別荘。玄関横の折り畳み式テーブル。ちょっと物置くのに便利そう。
10年くらい前、夫の元上司だった人が東京へ移住、その後那須の別荘に招待されたことがあった。
こちらは貸別荘よりずっと広く、備品もきちんとあってよかったのですが、管理がとても大変そうで、好きでないと維持できないなあと感じた。よそのお宅のことはわからないけど、息子たちももう全員成人し、結婚した子もいたので、うちの息子たちに限って、親の遊びに付き合ってくれるとも思えず、結局は見果てぬ夢に。
これからは田舎の辺鄙なところではなく、JR駅に近いところか、または街中の眺めのいいマンションならいいかなと漠然と思っていて、この春先、たまたま近所の中古マンションが売りに出たけれど、先約があり買いそびれた。
友人にはものすごく反対されて、考えてみたらもう要らないものを持つのはやめておいた方がよさそう。
自分は何にくつろぐのかなあ。どこがいいのかなあと考えていたけど、先日泊った各部屋が一戸建てになっている山の中の宿が、まあ別荘よりはいいかなと思っている。
そう、あれは我が家の別荘で、行っても家事全般やってもらえる。無理やりね、そう思おう。お金出して不動産買うよりずっと安上がり。
数年前、友達に誘われて、そのまた知り合いが会員になっている会員制のリゾートホテルにビジターとして宿泊したことがある。
豪華な室内に家具・・・でも私はそのホテルが建つ水田地帯の農家の家に泊まりたいなあと、そちらの方がうんとくつろぐと感じていた。
結局、人は子供のころ、大人に大事にされてのびのびと遊んでいた環境が一番落ち着くのかなと思う。私にすれば、涼しい風が吹き渡る座敷のある家。それから夏休みに行った、母の実家の山の家。
その家は木がいっぱいで、涼しくて、今でも夏は特に木の下にいると生き返った気がする。家畜がいろいろいて、見るのが楽しかった。子供たちだけで、また別の親戚に行って泊り、朝は地元のラジオ体操に参加する。どこまで行っても山、また山。その間に点在する集落いろいろ。
夫は先日の墓掃行ったとき、夏休みに遊んだ親戚の庭が懐かしそうだった。一瞬にして小学生に戻った気分だったかも。
一年一年、幸せな夏の気分を思い出して、しみじみと味わっているのも自分が年取ったから?
お金では買えない大切な思い出、気分、どなたにもあると思う。それを持っていることがありがたいと思う。
追分。油屋旅館。文学者が定宿にし、揮毫もたくさん残っていた。2006年。
今は宿は廃業。