遊びをせんとや

毎日できるだけアンテナを張って
おもしろがりながら楽しみたい。
人は「遊びをせんとや生まれけん」です。

舟越桂さんのこと

2024-09-02 07:26:05 | 美術
舟越桂さんが亡くなった。
不覚にも8月の芸術新潮を図書館で借りて初めて知った。

新・美の巨人のテレビで取り上げられていた。

舟越桂さん、大好きな彫刻家だ。
独特の人物像
そして異形の生物を木の彫刻で作る人
その作品は色々なところで不意に遭遇した。

ふと本棚を探すとありました。

なんて優しいおもちゃなんだろうと。
桂さんが自分の子供たちに作ったお手製のおもちゃの数々


そしてこれも
この本を買った時は少し難しかったけれど、手元に置いておいて良かった。
また読んでみよう。

芸術新潮を読むと舟越保武さんの次男とあった。
そうや、お父さんの保武さんの彫塑に私は感動したんだ。
長崎の旅で観た「原の城」
その時のブログはこれ

島原、長崎紀行 おまけ ~旅の終わりに~ - 遊びをせんとや

この旅はこの美術館にある舟越保武の「原の城」の像に導かれた旅だったんだろうか。写真はお借りしました。数年前に国立国際美術館で出会ったこの像で私は「原城」の存在を...

goo blog

 


そうだったんだ。
舟越家はキリスト教の洗礼を受けている。
宙に浮くマリア像を作ったのは舟越桂さん

画像はお借りしました。
北海道函館の教会にあるトラピストの聖母子像

お父さんが長崎に作った長崎二十六殉教者記念碑

この画像もWebよりお借りしました。
2年前の長崎旅行では行けてない。

そして、弟さんは抽象の彫刻
思いを自由な形にできた弟さんに桂さんは嫉妬心さえ覚えたそうだ。
弟さんも若くに亡くなっている。
そしてお姉さんは絵本のすえもり文ブックスの末盛千枝子さん

観た人の視線を捉えて離さない、唯一無二の桂さんの彫刻
もっと生きてはったら現代の仏像を作っただろう。
あっ違うか、キリスト教像か。
今、箱根の森美術館で展覧会をやっている。観に行きたい。日帰りでもいい。

昨日の晩御飯は4割引きになっていた鹿児島黒毛和牛を使ってチンジャオロース風炒め。久しぶりに美味しい牛肉を食べた。
モズク、海老の酢の物。冷奴。冷凍してあった山椒を使ってちりめん山椒。玉ねぎ、シイタケのお味噌汁。

お味噌汁は残してしまった。母に似て来たかな?




日月四季山水図を観に行く

2019-05-03 18:19:47 | 美術
連休です。

暑くもなく、寒くもなく、木々の緑は素晴らしくきれいで
今年はまだ気温も高くないので、花々もそれなりに楽しめる。

でも、海外は高いし、国内は混むし。

ということで、日ごろゆっくりおしゃべりを楽しむ間もないので、無理やり、私のおしゃべりしたい人を招いての
食事会を計、3回催す予定。まだ、明日ある。

続けたら私も大変なので、あいまに一日ずつ休憩を入れる。

そんな合間の前日にふと、ミセスを見ていたら、私の好きな日月四季山水図が公開されているというではないか!

ちょうど5月3日~5日まで。それも金剛寺で。

これは行かねばなるまい。朝起きて旦那に言うと、「チラシもってんで。」というではないか。
「はよ、言わんかいな。」と思うが、もうすでに朝のウォーキングをすますと、7時ではないか。

河内長野駅からバスで20分ほどだからそんなに遠くではない。

勇んで出かける。お天気は上々。

バスの便もよく、10時前には到着。
伽藍配置も素晴らしい金剛寺。



まずは、お目当ての日月四季山水図屏風を観に。室町時代の作だといわれ、作者不明。2018年に国宝指定。

なんと、貸し切り状態。

じっと見つめていると、涙が出そうになるほど、美しい。

「これは、絵師ではない、きっとお坊さんが描いたんだ。」とか「なんだか、俵屋宗達の琳派の流れを感じる。」
とか「こんな宇宙観をこんな風にデザインできるのは生半可な人物ではない。」などの何の根拠もない直観で
ぶつぶつつぶやく。「桃山時代ではないく、室町だといわれているが、でも私はどうしても俵屋宗達の流れを感じるから
桃山時代の後半ではないかとも思う。」と偉そうにうそぶく。

かの白洲正子様が「一番、大好きな風景画」とおっしゃって、「いかにも室町時代にふさわしい。過渡期の作品だ。」とも。

「そうか。」とガックシくるが、あとで家に帰って調べたら、やっぱり、絵仏師が描いただの、僧が描いただのと出てくる。
「俵屋宗達」の名前も出てくる。あながち、私の見立ても間違っていない。

当然、写真は撮れないので金剛寺さんのHPからお写真お借りしました。





銀箔は酸化してかなり剥落しているので、これが修復されたら、なお一層渋い色使いの中になんとも言えない微妙な
艶やかさが加わって、美しい作品だろう。


1m眼前にこの作品があって、旦那と二人。二人締め。でもあとで2人ほど人が来た。

お庭もきれい。



 




この金堂の中にも3体で国宝に認定された大日如来坐像、珍しい不動明王坐像、降三世明王坐像



この画像もお借りしました。すみません。

この本尊様は拝めないと思っていましたのに、格子の隙間からきっちり、ご尊顔を拝むことができました。

お庭を散策し、ゆっくりして1時間余り。


バスに揺られて帰りました。

なんとも濃い時間でした。国宝三昧でした。

合掌

追伸:このお寺、御酒も造醸していてえらい売れたみたいです。秀吉推薦の古酒を復活したというお酒を
   買って帰りました。超甘口でしたが、とても美味しかったです。

 


ボストンの北斎

2014-06-23 07:12:41 | 美術
展覧会続きで。

先週の土曜日に最終日間近の神戸市立博物館の「北斎展」に行ってきた。

                

北斎の初期から晩年までの作品をこれだけ網羅しているのが日本ではなく、アメリカの
美術館だということが何とも複雑だ。

去年、東京三菱一号館で観た北斎より状態のいい版画だった。

北斎の風景はもとより人物、花鳥、貪欲なまでの探求心に恐れ入ったのは当たり前だが
その目の付け所がすごい。

             

やはり富岳三十六景の構図が圧倒的だが、滝シリーズも斬新で素敵だった。






                    

何気ない風景や人間の営みに暖かいまなざしを向けていた北斎らしい作品だ。

清冽な瀑布のそばの岸壁の上で弁当を広げる人々。その傍には簡易の囲炉裏が組んであり
小鍋がかかっていた。何を炊いているのだろう。きっと湯豆腐でも煮立っているのかな?
今でいうバーベキューだ。


 


きっと新緑の美しさやさわやかさに一時江戸の人たちは楽しんだのだろう。


日本の大胆な風景の切り取り方や人物のユーモラスな描き方に西欧の人たちは
驚いたのだろう。

日本のデザインの良さが明治以降は先に他国で評価され、後で日本に受け入れられるとは。
皮肉なものです。

でもこれが早くに海外に流出したために関東大震災や太平洋戦争に被害をこうむらなかったのは不幸中の幸い。
ゴッホも陶器を包んだ紙が浮世絵だったのは驚いただろう。

開館とともに入館したくさんの人ながらじっくり観てでてきたら60分待ちだった。



日本のデザインの力 ~高橋秀の展覧会~

2014-06-22 14:31:35 | 美術
連休以来、とても忙しかった。

生まれて初めての公開授業をしたり、文楽の鑑賞教室の取り組みをしたり、、、。

そんな中でも休みにはできるだけ自分の美意識を鍛えるべく美術館やら
劇場に足を運んだ。

昨今、風は日本美術に吹いていると思う。

先週の土曜日、午後からは京都南座の玉三郎の地唄舞。

午前中に我が家のコルクボードを眺むれば、可能性のあるのは
京都市美術館の「高橋秀」と向いの近代美術館の「上村松篁」の展覧会

方や油の大賞「安井賞」を30代初めに獲得した油画家と天才的な美人画の母親を持ち
自宅に鳥舎を構えるほど動物好きの日本画家

どちらも与えられた立場に満足せず、常に未知の絵の世界を探求した人だ。


初めて高橋秀を観たと思ったが意外にいろんな所で目にしているもんだ。

かつての美術の教科書の表紙にもなっていた。
旅行で訪れた福山市立美術館の庭にも斬新なモニュメントがあった。



緑の中の鮮やかなモニュメント。

そうなんだあの人なんだ。

40年間のイタリア生活を終え、日本に帰ってきてからの作品は圧倒される。

やっぱりこの人も惹かれるのは琳派を彷彿とさせる日本のデザインなんだ。

  


新しくてモダン。大胆にして繊細。



日本人のDNAの中に脈々と流れるデザインの力。

                 

清廉で艶っぽい。

この巨大な木製フレームも変形フレームも全てご本人の手作りというのが恐れ入る。
弟子が作るとか発注するわけでもなく、きちんと最初から作者が作るというのがいい。
絵画であって物づくり工芸分野も多少含んでいるんだ。

そんな事を気づかせてくれる展覧会だった。

  


川瀬巴水 ~芭蕉の目のカメラマン~

2014-03-07 07:25:21 | 美術
先週の日曜日、待ち焦がれたように難波の高島屋のグランドホールに
最後の浮世絵版画家、川瀬巴水の版画展に行ってきた。



以前日曜美術館で観て絶対行こうと思っていた。

大正から昭和にかけて、日本国中色々な所を旅して風景を水彩で描き
版元から出版した。

浮世絵に踏襲された「絵師、彫師、絵師」の分業によって、一枚の版画が
生まれた。

今授業で取り組んでいる多版多色刷りの木版画にも使えると思った。

楽しみにして高島屋の地下の入り口前のスタバでお茶。

昔の教え子らしき子(もうすでに中年)が座っている。間違いないと思うけれど
間違えたら恥ずかしくて声が掛けられない。

きっと同じ展覧会に行くだろう。

そこで声を掛けてみようと思う。

高島屋のさして広くないグランドホールに所狭しと並べられた版画の作品

なんだか懐かしい日本の風景という感じで見入ってしまった。

特に私はこの信州寝覚めの床の光の表現に感心してしまった。

      

川の岩に少し日が傾いてきたころの光があたっている。

巴水は松尾芭蕉のように日本各地を旅して回った。

この作品は絶筆の平泉中尊寺

           
画中の僧は巴水自身か?

画題に取り上げるのはいい天気の時ばかりではない。

風雨や雪、時刻も明け方、夕暮れ、

          


時には夜。

その時々の光や風や湿度や気温を感じることができる。

そしてそれに伴った光

まるで写真家の目である。




 

手に入る値段だったら絶対買おうと思っていた版画

買ってしまった。巴水ブルー





 マット紙の貼ってあるのは奥さんの着物の布地だそうだ。

戦後、日本より海外に人気だった木版画
あのスティーブ・ジョブスも来日すると必ず巴水の木版画を買っていったそうだ。

完全に日本の風景が変わってしまった現代、日本人も日本の色を懐かしんで目がひきつけられるのでろう。
そこに求めているのはその時代の光と影。







マイてぬぐい その②

2012-07-07 20:10:02 | 美術
マイてぬぐい
その後の授業展開
あんまり各クラスのデザインが面白いので色々アップ


陸上部の子



猫で
真ん中をどうしようとすごーく考えて




  こうしました。画面でわかるかな?白にすこーし色を足して


         


 JRのような柄
 


  剣道部 夏らしい色合で

    


 吹奏楽部
 すそを揃えて

      

 

 連続印刷の時は必ず一かいずつドライヤーで乾かして





 次の自分の名前の三社札のデザインに取り組む

  


 何かマークを入れてもいい

      

 勘亭流のひらがなだけ見本に配布
   

 真剣に考えてる、、、。

 出来上がりを私が楽しみ。

村上華岳

2012-05-20 21:22:35 | 美術
今週もお出かけ
前の職場でお世話になった人と
どこに行こうかと悩んでいたら
夕刊に出ていた京都祇園の何必館(京都現代美術館)の
村上華岳展





太子樹下禅那之図を手に入れた



               





ことをきっかけにこの美術館を建設されたそうだ。
館長の梶川さん。




昔一度は訪れたことはあったと思う建坪が
小さな美術館だが縦には長く
5階立て。
最上階は吹き抜けの坪庭になっていて
日の光が差し込む

そこの床の間にこの絵

なんとも言えない静かで静謐な
雰囲気があった。

私たちは10時の開館とともに入館したが
11時にはぞくぞくと言った感じで
人が集まりだした。

地階の北往路魯山人の器を観て
納得
隣のトイレがまたシンプルで美しい!
なんの無駄もなく
手拭の紙を入れる器もこの上なく
美しい。
思わず写真に撮りました。




後はぶらぶらと花見小路まで歩いて
ネットで調べて予約した店祇園くらした


                                


小ぶりでおいしいお弁当御膳と
地ビール 

         

ネーミングがなんとも
「幕末の風雲児」ちょっと大げさ? 




あとは生八橋を買って(今日は西尾)
早めに帰ってカットに行って
晩御飯を作って
清盛を見るという定番の日曜日

いい美術作品はなんとも心の滋養になります。
ストレスが飛ぶ

奇跡の復活

2012-02-05 16:50:06 | 美術
今日の朝、9時からのNHKテレビ
日曜美術館光琳の「紅白梅図屏風」の復元を特集していた。


          


森山知己さんという日本画家に
依頼して江戸時代の技法で紅白梅図を復元したのだ。


      


電子顕微鏡で中央の川面の水流がいかに描かれたかの
検証









私は授業でこの絵の文様は渋紙を切って型紙を
使った黒くしたと説明していた。
それが今までの定説だったらしい。

今回川全体にとても薄い銀箔を押して
その上にドウサで川の模様を描き
残った部分に硫黄の粉をまぶして
銀を黒化させたものだというのだ。

ドウサ、これも日本画をやっていたものにしか
解からない言葉の響き
いわゆる薄い膠液に明礬を少し入れた物だ。
膠で試したり豆汁で試したりしてみたが
やはりドウサが一番きれいにエッジが出たようだ。

気の遠くなるような薄い銀箔を根をつめて張っていく。
おまけに背景は金泊。画面全体が箔なのだ。
しかも私が使ったような分厚いやつではなく、
とてもとても薄い扱いにくい箔だ。

最後に白梅と紅梅を左右にたらしこみの技法で
描いて見事に江戸時代の紅白梅図が現代によみがえった。

見ていて不覚にも涙が出た。
どんなに気を使って作業をしたか、
どんなに大変だったかが何となく伝わってきたからだ。
それとなんて斬新ななんてモダンな画面なんだろう!
300年も前にこんな切り口の絵画が存在したなんて
日本人はえらい!
尾形光琳はやはり天才だった。

森山さんが水流を筆で描くところでおっしゃっていたが
実際の水を見てスケッチしているだけでは描けない。
やはりその勢いがいるそうだ。
下描きをしたり、型紙を用いて描いてはその勢いは出ないとのこと。

自然に眼を凝らしその水流の文様を感じとり
それを画面に再現できる。
そのことに感動した。

いい物を見せてもらった。

来週日曜日夜8時から再放送。
是非ご覧あれ!


集英社美術全集 私の絵の原点

2012-01-03 21:08:42 | 美術
年末にふとオークションページで見てしまった。
集英社美術全集の大判の揃いを
不思議にゴッホの巻だけがなくて
後は24巻揃っていて送料込みで1万円の値が
ついていた。

昔、学校の図書室にあったり
なかったら購入してもらったりして
よく鑑賞の授業で使ったものだ。

もっと以前、子どもの頃に
自宅にこのとても小さい版があった。
最初は2,3冊
少しずつ買い足してそれでも
全ては揃っていなかった。
子ども心に「ドラクロワ」って
なんて怖い絵を描くだろう。
でもなんだか怖いもの見たさに見てみたい。
「アングル」はなんて写真みたいに
絵を描くんだろう。と感心したり。
ゴッホの画集の解説文はむさぼるように
読んだ記憶がある。
なんだかはちゃめちゃな人やなーと。

私の西洋美術の入り口は案外この
集英社の美術全集にあるのかも
しれないと
昨年夏にヨーロッパに再訪した時に
強く思った。

オルセー美術館でも妙にアングルが
気になった。
そうかあの全集にあった絵だったんだ。

というわけでオークション終了間際でも
だれも入札していない。
アカウントを持っていないので
実家に入札を頼み、ついでに
実家に送ってもらうことにした。

なんとついたら大荷物で
実家はおおわらわ
何冊かこの年末、新年で
持ち帰る。
大きい!重い!
印刷技術も今とは比べ物にならないくらい
お粗末な色だけど
これだけ揃った美術全集はいまやない。

なんだかなつかしい友達にあったような気がした。

これは「ルオー」の巻

    

外箱の絵だけで絵になる。

大山崎山荘美術館

2011-11-12 16:22:53 | 美術
久しぶりに晴れた秋日よりの一日
大山崎山荘美術館へ年上の友人と行く

忙しかった日々、ギアをトップに
入れたまま10月から今まで走り続けてきた。
少しでも気が緩んだら
そこでやることがすごく雑になるような気がして
できるだけベストを尽くすようにした。

そうする方が楽しい。

今日はその御褒美のように美しく晴れていた。

午前中、空気は少しひんやりしていて
肌寒くも感じるが午後になるにしたがって
日差しは強く暑くも感じる。

気の早いもみじが色づいているだけで
まだ紅葉にはちと早い。





大山崎山荘美術館には8年ほど前の夏に
来たきりで久しぶり。

阪急の駅がまず変わっていてびっくり。

山荘の庭に新館をたてるべく工事中だった。

                                

展覧会は    




私好みの民芸調の
濱田庄司、河合寛次郎、バーナード・リーチ、李朝の焼き物
オンパレード 

古い洋館に濱田庄司の焼き物
なんだかとってもしっくり気分がなごむ
こういう土ものが私は大好き


安藤忠雄設計の新館には当然モネの睡蓮にちなんだ
色合いがぴったりマッチする焼き物が並んでいる。

時々、ミロのモニュメントが出てきたり
ドイツの焼き物が出てきたりする。

時代は似通っていても全く違ったところで
焼かれた焼き物がなんとも絶妙に
バランスを保って置かれている。

近くの新しくできたイタリアンで昼食が
11:30からしか予約が取れなくて(それだけ美術館が混んでいたということだ)
美術館での時間が短くて残念だった。

テラスでビールも飲みたかったのに

レストランタガミの前菜



もちもちスパゲッティ




こんどはビール工場にも是非行ってみたいものだと
思った。