遊びをせんとや

毎日できるだけアンテナを張って
おもしろがりながら楽しみたい。
人は「遊びをせんとや生まれけん」です。

美術家たちの学生時代 功刀知子著 ~自分の心に正直なこと~

2023-02-28 06:57:46 | ブックリスト
2月、すごくよく眠れる。
夜中に一旦目は覚めるのだがすぐにまた眠りに入る。
そして5時過ぎには起きるのだが、布団に入るのは9時。
ほぼ8時間は眠れる。夢も見ない。
同時に血圧も安定している。

きっと全てプレッシャーのかかる仕事が終わったからかな。
血圧はそのプレッシャーによるようだ。

週末の新聞二紙の書評欄を参考に図書館に読みたい本の予約を入れる。
たいてい、出版されて2か月たった本は図書館にある。
予約を入れて待つ。新聞に載ってすぐならあまり予約は殺到していない。
このペースがすごくいい。予約が多い本も10冊くらい予約を掛けておくと読み終わったころに借りることができて効率的。
お金はかからない、読みたい本が読める、今まで高価すぎて諦めていた本も読める、しかも本が家に増えない。いいことだらけである。

そんなふうに予約を入れて借りた本
「美術家たちの学生時代」功刀知子さん著。2022年11月出版。

私が借りた後にどなたかが予約を入れている。そういうことも解る。早く読まなくちゃと言う気になる。

彫刻家の舟越桂さん、現代美術家の塩田千春さん、画家の山口晃さん。この3人との対談が掲載されているので興味があった。
その他にも現代の色々な形の美術家の方との対談が載っている。コロナ禍の中なのでリモートで取材される場合もあった。

自分が曲がりなりにも京都市立芸大を受験し、当然、不合格で教育大に進学したが、そこは芸大落ちた人の溜まり場のような科だった。
もちろんすごく真面目に教師になるために入学した人もいるが、ほぼそんな感じだった。次の年に再度芸大を受験して合格した人もいるし、私の高校の同級生は合格しているにも関わらず蹴って予備校に通い、芸大に行った。
すごいなーと自分は思っていた。

そんな学生時代だったのでこのインタビュー集はとても面白かった。
どの方も現代の生きのいい美術家の方なので面白くないはずがない。

その中で私がそうなんや!と思った水彩画の永山裕子さんの「抽象を描こうとしたが自分の表したいことは水彩の具象だった。」という意味の言葉。
私が3年生の美術の授業で取り組ませている「未来の子供たちに送るメッセージを込めたモニュメント」制作。
昨年から取り組んだが、モニュメントという意味を伝えきれていなかったからかもしれないが、抽象形が凄く少なかった。
どうしてもミニジオラマのような物が多い。今年は特にその傾向が強かった。
でも永山さんの「赤い実を綴る」という水彩画を観てそのテーマを訴えかける強さを感じ「そうなんだ。具体な物を描いてもそこにメッセージを込める方が本人がピッタリだと感じたら別に抽象でなくてもいいんだ。」と腑に落ちた。

写真はWebよりお借りしました。
3年生の作品なので私が一番目指したのは「何でもいいから表現方法や形や色にこだわって作って欲しい。」ということだった。
この本で取り上げられている美術家の方たちも結局は「自分の心の欲するままに表現すること。」の大切さを強調している。

自分の感性に引っかかった本を読むことはこんなふうに答えを与えてくれることもあると感心した一冊だった。

18世紀京都画壇 辻惟雄

2023-02-26 07:48:48 | ブックリスト
遡れば 
神戸博物館で「よみがえる川崎美術館展」に行って、応挙の襖絵を観た時から応挙の凄さをこの年齢になって肌身に沁みて少しは解るようになった。
この時の記事

応挙の清冽な魂 ~神戸市立博物館 よみがえる川崎美術館展~ - 遊びをせんとや

前売りペアチケットをネットで買って楽しみにしていた神戸市立博物館の川崎美術館展。ペアチケットは2人で2500円なので当日券より700円お得。どうせならお天気のい...

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応挙作品は今までにも観ているはずだ。でも若い頃はどの襖絵も同じように観えたのだ。
最近、身体に沁み込むように良さを感じる。

大乗寺に行って応挙一門のオール応挙プロデュースの襖絵を観た時にも蘆雪の凄さが身に染みた。

その時の記事

旅はいい!香住 その① ~大乗寺応挙、蘆雪~ - 遊びをせんとや

フル勤務の時は1月は激務の時期だった。旦那も私も一番忙しい時だった。今年は「冬に蟹を食べに行こう」となって旦那の提案で香住の大乗寺の円山応挙の襖絵の本物を3月ま...

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そして読んだのはこの本「ごんたくれ」
その時の記事は

ごんたくれ 西條奈加 ~京の日本画壇、応挙から蘆雪、呉春、蕭白~ - 遊びをせんとや

香住の大乗寺に行って長沢蘆雪の猿の絵にいたく感心したので蘆雪をモデルにした小説を読んでみたいと思った。ネットで調べてみると蘆雪自身が波乱万丈の人生で完全にADHD気...

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この本で18世紀後半の日本画の世界に降れ、本当の意味での日本画が完成されたような気がした。
題材は中国の風景や聖人、故事を扱っているにも関わらずだ。

系統立てて、知りたいと思ったので辻惟雄さんのこの本を図書館で借りた。
「18世紀京都画壇」



この本が出版されたの2019年。辻さん88歳。
彼が「若冲、蕭白、蘆雪」の凄さを改めて世に知らしめてくれた。
日本画の成り立ちには中国画の影響を抜きには語れないので中国の水墨画がいかに日本の絵画に影響を与えたかを述べてあるが、そこんところは実際の絵が思い浮かばないので読んでいてしんどい部分もあったが、全体の流れがおぼろげながらつかめた気がする。

この本の中に「応挙はプロ、若冲はアマ」という文章が出てくる。
以前講演会を聞きに行った山口晃さんと山下裕二さんの対談でも触れられていた。
その時のことはブログには書いてないが、ネット検索すると2016年3月に京都教育文化センターだった。
山口さんが「若冲はプロだと思ってないので。」とおっしゃってた。ちなみに山下裕二さんは辻さんの教え子。

こういう美術作品の良さは自分のタイミングしかピンとこないんだろうなとは思うがチャンスがある限り本物を観に足を運ぶのは大切なことだ。

奇しくも今秋、中之島美術館で「生誕270年 長沢芦雪」が開催される。
紀州串本に赴かないでもあの虎に会えるのは楽しみだ。

ネットから画像はお借りしました。

人が生きていくということ ~いろいろ考えた事、最近感じた事~

2023-02-25 07:01:35 | 日々のあれこれ
最近人の話を聞いたり、ラインでやり取りしたりして、思ったことがある。

女性も活躍しようという呼びかけ。一億総活躍。
そもそも活躍という言葉じたいがどんなことを指しているか解らないし。

知り合いの家族の話もどうも子供が産まれて奥さんが産休中はぎくしゃくして、旦那さんは仕事で活躍している人。
奥さんが徐々に仕事に復帰された時から少し改善してきたそうだ。

もう一人の知り合いは奥さんが専業主婦。3人子供がいるから大変だろうと色々家事を旦那さんが手伝っているが、なかなかうまく回らない。

結局、社会に対する承認欲求が満たされていないと仕事を持って外で働いていない人はモヤモヤする社会になったみたいね。

女、男ではなく、共同で生活していく上で社会で認められないと人間としてダメみたいな雰囲気が世の中を覆っているように思う。

そこで「誰かのサポートをして家庭をしっかり回していくことはどうなのか?」という問いかけがあったが、そこんところはあんまり重視されずに無視されているような気がする。

そりゃみんな子供産まんわな。
私だって産休、育休中は何となく社会から取り残されているような、そして仕事の事も気になり焦った感があった。
子供が小さい時は「時間がない!」と不満だらけだった。「もっとやれるのに。」と思った。
今この歳になって自分の家庭があって子供を産んで曲がりなりにも育てたことがとても大きな意味があった。
人間的にも多少成長したし、他人を理解することにも役立ち、結局世間も広くなったと思う。

でも今しか見えない若い人はそりゃみんな活躍しないとけないから子供は産まんわな。
と妙に納得した。

家にいる時間の長い奥さんのイライラを鎮めようと旦那が家事を手伝ったり、エステに行っておいでと言っても長期に考えるとあんまり意味がないのではないか。ほとんど社会的承認欲求を満たされていないからで、でもそれを追求する限り自分も努力しないといけないし、認められるような仕事ができる(それは私は何でもいいと思っているのだが)能力も必要なのだ。
とつくづく思う。

2月はおもてなし月間 その②

2023-02-24 06:21:03 | 料理
2月に予定したていたランチ会、2回目。

今回写真ばっちり撮りました。

作り置きおかずを小皿料理にしてサーブして私が楽しようと思った。

メニューは

左上から蛍イカと菜の花の酢味噌辛子和え、右上ポテトサラダ、左下塩麹鳥のタコスの中身のようなサラダ、
真ん中辻仁成さんのレシピサーモンパテ、右下クリームチーズにナッツとプルーンのウイスキー漬け。

メインは牛すね肉のワイン煮。これは写真忘れました。

サーモンパテは缶詰の鮭の水煮を使い、サワークリームさえ手に入れば超簡単。ソースは工夫してマヨネーズを減らして生クリームをでマイルドにして、パセリとディルを刻んで入れて塩、コショウ。評判良かった。

タコスの中身は娘が来た時に余っておいて行ったハラペーニョのソースを使って塩麹で焼いた鳥が冷凍してあったからそれを解凍して刻んでいれた。

牛すね肉もいつもトマト缶を使っていたのをレシピ通りにミニトマトを使ったらすごく美味しくできた。発見。

私もゆっくりできたたしいいメニューだったと思う。

話も尽きず5時過ぎまで。

デザートはお持たせのケーニヒスクローネのイチゴパフェ。

あまり甘くなくとても美味しかったです。
御馳走様。

すごいピュアな世界 ~柴田あゆみ かみがみの森~

2023-02-21 07:02:36 | 美術館、博物館
徹子の部屋に森山良子が出演していた時にこの人の切り絵をステージの背景に使っていると聞いて是非観に行きたいと思っていた。

柴田あゆみ 「かみがみの森」


大阪高島屋グランドホールであるので前売り券をコンビニで買っていた。
最近美術展は日時指定しなくて良くなったので必ず観に行きそうな展覧会は前売りやペアチケットを買う。
この展覧会も当日800円、前売り600円。200円のお得。

職場の帰りに久しぶりに難波まで行く。

予想以上の美しさだった。


 
これは一番大きな「調和の森」


森の奥の照明が赤から白から青に変化する。



初期には墨や青い色を使った作品もある



 

でもやなり、紙の色そのままでガラスの容器に入った立体切り絵

かみのてのなか「夜のしっぽ」


「旅人の本」


かみのてのなか「ぎんかのおと」


「陽出る」
 
 「かみのやま」
  
  「かみのてのなか・太陽の船」
     
     「かみのてのなか・月夜の街」


  

この一連の作品はすごく異国情緒を感じて13世紀にマルコポーロが東方に旅をしたイメージがすごくある。
何故か。
私はこの一連のシリーズが一番好き。


基本命があって生きているという素晴らしさを表現していると思う。

そえられている文章も良かった。


美しい物を観せてもらった。

イメージ通りの手作り刺繍ブローチ

2023-02-20 06:37:29 | ハンドメイド
週末あんまり天気が良くなさそうだった。
娘が急に帰ってくると言ったが夜も遅く、次の日は昼まで寝てる。

時間があったので以前から壊れたネックレスなどのビーズを使って布ブローチを作りたいと思っていた。
私の手持ちのワードローブは柄のないシンプルなデザインが多い。
ちょっとインパクトのあるブローチが欲しかった。
陶器やガラスなどだと重い感じもするし、木はちょっとイメージが違う。
刺繍とビーズを組み合わせて作れたらなと思っていた。

まずはイメージ画を描いてみた。

すぐに作り始める。
土台はフェルトでは分厚いし、思いついたのは友達に縫ってもらったワンピースのグレーのフラノの生地のあまり。
ちょうど柔らくて刺繍がしやすい。しかも刺繍をするほどに段々しっかりしてきて裏打ちの生地を縫い合わせるとちょうどいい。
中学生の頃に使っていたあまりの刺繍糸でちょうど色もあった。

ほぼ午前と午後、録画したテレビを視ながら手作業は進んだ。
最初は裏側がぐちゃぐちゃだったが、いいやと思って続けていると段々コツがつかめてきた。

以前から何か手作業がしたいなと思っていたが、実家に通うようになって膠液がすぐに痛んでしまうので日本画を描くのも中断していた。編み物もやりたかったが編み目を数えるのに今はおっくうだった。

何か定型の物を作り方を見ながら手作業をするのが大嫌いなので、刺繍は慣れてくると絵を描くようにだいたい思うように進む。
少しぐらい違ってもなんとかなる。
最後にビーズを縫い付けて、裏をあわせて回りをかかり、裏にピンもあったので縫い付けて完成。
そんなに完成度は高くないけど自分的には満足。


集中してすごくいい時間だった。

外は珍しく一日中冷たい雨。

戻ってきた手袋 

2023-02-18 06:13:50 | 日々のあれこれ
目の前を時間がびゅんびゅん過ぎて行く。
あっという間に一週間経つ。
もう週末。

寒さもかなりましになったように感じる。

先日失くしたと思った紺色の皮の手袋が戻ってきた。
あるところで保管されていた。とてもきれいな状態で。
誰にも踏まれずに戻ってきた。

私は古い手袋もランバンと思い込んでいた。見た目がそっくりだったから。

右が新しい手袋

でも改めて確認すると違った。左の古い手袋はケイト・スペードだった。
長さが微妙に違うし、手首の切れ込みの位置も違う。
でも色味と内部のカシミヤ部分はそっくり。

新しい手袋も負け惜しみではなく気に入っているし、、、。
古い手袋も戻ってきて、とても不思議な気がする。

旦那もラインで「不思議な事もあるもんやな。」という。

起きている事は全て意味がある。


ベルクグリューン美術館展 ~ピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティ~

2023-02-16 06:20:05 | 美術館、博物館
国立国際美術館でベルリン国立ベルクグリューン美術館展が催される。
これは行かねばと招待券をラッキーにも手に入れた。


会期が進むに連れて混むと踏んだので早めに平日の朝一番で出かける。
コロナが少し収まり、時間指定を取らなくて良くなったのでとても助かる。
久しぶりの国立国際美術館である。

朝開館15分前に着くとすでに数人の人の列が5分前には30人くらいに増えている。
それでもまだ少ない方だ。
チケット売り場にも誰も並んでいない。最近はみんな前売りをコンビニで購入する人も多いだろう。

スムーズに入館、地下三階には、ほぼ無人。解説は後でゆっくり読むとして観たい作品を先に探しに行く。
ジュルジュ・ブラックの作品に以外はほとんど撮影OK。太っ腹。

ベルクグリューンはドイツのユダヤ画商。すでに第二次世界大戦の前にアメリカに亡命していた。
2007年まで存命だったので、その間に沢山の作品を売り買いした。
セザンヌもたくさん持っていたが、ピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティの作品に特化するためにかなり売却したようだ。
私的には良かった。セザンヌ好きじゃないもん。でも手元に残したセザンヌの作品はかなり良かった。
撮影してないわ。

この人の審美眼は凄い。どの作品も魅力的だった。
今までお目にかかったことがないようなピカソだった。ベルリン国立美術館の建物を修復するために閉館しているのでこれだけ一挙に観ることができる。



 
ピカソのキュービズム初期の作品
凄く色がきれいだった。澄んだ色だ。しかも配色が絶妙。当たり前か。



 
この鶏のタッチと色が好き。

今回の目玉作品

観に行ったのはバレンタインデーの日だったんだけど、この日に緑のマニュキアをしていくとポストカードがもらえたみたい。
(あとで知った)



今回一番感銘を受けた。クレーの作品群。

少女たちの光景


時間





クレーは色の魔術師と言われたいたけれど、このオレンジ色の作品は絵本の挿絵みたいで語りかけてくるような作品だった。

ピカソもクレーも総じて色彩が際立っていたと私は思う。

かなりのまとまった作品を一通り見終わって、最初に戻って解説を読み、気に入った作品をまたじっくり観る。
美術館を出る頃にはかなりの人出になっていた。

あまりにお腹が空いたので早めにレストランに行くことにした。
この日のランチは中之島ダイビルの「ノガラッツァ」フレンチイタリアン


近郊のお野菜をふんだんに使ってあっさりした味付けで美味しかった。
メイン以外は魚中心だったのでバランスも良かった。
特に前菜のイワシのコンフィと大根のミルフィーユが美味しかった。
今度家でイワシのコンフィ低温調理を試みてみることにしよう。
カプチーノまで堪能してワインを2杯飲み、梅田まで歩いた。

途中のシモジマで買い物をし、失くした手袋と同じ物がセールになってないかと覗いた阪神でほぼ同じようなランバンの手袋を見つけて予想よりかなり高かったが「えいっ」と買った。これも出会い。


2月はおもてなし月間

2023-02-13 06:43:37 | 日々のあれこれ
フルタイムを退いてほぼ1年経とうとしている。
昨年の4月より入ってくるお金は格段と減った。
1月からの年間収支は昨年は大幅赤字だった。
エクセルで作った家計簿と預金残高をシビアに見比べて1月に振り返った。
食費は8割に、被服費は2.5割に減らすことができた。厳しい中で光熱費も使ってる量は8割5分になったのにも関わらず払ったお金は少し増えた。
一番大きな支出減は被服費だった。
よく一度膨らんだ家計は押さえられないと言うが被服費に対してはそうでもなかった。
それと教養費も半分近くに減った。本を買わなくなったからだ。
それでも大幅赤字だったのは天引きだった私の社会保険料を実費で払わなければならなくなったためと娯楽費だった。
時間があるから行きたいところに行けるようになった分だけ増えた。
当たり前か。

旦那が「あとどれだけ行けるか解らないからいいやん。」と言う。
私もそう思う。

ということで退職2年目にはよりメリハリをつけて一円たりとも納得いかない出費はしないと誓った。
結構私はスーパーに行っても目的の物一つだけ買って店を出るのは平気だし、コンビニには全く行かなくなった。行く必要が無くなったからだ。100均も必要な物を買うだけでそれも一度現物を見てから考えることが多い。
よく言われる食材を余らして捨てるということも全くない。

というわけで今年はどんなふうになるか家計は楽しみだ。
旅行は我慢するつもりがないので今年の目標は食器や雑貨を買わないということ。
それでもお椀が古くなって痛んで処分したので予算を決めて漆椀は買うつもり。

そういうわけで1月は蟹を食べに行ったし、3月はずっと行きたかった直島に行く予定。5月には姫路の平成中村座の公演も楽しみ。
2月は例年旅行も入れないし、本来一番忙しい月だから美術館には行くつもりだけれど基本、緊縮財政月間である。

そういう時はコロナ禍も収まってきたのでランチ会を二回ほど入れる。
所謂、おもてなし月間としようと思った。緊縮財政なのに?と思うかもしれないがお客様には果物とデザートは必ず頼む。時にはビール持って来てと言う場合もある。そんな感じだからその日だけ少し贅沢な食材を買うくらい。外食一回分くらいで済む。

やっとアクリル板も外せて、心おきなく会食ができそうだ。
つい先日催したランチ会例会は前日おでんを煮込んで、当日、お好み焼きをした。

また、写真を撮り忘れたのでこれは日々の食事のお好み焼きだけれど、、、。
当日のメニュー


存外、喜ばれた。

それぞれのお家のお節の作り方だの、結婚して関東風になっただの、薄口醤油はないとか。
お家によって家庭の味は色々だなと思った。






ごんたくれ 西條奈加 ~京の日本画壇、応挙から蘆雪、呉春、蕭白~

2023-02-12 08:26:06 | ブックリスト
香住の大乗寺に行って長沢蘆雪の猿の絵にいたく感心したので蘆雪をモデルにした小説を読んでみたいと思った。

ネットで調べてみると蘆雪自身が波乱万丈の人生で完全にADHD気質。
46歳で大阪で毒殺されたとも、自殺したとも言われている。

ありました。うってつけの本が。
西條奈加さんの「ごんたくれ」
しかもその時代の応挙一門と曽我蕭白をモデルとした人物も登場。

蘆雪をモデルとした画家と蕭白をモデルとして画家の人生の物語だ。
当然、大乗寺の襖絵を描いた頃が中心となる。わくわく。

図書館で検索するとすぐに文庫版を借りることができた。便利。



三分の一くらい読んで返却期日が迫っている本があったのでそれを挟んで一息に読んだ。
江戸時代の安永から天明にかけて18世紀の後半の京都日本画壇が舞台だ。
日本美術史で学んだ、円山派とは円山応挙のことであり、四条派とはのちに呉春が中心になって起こったということも解る。
なるほどーと思った。この時代、江戸より京都が日本絵画の中心なんだ。

西條さんの本は人物描写が深く、引き込まれた。
文庫版のあとがきに細谷正充さんがお書きになっている通りにそれぞれの作品描写がまた上手く、的確な言葉で表現されているので
私が観たことない作品は「どんな作品なんだろう。」と興味が湧く。

蘆雪を吉村胡雪、蕭白を深山曾白として架空の人物に仕立てているが、史実に残っているこのモデルとなった実在の人物のエピソードが「ほんまかいな。」というぐらいに突飛だったから面白い。この二人が同時期に活躍したので接点があったという証拠はないが、ありえたような話になっている。

与謝蕪村の弟子、呉春もしかり。
応挙の懐の深い人物像もしかり。

思えばその人となりは作品に十分表出している。

作中に出てくる蕭白が津の久居藩の藩主に依頼されて描いた、金箔屏風に一筆の「黒虹」の作品が観たい。
残念ながら今は所在不明となっている。空極のアヴァンギャルド、アブストラクトペインティングだ。
家老の顔に墨まで塗って仕上げたそうだ。

蘆雪の和歌山串本、無量寺にある龍、虎図

どっかで観てるんだろうな。

大乗寺の「松に孔雀図」が一旦完成していたのに京都の天明の大火で焼けたことも作中に語られている。
大変だったんだなと思う。その頃は天明の飢饉も起こっていたし、、、。
ただ、大阪や京都より江戸に大火が断然多かったというのもこの大火が原因になって西陣が衰退していったことも知った。なるほど。


蘆雪が突き抜けた後に描いた「白象黒牛図屏風」

 
 
これはエツコ&ジョープライスコレクション

1968年に辻惟雄さんが「美術手帖」に書いた「奇想の系譜」の中に蕭白が取り上げられて明治以降忘れられていた蕭白が一躍脚光を浴びる。

私も今まで蕭白の絵を観たのは覚えているが、蘆雪の絵を意識して観たことがなかったではないかと思った。
応挙や蕭白に紛れて観てきたような気がする。

作中では、蘆雪晩年の作品の落款の右端の枠が切れていることの理由も語られている。
もちろんフィクションですが。

練れた京ことばや大阪弁が出てきて耳に心地よくと思われるくらいに登場人物のしゃべる声が聞こえるような作品でした。