■ 子供の頃からの自動車好きがEV普及にまっしぐら 8307
「車が大好きで、富士スピードウェイも走っていた。1995年にEV(電気自動車)を知り、なんと素晴らしい技術だとゾクゾクしたことを今でも覚えている」。
こう振り返るのは、EVのリース、レンタル、コンサルティングをはじめ各種EV関連事業をサービスメニューに掲げるLTE(横浜市)の堤健一社長。
堤社長は今から20数年前にEVと出会い、それが転機となって、自称“ハチャメチャな人生”を選択することになる。
同社は2016年3月、堤社長が立ち上げた。大手情報システム会社で3次元CADの開発などに携わっていた堤氏は、EVとの遭遇を天命と捉え、1999年、EV×観光開発を事業目的に脱サラ・起業する。
「3年で資金を使い切ってお手上げ」(堤社長)となった時、縁あって、慶應義塾大学EV研究室の研究員の職を得る。
続いて、大手自動車メーカーでEV開発などに10年以上取り組んだ後、「心技体ともガタが来ていない今のうちに…」との思いを、一緒にEVを広めようとの仲間の声が後押しして、再度起業に挑戦し、今日に至る。
子供の頃からの自動車好きの堤社長は、アマチュアレースに出場し、イタリア車を乗り継いだりもした。
しかし、「排ガス出し放題で良いはずないよなぁ」と、後ろめたさを少なからず感じていた。
そんな中EVを知り、「これだ!」と直感。以後、EVと二人三脚の人生を歩み、その一里塚となるLTEを設立した。
堤社長は「市販の4輪EVのリース、レンタルは大手に及ぶべくもなく数台程度のレベル。
コンサルは少しずつ増え始めていて、とくに電動車両によるレースが大きく浮上している」と、船出間もない同社の手ごたえを語る。
浮上したレースとは、年内にも始まる見込みの、世界各地を転戦するEVレース・シリーズのことで、堤社長は日本企業の協賛を得て日本人ドライバーが活躍する舞台を整えようとしている。
レースのほか「宅配用電動アシスト自転車に力を入れていて、この分野は期待度が高い」(堤社長)。
さらに、電動リバーストライク(前2輪・後1輪の3輪バイク)や電動バギーも企画しているという。
20年以上、EVと向き合ってきた堤社長は、その知見を生かしEV関連の講演会などでも活躍中。
講演では「ドイツのディーゼル車不正ソフト事件を機に世界のEVシフトが進んだ」「内燃機関にも未来があり、“隠れた本命”は天然ガス車だ」などと持論を開陳している。
社名のLTEは、通信規格のLTEをもじったもの。
時代は3G(我慢、犠牲、限界)からLove、Thank、EnjoyのLTEへ…。愛と感謝の気持ちを忘れずに、楽しみながらEV普及にまっしぐら、と意気軒昂な堤社長およびLTEである。