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【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】4ー08 実事求是 ウラを取る ~ 事実にも基づいて追求する ~

2024-12-14 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

  【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】4ー08 実事求是    ウラを取る ~ 事実にも基づいて追求する ~       


 
  四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
 経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
 四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
 以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。

第4章 判断力を養いベターな意思決定
 ビジネスだけではなく、日常生活におきましても、私たちから「判断」をするという作業を切り話すことはできません。同じ状況においても、人により判断結果は異なります。例え論理思考で現状や状況分析をキチンとできても、また例え思考力の高い人でも、判断の仕方次第でものごとがうまくいくこともあれば、うまくいかなかったり、さらには悪循環に陥ってしまったりすることもあります。
 四字熟語の中には、私たちが判断に迷わないように、また迷ったときのヒントを与えてくれたりもします。迷ったときに、答を教えてくれるわけではありませんが、解決の糸口が見つかりやすくなったり、解決の時間を短縮してくれたり、よりよい解決策を見出したり、現状が悪化するのを防いでくれたりと、ヒントを与えてくださる時にはそれにより助けられることもあるでしょう。
 4ー08 実事求是    ウラを取る
      ~ 事実にも基づいて追求する ~



 中国清朝時代に盛んになった考証学では、「ことを実にして、是を求む」という学風で臨むことを基本としていました。すなわち、「実事求是(じつじきゅうぜ)」はあらゆることにおいて、根拠を追求し、それを明示して、論証するという学問追求の姿勢です。
 企業経営において、問題が発生しますと、その原因追及をして、再発防止に努めるという姿勢でいることは重要なことです。これがないと企業は悪い方向に向かうことが必定と言えます。
 ある経営者の話です。自分は社員の声に平素から耳を傾けていると信じて経営をしていました。ところが私ども経営コンサルタントが社員にヒアリングをすると「社長は、我々の思いとは違う、自分の考えだけで経営をしている」という答えが返ってきました。
 確かに、その社長は、なにかがあると社員を呼んでは意見を求めています。相手が社長では、お座なりにはできませんので、社員もそれに対して「一所懸命」に答えます。ところがその時に「いや、君の考えは間違えている」ということを社長が言い、その論拠を得々と説明して、結局自分の考えを社員に押しつける会話で終わっていました。
 社員は、「うちの社長は、俺たちの意見を聞こうとするけど、それはジェスチャーだけで、結局自分の考えを押しつけてくる。結果として、俺たちの意向は全然入れられない」と次第に諦めてしまっていたのです。
 経営者自身は、社員に意見を求めた結果を基に経営判断していると思い込んでいるだけに始末が悪いです。手前味噌になって恐縮ですが、われわれ経営コンサルタントなどが、第三者的な立場で、ビシッと言わない限り、その姿勢は変わらない人が大半でしょう。
 また、ある経営者は、社員の意見を求めはしますが、自分の都合の良い意見だけを採り上げることの繰り返しです。この経営者は、一人、あるいは一方の集団の言葉を聞くだけで、それが全て、それが事実、という偏った認識をしてしまいます。その結果でもって、経営判断をしてしまうので、正しい判断ができないだけではなく、社内に不満も残ってしまいます。
 私は、若手の経営コンサルタントの育成ということに永年携わってきましたが、口癖のようにいう言葉の一つに、刑事が活躍するサスペンス物の見すぎかもしれませんが「ウラを取れ」ということがあります。「一部分を見ただけで全体を推し量るな、闇夜にカラスで見えない部分が必ずあると思え」と言うようにしています。盲目の方には大変失礼ながら「群盲象を撫でる」という言葉がありますように、一部を触っただけでは、木の幹のようであったり、壁のようであったりします。「
 ウラの取り方として、現場百遍(げんばひゃっぺん)」という言葉もありますので、事実をいろいろな角度で観て、検討することが必要です。一人の人の話を聞くだけではなく、複数の人の証言を聞くことも大切です。一方の意見を聴くだけではなく、必ず他方の言い分にも必ず耳を傾けるようにします。それだけでも不充分で「物証」が必要なことがあります。例えば統計数値ですとか、マスコミ報道ですとか、公的な性格の強い、第三者が提供する情報や意見です。それでも判断を誤ることがあります。
 なぜなら、人というのは「外柔内剛(がいじゅうないごう)」だからです。「内剛外柔(ないごうがいじゅう)」とも言い、その反語的表現として「内柔外剛(ないじゅうがいご)」という四字熟語もあります。外柔内剛というのは、外見から見ますと、その言動が物腰柔らかに見える人がいても、「やわな人」と判断せずに、その内面がしっかりしていて、「意志強固(いしきょうこ)」かもしれません。外見だけで判断しますと、火傷を負うかもしれないのです。
 昨今は、インターネットを利用するといろいろな情報を容易に入手できます。それを見つけますと、答がわかったような「つもり」になってしまいます。それどころか、調べただけで、自分の知識となったような気になってしまいがちです。検索サイトで、一つのキーワードで検索しますと多数の項目が列挙されます。中には、相反していたり、真の目的とは異なっていたりすることが記述されていることさえあります。容易さに慣れてしまって、そこに記述されていることが正しいのかどうかのウラを取ることに意識が行きません。
 企業の経営者・管理職は、双方向コミュニケーションが基本です。傾聴と言うことがよく言われるようなりましたが、まっさらな気持ちで相手との話に臨むことが必要です。色眼鏡をかけて相手の話を聴くだけでは、相手の言いたいことを素直に聞き取れないでしょう。
 特に意見対立があるような場合には、一方の言い分だけを聞いただけでは、MECE(ミーシー)な情報収集とはいえません。MECEというのはロジカル・シンキングの基本である「漏れや重複がない」状態を言います。
 事実求是の基本はMECEにもありそうです。因みにMECEというのは、下記の英語の頭文字をとったものです。
  M mutually 相互に、相互間において
  E exclusive 排他的な、独占的な
  C collectively 集合的な、集まった
  E exhaustive 徹底的な、全てをはき出した
「Mutually exclusive」は「相互的に排他的」ということから「重複しない」という意味になります。「Collectively exhaustive」は「徹底的に集合している」ということから「漏れがない」という意味です。
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