■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 瀬戸内の空から離島の生活に革命を 9b20
経営コンサルタントを40年余やってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。
【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。
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■ 瀬戸内の空から離島の生活に革命を 9b20
人生の楽しみとして「趣味」を持つ人は多い。ゴルフやテニス、ジョギング、水泳といったスポーツから、登山、キャンプ、釣りなどのアウトドア、刀剣や掛け軸、絵画、切手、模型、玩具などのコレクション、さらには将棋、囲碁、書道、料理、日曜大工、園芸、カメラ、観劇、楽器演奏、英会話、ギャンブルに至るまで幅広い。ゲーム、アニメ、アイドルなどアキバ系や、ブロガー、インスタグラマー、ユーチューバーなどネット系も人気だ。
もう一つ、各地の城や寺社、温泉、美術館、鉄道などを巡ったり、ご当地麺を食べ歩いたりする旅行・巡り系がある。ドローンによる無人物流網の構築を目指す「かもめや」(高松市)の小野正人社長は、この旅行系の中でも“オタク度”の高い「離島マニア」である。もともと通信インフラ系エンジニアとして働きながら、休みの度に離島に出かけていた。
起業したきっかけは、瀬戸内海の複数の島に現代アート作品を展示する「瀬戸内国際芸術祭」の第1回(2010年)にボランティアとして参加したことだ。その後、「島に関わりたい」と芸術祭のボランティア事務局勤務を経て、フリーのエンジニアとなり、2013年に芸術祭の舞台の一つだった男木島(おぎじま)に移住した。そこで実際に住んでみて、これまで意識しなかった離島の課題に直面した。
瀬戸内海には大小727もの島々が点在し、このうち人が住む島は138。ただ49島は人口100人未満で、学校や診療所はもちろん商店が1軒もない島も多い。日用品や医薬品の買い出しは、島と本土を結ぶ定期船が担うが、採算面で減少傾向が続く。「そもそも定期船のない島では自家用船や海上タクシーを使わなければ、新聞や郵便も満足に受け取れない。日本郵便の委託を受け、自治会のおばあちゃん2人が交代で島外の郵便局へ島の全員分の郵便物を取りに行っている島もある」と小野社長は明かす。
2014年にドローンを使った米アマゾンの輸送実験をニュースで知り、離島と本土をドローンで結ぶ無人物流プロジェクトに着手した。2015年に8キロ離れた離島への日本初のドローン輸送実験に成功したのを皮切りに、無人輸送艇「ドンブラコ」や無人輸送台車「オンバ」を試作し実証。多数のドローンを安全・効率的に運行管理する統合管理システム「カザミドリ」も開発した。
2018年にはスロベニアのメーカーと共同開発した垂直離着陸型ドローンが完成。2019年3月には長崎県五島市から委託したドローン離島間無人物流の実証実験に成功した。「瀬戸内の空から離島の生活に革命を」をテーマに、元・離島マニアは2020年の実用化に向けて奔走している。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成