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肥満は遺伝子でどれだけ決まるのか

2023-06-26 10:37:32 | 健康・医療
私は肥満がかなりの病気の原因となると考えていますが、肥満の60%程度は遺伝子によるものという説があります。

古くは双生児の研究で、肥満型の家庭に養子に出てもやせ型の家でも同じような体形になるという結果が出ています。つまり肥満には環境要因よりも遺伝的要因が大きいという研究です。

また肥満になりやすい遺伝的要素があることは、1949年に偶然発見されています。米ジャクソン研究所の研究者が、飼育している実験用マウスのうち特定の系統のものだけが異常に太りやすいことに気づきました。

それから45年後の1994年、「肥満遺伝子」という一つの遺伝子の変異がマウスを過食にして太らせていることが分かりました。さらにその後の研究により、肥満遺伝子がレプチンというホルモンを作らせていることが明らかになりました。

現在では脂肪細胞がレプチンを分泌し、血流に乗ったレプチンが脳に到達して受容体に結合すると、満腹感が生じ脂肪の燃焼を促すことが分かっています。そのためレプチンが不足しているマウスは満腹にならずのエサを食べ続け太ってしまいます。

このマウスのように1つの遺伝子の変異によって引き起こされる肥満症は、全体の病的な肥満の7%未満と推定されています。重症の肥満児のうち、肥満の原因となることが知られている単一遺伝子に異常があるのは約6%にすぎません。

より一般的なのは、機能にわずかな影響を及ぼす遺伝子変異であり、人口の1%以上にみられる「遺伝子多型」による肥満です。

肥満の遺伝的な原因を探るために、科学者は多くの人からDNAを抽出し、肥満症の人とそうでない人のDNAの全体を「ゲノムワイド関連解析」という手法によって比較し、DNAの変化が肥満とどの程度関連しているかを見積もっています。

たとえばフランスのナント大学は、肥満症の患者2900人と正常な体重の人5100人のゲノムの塩基配列を比較しています。その結果「FTO」という遺伝子に特定の変異を持つ人は肥満になるリスクが22%高いことが分かりました。

ヨーロッパの成人男性の6人に1人が持っているFTOの変異は、肥満になるリスクを70%も増加させることがこれまでの研究で示されています。この変異を持つ人は、血液中のグレリンというホルモンの濃度が高いことが分かっています。

この濃度が高い人は、食事をしてもすぐに空腹を感じます。こういった肥満に関連する遺伝子変異はすべてが悪者というわけではなく、肥満を防ぐことができる稀な変異も見つかっています。

このように肥満はかなりの部分が遺伝子変異によって決まってしまうようで、ある意味気の毒な状況といえるのかもしれません。



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