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腸内細菌と脳の認知障害との関連

2021-09-17 10:27:17 | 健康・医療
最近「脳腸相関」ということをよく見かけるようになり、この研究も活発に行われているようです。

このブログでも老齢のマウスに若いマウスの腸内細菌を移植し、脳の機能が改善されたという研究を紹介しました。

腸は第二の脳などと言われており、脳の機能だけではなく免疫など多くの機能に関与しているのは確かなようです。この脳腸相関は腸が働いているというよりは、腸内細菌叢が重要な役割を果たしていることが明らかになっています。

メンタルや認知にも影響する様で、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患を含めた認知障害に果たす役割の研究も盛んになっています。

腸内細菌の大半はバクテリア(細菌)で、これが神経系との指令伝達に直接的または間接的に関わっています。微生物と脳を双方向でつなぐのは「脳腸軸」と呼ばれる部位で、ここを通して神経や化学作用で脳に影響与えています。

例えば神経伝達物質や脳の分子メッセンジャーといった脳が使う化学物質も腸内細菌が合成しているという説もあります。最近になるまで、脳腸相関研究は患者と健常者の細菌叢を比べる程度の研究しかなく、細菌叢を分解して調べる研究がやっと始まったようです。

まず腸内細菌叢とパーキンソン病との関連についてです。パーキンソン病は特有の運動障害が出る何年も前に、便秘などの胃腸不良が起こることが知られています。

そこで腸内細菌遺伝子を検査して明らかになったことは、パーキンソン病の人とそれ以外の人とでは細菌叢が異なり、この違いは食事などほかの影響に左右されることはないことが分かりました。簡単な実験としては、腸内菌の無い無菌マウスには運動機能障害が起こらないことが確認されています。

またパーキンソン病の患者の脳内にはシヌクレインというタンパク質が蓄積されることが分かっていますが、マウスやラットの実験では腸内細菌の大腸菌がこのシヌクレインとよく似たタンパク質を作ることが示されています。

その他アルツハイマー病の原因タンパク質であるアミロイドも腸内細菌が何らかの役割を担っていることが示唆されています。実際アルツハイマー病の患者25名と健常者25名の腸内細菌叢を調べたところ、患者の方が細菌の種類が少なく、菌によっては数も異なることが分かりました。

ここではパーキンソン病などの神経性疾患の原因としての腸内細菌叢を述べてきましたが、脳腸相関は悪い事だけではなく脳細胞の活性化や認知機能の改善といった良い方向にも関与しているようです。

実際の腸内細菌叢を分解し、微生物の中身を調べるといった研究が待たれるところです。


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