内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

会読によって「共同戦線」を張り、難問にチャレンジせよ(上)

2020-12-04 23:59:59 | 講義の余白から

 今日が私にとって学部前期最後の授業だった。二週間の試験準備期間後、学生たちは学期末遠隔試験を受ける。試験問題は、月曜日の授業と同じく、超重量級の難問である。そのために事前に読んでおかなくてはならない日本語のテキストを今日与えた。このテキストがよく理解できなければ、そもそもまともに問題に答えることができないが、テキストがよく理解できただけも合格点は取れない。なぜなら、テキストに関して私が与える問題は、それに答えるのに適切な具体例を挙げることを求めており、それは彼ら自身が自分で探さなくてはならないからである。その探索のための総計二千頁を超える膨大な参考資料(これはさすがにフランス語です)も今日PDF版で与えた。しかし、これは一つの手がかり過ぎず、彼ら自身が他の資料を参照したいのなら、それでも構わない。
 試験勉強は一人でやらなくてもよい。いや、むしろ、自主的かつ積極的にグループ学習を組織してほしい。「自分たちで「会読」してごらん。これ、授業で習ったことの実践だよ」とそれを唆すメッセージも送った。遠隔授業になってから、みなバラバラだ。なかなか会えない。孤立感に苦しんでいる学生もいるだろう。だから、ZOOMその他のアプリを使って、遠隔合同勉強会を頻繁に組織し、超重量級の試験問題に対して、「共同戦線」を張って「反撃」してほしい。
 幸い、今年の三年生は仲が良い。ある学生が小論文に「私たちのクラスは、大きな家族のようにお互い助け合っています」と書いてきたことがあったくらいだ。その仲の良さを最大限に生かして、この困難な状況の中、勉強を続けてほしい。
 試験で合格点を取ることはもちろん大事だ。だが、勘違いしないでほしい。それは目的ではない。試験は、勉強を継続するための一つの通過点あるいは手段に過ぎない。