内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

研究発表の際の質疑応答の練習としての「シャドーボクシング」

2021-11-22 23:59:59 | 雑感

 シャドーボクシングとは、『デジタル大辞泉』によると、「ボクシングの練習法で、相手がいるものと想定して攻撃や防御をひとりで練習すること」である。スポーツとしてのボクシングには縁がないが、研究発表を準備する段階で私が行っている練習は、「頭脳で行うシャドーボクシング」と呼べるかもしれないとふと思った。
 発表そのものは与えられた時間内に一方的に行うものだが、その後の質疑応答は、場合によっては、攻撃と防御とからなる「格闘技」の様相を呈することがある。だから、そのときに備えてひとりで行う練習はどこかシャドーボクシングに似ていると思うのである。
 相手の出方に対してどう答えるか、考えられるかぎりのケースを想定して、攻撃あるいは防御の仕方を考える。これが結構楽しい。質問という名の攻撃(別に質問者がアグレッシブだというわけではありませんよ)に対して、どう受けて立つかを考えていると、思いもよらずいいアイデアが浮かんでくることがあり、「そうか、こういう展開もありうるのか」と気づかされ、そこから思考が想定外の方向に発展していくこともある。実際の「試合」において、そのような発展練習の成果として、より柔軟な対応が瞬時にできるようになる。
 ただ、調子乗って一方向にのめりこんでしまうと、ガードが下がってしまったり、パンチの精度が落ちたりして、隙ができる。だから、特に防御の基本練習は繰り返し行う。
 とはいえ、それで万全というわけではない。実際には、意想外の「パンチ」を見舞われて劣勢に立たされることもあるし、最悪、「ノックアウト」ということもありうる。それはそれ、現実は厳しいものである。