内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

オンリー・サイテーション・モード(3)『イザベラ・バードの日本紀行』より

2024-03-23 06:56:57 | 読游摘録

I am very fond of Japanese children. I have never yet heard a baby cry, and I have never seen a child troublesome or disobedient. Filial piety is the leading virtue in Japan, and unquestioning obedience is the habit of centuries. The arts and threats by which English mothers cajole or frighten children into unwilling obedience appear unknown. I admire the way in which children are taught to be independent in their amusements. Part of the home education is the learning of the rules of the different games, which are absolute, and when there is a doubt, instead of a quarrelsome suspension of the game, the fiat of a senior child decides the matter. They play by themselves, and don't bother adults at every turn. I usually carry sweeties with me, and give them to the children, but not one has ever received them without first obtaining permission from the father or mother. When that is gained, they smile and bow profoundly, and hand the sweeties to those present before eating any themselves.

Isabella Bird, Unbeaten Tracks in Japan, 1880.

わたしは日本の子供たちが大好きです。赤ちゃんの泣き声はまだ一度も耳にしたことがありませんし、うるさい子供や聞き分けのない子供はひとりも見たことがありません。子供の孝行心は日本の美徳の筆頭で、無条件服従は何世紀もつづいてきた習慣なのです。英国の母親たちのやる、脅したりおだてたりして子供たちにいやいや言うことを聞かせる方法は、ここにはないようです。わたしは子供たちが遊びのなかで自立するよう仕込まれるやり方に感心しています。家庭教育の一部にさまざまなゲームのルールを覚えるというのがあり、このルールは絶対で、疑問が起きた場合は、口論でゲームを中断するのではなく、年長の子供が命令をしてことを決着させます。子供たちは子供たちだけで遊び、なにかあるたびにおとなの手をわずらわせるというようなことはありません。わたしはふだんお菓子を持参し、子供たちにやりますが、ひとりとして先に父親または母親から許しを得ずに受け取る子どもはいません。許しを得ると、子供たちはにっこり笑って深々とお辞儀をし、その場にいた仲間に手渡してからようやく自分の口に運びます。

イザベラ・バード『イザベラ・バードの日本紀行』(講談社学術文庫、2008年)


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