こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

2011年9月18日 日曜日 永遠なるラジオ放送「UVB-76」について

2011-09-18 09:01:41 | 音楽帳
「UVBー76」の存在を知ったのは、MZ師に教えてもらってからだった。

自分は、80年代以降、教授経由で教わったスロッビン・グリッスル、フライング・リザーツ、DNA、ザ・ノーマル、初期のDAFに始まり、ワイヤーとは別に行動したカポル〜ドーム(ルイス&ギルバート)、コリン・ニューマン、キャバレー・ボルテール、アインシュツルツェンデ・ノイバウテン、マウリツィオ・ビアンキ、カール・ストーン、デヴィッド・トゥープ・・・等々とノイジーや生身な音楽を聴いてきた。


どうも、世間で披露されるポップ・カルチャーへの欺瞞や抵抗が自分の中で膨らむと、こういったアンダーグラウンドな音に聴くものが傾いたり・・・この振れ幅がとてつもなく広くなってしまい、当時は両方に自分が引き裂かれていたが、そこからはるか彼方となった今では違和感なく、両方が自分の中で共存している。

MZ師から教えてもらったという「UVBー76」は、そういう自分の音楽的嗜好での捉え方と同時に、世界の闇が垣間見れて、ぞくぞくした。

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「UVBー76」って何?
カンタンに言うと、ロシアからずーっと昔から短波で今も流れ続けている繰り返し音のことである。

要約するため、以下ウィキペディアから引用する。

「UVB-76とは、通常周波数4625kHzで放送を行っている短波ラジオ放送局のコールサインである。
その放送内容から『ザ・ブザー(The Buzzer)』という名称でも知られている。

この放送局は、1日のうち23時間10分(グリニッジ標準時7:00~7:50の間は、送信機の保守点検を行なっている)の間、1分間に約25回のペースで短く単調なブザー音(サンプル音)を繰り返し流し続けている。
また、現在まで5回のみであるが、ブザー音の合間にロシア語による音声メッセージが放送されたことがある。

この放送局の目的は公には明らかにされていないものの、その意味については様々な見解が唱えられている。」

もっと詳細はウィキペディアに掲載されているが「UVBー76」は延々と同じような音を繰り返しながらも、この数十年の中の一瞬、途中で何度かロシア語のメッセージが登場している。

■「UVBー76」の一部


世界にはスパイというものが存在する。
誰が誰に送る暗号かはわからないが、こういった短波を通じて暗号を伝える方法というのは、この21世紀の2011年になってまで存在する。


よく幼い頃、その頃も「眠れぬ不眠少年」だったが、ラジオ好き少年は、いつも寝床でラジオを聴いていたが、日曜日の夜は24:00になるとほとんどのラジオがお休みに入った。

そこでチューニングをしつつホワイトノイズの中をさまよっていると、朝鮮や中国の放送だの、あるいは単なる信号音にぶつかり、その不思議な音の世界に興味深く漂っていた。


ラジオ博士ということでは、ホルガー・シューカイがラジオマニアで、よくこういった短波放送を録音して、それを自分の音楽に使った。
有名な「ペルシアン・ラヴ」に用いられたコーラン、その制作前後にはイーノはデヴィッド・ヴァーンと「マイ・ライフ・イン・ザ・ブッシュ・オブ・ゴースツ」で同様の試みをしているが。

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実は「UVBー76」を知って以降、様々な国の様々なスパイ通信らしきものに凝ってしまい、またそういった音を集めたCDも存在することを知り、たくさん聴いた。

逆に今、ちまたに溢れている音楽のほとんどが、自分にはゴミに見える。

本当は、相当なお金を掛けて、色んな楽器を使い、歌詞だとか作曲だとかを人は行なっているが、そういう「人の意志」や「段取り」や「概念」が入ったものがいかにつまらないものが多いか。。。「そんなつまらない音は聴きたくない」と出会ったのが、80年代以降のニューウェイヴの広がりだった。

かつて、砂原良徳さんが、細野さんの「デイジー・ワールド」にゲストで出た際の対談でも語っていたが、「モンド」という分野もそうだが、創り手側がいくら意志を込めようと、聴き手側には別に伝わる。

音楽はいわゆる論理で構成されてはいない。
そういったものから開放されていることが、音楽が音楽たる醍醐味。

様々な誤解とやりとりが音楽上でも交錯し衝突するのは当たり前だが「もっと音そのものを楽しめば良いのになあ。でも、だんだんとそういう音の楽しみ方がわかる時代になってきたね。。」と2人は語っていたのが記憶に残っている。

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元来、パンク〜ニューウェイヴが価値あるものだった部分とは、そういう「音」そのものへの目覚めとまなざしだった。
譜面が読めなくとも・主要楽器と「言われている」ものがなくても・扱い方やテクニックがなくとも・構成が無くても・・・・何かが出来る。
そういったところでの音楽の輝きがあった。

ブライアン・イーノと言う人は、その点では知的でありつつ、そういう概念の外で音そのものの不思議さと楽しみを発見し、それを塊としてとらまえられる天才だった。



【イーノの「ビフォア&アフター・サイエンス」の中でもとりわけ好きな「Energy Fools The Magician」】

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社会に接していると嫌でも、まさに世間とちまたに溢れるゴミ音楽と接してしまう場面がある。
そういうときは、いっつも家に帰って、良い音楽を聴いて解毒しよう。。。と思う。

この「UVBー76」並びに短波を通じた暗号等の放送の持つ音のエネルギーと面白さは、お金を掛けて創られた経済流通音楽のつまらなさと反比例している。
しかも、当人たちは「音楽」という意図・意志で流している訳では無いところに、自分などは安堵する。

よく「能書きやMCは要らないから、良い音を聴かせてちょうだい」と言いたくなる場面があるが。。。
お金を掛けなくても良いアートを、という部分では、イーノ、DNA、DAF、ルイス&ギルバートなどに影響を受けた大竹伸朗さんの志向も同様だろう。
コメント
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