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【台風一過の朝のベンチ。雨でしなった新聞が放置されている。】
自らがヒール役と認識しつつ仕事をしているが、非常に難しい役割だと思っている。
プロレスならば、その「芝居」の演出に一役買うが、現場が仕事となると、それは邪魔者と表裏一体。
こちらが、あくまで妙な道に歩むことを回避すべく軌道修正を促したとしても「うるせえよ」と言われたら、意図は機能しない。
しかし、だからと言って「あついら馬鹿だなあ」という道に船が行ってしまうのを・失笑を買う様を許す訳にはいかない。
***
水曜日上陸し、全土に影響した今回の巨大台風は、規模は大幅に違えど震災と同じ天変地異では同様。
にも関わらず電車に乗ると、車掌さんは「すみません。この電車は〇分遅れてしまっています。お急ぎのところすみません。」
なぜ、まず謝ってしまうのか。
日本人は、こういう通常では無い状態でも、自分がまず悪いと言ってしまう。
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一方、雨風が強くなり仕事場もミシミシ言い、まずい事態になっても、根を張って「ここで私は愛する仕事と寝起きして心中します」という意思表示のように机を動かない人々。
自分は、これ以上居ても仕事の相手側も同様の事態の中、仕事は何も進まない。
そう分かってさっさと帰る。
帰る際、千葉の同僚から電話あり。
彼は震災でマンションが被害を受けていて、母子と別れた状況にある。
「もう電車が止まっているので、車で帰ります」と言っていた。
「風で看板やら大木やらが車に倒れてきて浴びたらまずい。
これ以上、踏んだり蹴ったりは避けねばならないから注意してよ・・。」
彼は忍耐強いから、笑って誤魔化していたが。
最後、ネットで気象情報と2ちゃんねるをチェックして、外の世界を判断して外に出た。
2ちゃんねるで、JRの車掌さんが「行けるところまで行きます」と言ったという言葉が掲載されていた。
誰にも行方は分からない中での正しい発言と思え、意志を感じる言葉だと思った。
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今週はたった3日しか働いていないが、それでも疲れは溜まる。
台風は去ったというのに、昨夜は予想外の雨の中、傘が無いので雨を浴びたまま帰る。
頭の中はひたすら沈み行きよどんでいて、デヴィッド・シルヴィアンの「バックウォーターズ」が繰り返しかかる。
家に帰って、何度もこの曲を聴く。
ひたすら死に向かう「孤」の道を独りで歩き、行方の判らぬ道を分け行っていくたくましいデヴィッドの偉大さが胸に響く。
■David Sylvian 「Back Waters」■
【映像は、ヴィデオ「プレパレーション・フォー・ア・ジャーニー」より】
デヴィッド・シルヴィアン 「バックウォーターズ」(邦題:よどみの中に)
ボクはまた よどみの中に身を隠して
あっちこっちと 駆け回り
喜びを生み出そうと 必死になっている
(見えない落とし穴に 気をつけろ)
恩をアダで返そうと 躍起になり
あっちこっちと 駆け回っている
(別の可能性もあるのだから)
あっちこっちと
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