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難民問題の解

2015-09-27 | 時評

難民問題の解は、先進国による人道的受入れと難民送出国への経済支援である━。これが社会科の模範解答であろうが、ここでは、あえて落第解答を示してみよう。

(A)まずは、難民発生の元凶である欧米による中東介入を停止すること。特に現今最大の難民を生じさせているシリア介入をやめ、軍事的優位性と統治能力を保持している現行政権をひとまず認めること。これが最低限のことである。

(B)次に、国連難民保護条約を制定・締結して、締約国の人口や経済情勢などを勘案した受入れ枠を設定、それに従った難民受入れを法的に義務付けること。これは、現行の難民地位条約からさらに進んで、難民の受入れについての基準を定める国際条約である。

(C)究極的には、国家の廃止である。現在地で生存することが難しくなれば、任意の安全な場所に避難するのは、人間としてごく自然な行動である。ところが、その自然な避難行動を国境線の強制力でもって制約しようとするのが、国家という怪物である。よって、そのような桎梏は廃されるのが道理である。

実現可能性の容易さで順位付けされた以上の三つの解答こそ、真の模範解答だと思うのだが、これが現存世界ではなぜ落第点になるのか。

まず、解答(A)は、自国勢力圏を保持したい大国のパワーゲームを前提とした国際関係の通念を否定することにつながるから、落第である。

一見模範的な解答(B)は、難民保護を人道的責務を越えた法的義務に格上げして、締約国に課そうとする点において、国家主権の公理に反するから、落第である。

解答(C)に至っては、国家という崇高な存在を否定する過激なアナーキズムであるから、落第というより、糾弾に値する。

残念ながら、現時点ではこのような採点結果となるだろう。そして、このような採点が覆された暁には、難民問題はもはや特別な「問題」ではなくなるだろう。

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