小生の足となっている自転車。空気が抜けると実に乗り心地が悪い。タイヤのフレーム部分の一部が路面に当たる様なごつごつした感触があるとスピードも出なくなる。
空気入れで空気を入れてもすぐ抜ける。「パンク?」と思って近所の馴染みの自転車屋へ出かけた。
チューブを外して水桶に浸す。コンプレッサーでチューブに空気を入れる。チューブを廻しながら水桶にくぐしてゆく。「パンクでは無い」という診断だった。口ゴムが悪いようで取り替えてくれた。無料の様である。作業に20分くらいはかかっている。
作業を終えた後、昔話が始った。まあどうぞと椅子に座ることを勧められる。
この地で生まれ、この地で育ち、自転車屋で60年。近所つきあいも長い。
商売を通じた馴染み客の情報。昔のこの辺の様子。昔の道具。いろいろ見せてくれた。
小生の両親の事、小生の叔父であった筈の若かりし頃の印象。(60年前に他界している)、55年前まであった交番の話。いろいろ話していただけた。
謝礼を受け取ろうとしないので、お礼に小生宅にある昔の写真を持参してお見せした。
その「交番」が写っている写真があったのだ。交番と警察官。新潟祭りの山車を見る為に集まった子どもたちの写真だった。
60年前の近所の写真がたくさん残っていた。鬼籍に入ってしまった多くの若かりし頃の写真がそこにはあった。この自転車屋さんにとっても懐かしい写真が多かったようだ。「セピア色の写真」だった。
これこそが懐かしい。驚いたことにこの自転車屋さんは60年前に他界した小生の叔父と高校が同じで同じ年の在校生だった。
若かりし頃の印象を今の様に語る。写真は契機となる。昔を思い出させてくれる。そんなアルバムを残せていた。
近所つきあい。こんな関係が昔は普通だったのだろう。