60年の持病、変形した手足。骨がつまり小さくなった身体。今横たわっています。安らかな顔です。眠っているようです。でも少し違います。額を触ると冷たいのです。
おばあちゃんは死んでしまいました。つい昨日の事です。私がいつもの様に朝食用のミルクをレンジで温めてあげました。母はそれとレンジで焼いたレーズンパンを皿に取り、バターをつけて食していました。
今日はホームセンターで買い物だ。というと買ってきてほしいものがあると申しました。生憎私用の買い物でなく、余裕が無いと断ってしまったことが悔やまれます。
帰宅後見つけたのは娘が残した置き手紙でした。おばーちゃんが心肺停止状態で救急車で運ばれた。後で電話する。と書かれていました。生憎私は娘の携帯電話の番号を知りませんでした。旅行中の妻と連絡を取ると病院がわかりました。駆けつけると母は検死作業中でした。
突然の心臓停止。行年88歳でした。警察の事情聴取を受け、帰宅できたのはかなり遅くなりました。自宅の居間で横になっている母。今は安らかな顔をしています。
長い闘病を続けたリューマチス。骨がスカスカになって圧迫骨折した腰椎。我慢強い母でした。今は痛みから開放され、身体を支える苦労もなく自由な世界に旅立ったのだと思います。別の世界から見守ってくれていると思います。私たち家族は母の大きな愛をいつも感じています。
国鉄に勤めたことがあるほど旅好きだった母。今は自由に旅を楽しむ身体を得たと思います。
この大空と風となって。残された私たちを見守ってほしい。微笑んでいる母の顔がやさしい。