旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

カイロに現存する最古のモスク イブン・トゥールン

2018-12-28 15:15:15 | エジプト
カオスのような古いカイロの一角にあって、圧倒的な造形美で迫ってくるイブン・トゥールン・モスク


AD870年ごろから建設がスタートし879年に完成したとされる。エジプトに残る最古のモスク。日本では平安初期。

アッバース朝に仕える軍人だったイブン・トゥールンが、バグダッドから独立してカイロを首都にした。
そして、拡張した新市街の丘の上に建設されたのだった。
現代では周囲が街に埋め尽くされているが、なお、一千年以上前の雰囲気を留めている

周囲は二十一の門が開けられていた↓

ひとつめの入り口をはいる。
ワンこは入れてもらえません※ニャンこはOK

内庭との間に高い壁に囲まれた回廊がある↓

まるで要塞のような造り↓

実際に、十二世紀に義父帝を暗殺しようとしたとして追われた皇太子ラジーンがここの塔に逃げ込んだ。
紙をくるっと巻いたようなミナレットがその塔↓

迫る追っ手に震えていたラジーンが塔の上にいたのかしらん

命が助かったラジーンは、感謝を込めてこのモスクを修復した

↓メッカの方向のミヒラブには美しい幾何学模様がほどこされている↓

なくなってしまっているのは?はぎ取られてしまったのだろう

↓一枚が「イスラム美術館」で展示されていたが…↓

これだけでは理解できない。やはりモスクで見なくては↓

最も大事なキブラには黄金のモザイク



塔に上ってみ晴らす景色↓

↑上の写真で見えるドームの部分には観光客は入れない。モスク付属のティケイヤ(修道院)だったのかもしれない。

カイロらしいモスクというと、まずはここではないだろうか。




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カイロのイスラム美術博物館

2018-12-28 10:10:32 | エジプト
カイロはアラブ・イスラムの大都市。古代エジプトだけでなくイスラムの歴史・美術を感じていただきたい。

↑入ってすぐに吊るされている照明
※こちらについて書きました


入場料+カメラ券↓変動相場制に移行してからポンドの価値はどんどん下落。入場料もどんどんあがっております。


時代ごとに区分された部屋がならんでいてわかりやすい↓


**
◎特別展示
スエズ運河開通150周年に合わせた展示がされていた↓

1956年に「スエズ運河国有化宣言」をするナセル↓

この政治的な賭けが成功したからこそ現代のエジプトが存在するのだと言ってよい。
**
8世紀の羊皮紙に書かれたコーラン↓

イスラム美術では文字が大事な要素になっている
↓このランプにはアミール(総督)の名前が書かれている↓

人物表現が禁止のイスラム美術だとおもっていたら、こんな皿が目についた↓

堂々と人物が描かれている。12世紀はじめファーティマ朝時代のものだそうな。

ふと思い出したのは、同時代の小アジア地域を支配していたセルジュク・トルコの表現。
中央トルコのコンヤで見たものも同じようにちょっと稚屈なロマネスク的なものだった。

これらの陶器、ラスター彩と言って独特の金色に似た輝きを放っている。

解説を読んでいてぎょっとした。
この皿には宰相ガブンの切られた腕がのせられた、というのだ。
★ガブンの主君のハーキムは敬虔なイスラム教徒だったが故に極端な性格で、庶民の食べものだったモロヘイヤやワインの栽培を禁止。
女性が外を歩くのを止めるために、女性用の履物をつくることまで禁止させてしまった。
ガブンが異議を申し出ると、腕を切り落とすという処罰を下した。
その腕が、ガブンが集めていたこれらの皿に乗せて差し出されたというのである。
ガブンはさらに舌まで切り落とされ、間もなく死んだとされている。

***
↓この皿はモンゴルの影響が色濃い↓


これら陶器の皿がどれも割れたものを修復してあるのは理由がある。
この博物館の目の前にはエジプト内務省があり、2013年の第二革命の際に爆弾テロが起きた。
↓今も厳重な警戒

爆発の威力はすさまじく、前の博物館内にあったこれらの陶器もみんな割れてしまったというのだ。

****
●噴水までもってきている↓


●金貨にはオスマントルコのスルタンのトゥーラ(=花押のようなもの)が刻まれている↓


女性の結婚衣装のコーナーにあった
●超高いぽっくり↓


着ているものを守る
●魔法のガウン↓

全面に細かく神の名前が書かれている↓

オスマントルコ時代、スレイマンの軍隊でこれを着ていた兵士がたくさん殺されたのでそれ以来効力は信じられなくなったのだそうな。

●医学書↓


●墓石まで↓



イスラムの美術を歴史的に俯瞰して見られる場所というのはあまりない。



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