Remains of The Accidents

アクシデンツなページ

【読了】 明日の記憶 萩原浩

2009年06月25日 | 読書
若年性アルツハイマー病に罹った50歳の男性が主人公
中堅広告代理店の営業部長
病状の進行についてあたかも自ら患ったのであるかの
ように微妙な感情まで描写される

「怖い」

ただ、ひたすら読み進めていくうちに自分を疑いだしそうになる
そう云えば昨日の昼食は何だったろうか・・・・と
(実際には、久しぶりに新宿アカシアのロールキャベツを食べた)

自分が明日からどんどん幼児・乳児に戻っていくなんてことは
安易に想像のつかないことだ
作品に記されているとおりだが、せいぜい10kgほどの赤ん坊が
駄々をこねても奥さんは抱き上げてあやすことができるのだろうが
体重73kg、身長179cmの大男が云うことを聞かなくなったら
それはそれは大変なことになる
そう思えば姫さまや王子の「駄々」も可愛く思えてくる

後半は主人公と社会、主人公と家族の関係が主題として浮かんでくる

会社/仕事/趣味のつながり、いずれをとっても人間関係などモロいものだ
この病気にハッピーエンドはない
しかしながら、この小説の終幕には「救い」が隠されている



父は97年頃から「臓器提供意思カード」をいつも持っている
奥さんのサインも入れてある
奥さんには常々
「俺はあんまりこの肉体に未練がないから、回復の見込みがなけりゃ使えるひとに使ってもらってや」と云っている
子供が育ってきた今もその考えは変わらない
本作を読了して、またその気持ちが強まった
が、
自死で脳死になる方法がわからないので、なかなか難しいことかも知れない



※ ちなみに本作を読んだ俳優/渡辺謙が熱望して映画化されているが未だ観たことはない









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