串本の温泉ホテルで一夜を過ごして、翌朝は予想通りよい天気。
大抵、朝風呂は空いているものだが、ここでは早朝の温泉は混んでいた。
ここの露天風呂はちょうど海と同じ目線、向かいの大島がよく見える。
いつものことながら、ツーリングの夜はお酒を飲んで少し話していると、すぐに
眠気が襲ってくる。
前夜もそんな感じで、夕食のあと少し飲んだだけで寝床に入ってしまった。
なのでまた、早朝にひとり目覚めて風呂に出かけたのたけれど前述のとおり
予想に反して少し混んでいたので、いつものように独り浮いているわけにはいかなかった。
風呂から上がるとY君も起き出していて、ブッフェ形式朝食をとって部屋に戻り支度を終え
たらすぐに出発する。このあたりはいつものことだ。
ホテル玄関の横に停めていたZ650に荷物を積んでいると、ちょうど支度をしているライダー
がいる。
どこまでですかと声をかけるとR42を白浜の方に向かうつもりだという。
我々とは逆回り「気をつけて」と云いながら、こちらは出発した。
GWでもソロで出かける人は多い、たまたま今回のGWはY君がつきあってくれたので
二人で走っているが、もともとは自分独りで周ろうと考えていたもの。
もう歳をとってしまって、知らず知らずのうちに意固地な部分が発露しているので、集団
行動はできなくなってしまったと思っているからだ。
皆でワイワイガヤガヤと走れていたのは周囲の寛容さによるもの。
ありがたいことだったけれど、年々「我」が強くなってきている中で皆の好意に甘えて
ばかりではいけない。
そうやっていつも反省ばかり、後悔は先に立たず自分から人が離れていくのをいつも
寂しく感じてしまうので、最近は逆に人から少し離れて独りで暮らしていくことを
ずっと考えている。
さて、熊野三山はそれぞれ適当な距離をおいて祀られている。
串本から進んでいく場合、まずは那智の滝/那智大社に参ることになる。
ここは海岸から少し山の中に進んだところにあって、単車を停める場所に苦労する。
この日からはようやくGW本番という感じで、外国からのツーリストたちも
多くて、結構混雑していた。
単車を停めた場所から石段を登って本殿に参ることになるのだがこれがなかなかきつい。
喪中で神社に参ることができないY君につき合わせてしまい申し訳ない気分ながら、
立派に育ったY君のお腹を思うと少し運動になってよいかもなどとも考えた。
本殿に参ったあと、また石段を下りてきて那智の滝に周るのだが、滝ツボまで降りて
また昇ってくると倒れてしまいそうなので、単車に乗って滝の側まで少し降り、売店に
単車を預けて滝を見に行った。
我々のツーリングは観光目的が薄いので、滞在時間は最小限、土産
物屋などにもあまり寄らないのだが単車を停めるためには仕方がない。
売店では、やたら那智黒飴がPRされていたが、奥さんには「それだけは買ってくるな」と
きつく云われていたので敬遠していた。
きつく云われると買ってみたくなる。
もしかしたら「饅頭こわい」ということかも知れないと思ったが、そんなはずもなく、
自分独りで消費するのも大変なので、やっぱり買わなかった。
その後、速玉大社、本宮大社と行程を進めて、昼食にたどり着いたのは14:00ころ。
Y君がすすめてくれた「しいたけ蕎麦」を求めて少し離れた「道の駅水の郷日高川龍游」
に立ち寄った。
ここのレストランに驚くサイズのシイタケをのせた蕎麦があるという。
残念ながら到着時刻が遅くてお蕎麦は売り切れてしまっていたが、代わりにこのシイタケ
のフライをのせた特製カレーをいただいた。
コロッケとしいたけフライを前後両輪に見立てた「ドゥカティ マイク・ヘイルウッド
カレー」というらしい。
コロッケもフライもそれぞれ大きくて食べ応え満点。
以前、Y君は平日にソロツーリングで立ち寄ったとのことで、そのとき食した蕎麦も
ずいぶんなボリュームでよかったという。
さてさて、少し待たされたものの美味しいものを食すことができたのでそろそろ帰路につく。
ここからは高野龍神スカイラインで高野山をまたいで大阪方面に向かう。
さすがに高度があがっていく中、ちょっと寒かったので持参したカッパをジャケットの
内側に着込んで風で体温が奪われないようにしたら、少し快適になった。
(のちにこのカッパのおかげでなんとか湾岸線を走りきれた)
高野山までスムーズに行程を進めていたところ、ちょっとガソリンの量が心配になってきた。
Y君も、大丈夫だとは思うけれどスタンドがあれば入れておきたいという。
そこで、ちょっと停まってGoogleMapで探すもヒットせず、少し不安になってきた。
もともと時間も時間だったので、高野山の社寺には寄らずに帰ることとしてもガス欠では
帰宅できない。
なんとかGSを探していたら、バスセンターを過ぎたあたりに1軒あることがわかり
ようやく満タンにできた。
最近はGSの数が減っていて、少し不便な田舎道を走る前には満タン必至だ。
まだまだガソリン車両も多い中で、GSの閉鎖や過疎問題は深刻だ。
その後、高野山から降りて帰宅するはずなのにGoogleMapがやたらと細い道
ばかり案内する。なかなか高速道路にたどり着けない。
このまま行っても3時間もかかるというので、よくよく考えたら
1日目の白浜から串本に向かうところで設定を変えて高速道路を避けるように
していたのを思い出した。
Y君に詫びて、R371で紀見峠を越えてからようやく設定を変更。
堺市の近くから高速道路に乗って、そのまま湾岸線で明石まで帰宅した。
翌朝、明石の実家から神戸の市街地を散歩しながら伊丹空港でバイクを返却。
神戸では久しぶりに母校に寄った。
当時、学食/生協の前にあった「一本松」が約40年前のまま立っていて
その下で熱いコーヒーを飲んで学生時代をしのんだ。
生協も学生会館も新しい建物になり、「一本松」は建屋の入口ではなく
憩いの場といった趣でたたずんでいた。
約700km走った今回のツーリングだが、その間ずっとインカムを通してY君と
話していた。
Y君とこんなに話したのは何年ぶりだろうか。
現在のこと、これまでのこと。Y君が買った家のことやその経緯。
Y君もいろいろと家族に囲まれて楽しくやっているようでうらやましい話も
たくさん聴けた。
昨年退職するときには、何ごとも中途半端な自分がよく40年近く働いてきたものだと
思っていたが、それも入社時から続いている同期入社の二人のおかげ。
さらにY君とはその8年ほど前、中学生のころからのつきあいだから、こんな
素敵な皆に助けられて仕事をまっとうできたことを再確認した。
40年を越えてつもりに積もった思い出はもうずいぶん記憶の底に沈んでいたのだが
今回二日間にわたってインカムを通して対談したことで、それぞれの記憶がまた浮か
んできたような気がする。
心配していた天気もなんとかなって今回のGWも楽しいツーリングに仕上がった。
また、行こう。
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