皆さんは、ターゲットCDなるものの存在をご存知でしょうか?
私は、このCDを数年前にeBayから購入しました。
なぜ、今頃この話題かと言いますと、最近アナログレコードを聴くようになってから、レコードとCDの音の違いを感じているからです。
レコードのほうが、明らかに音楽(楽曲)そのもので、CDの音は、何か原音と違い、楽曲の大切な部分がそぎ落とされている様に感じます。
まず、ターゲットCDとは何ぞや?を説明します(実は私も知らなくて、入手前にWeb上で教えて頂きました)。
1980年代初め~半ばにかけてWEA(ワーナー・エレクトラ・アトランティック ※現在のワーナーミュージック)によってリリースされたCDのことをターゲットCDと呼ぶようです。このCDの多くはアメリカでまだCDの国内生産がされる前に西ドイツか日本で作られましたが、中にはアメリカやフランスで作られたものもあります。「ターゲット」という名前はこのCDのデザインが銃の照準線や的に似ていることから来ているそうです。またラベルの非常に目を引く色合いですぐそれとわかるそうです。
現在のCDに比べるとノイズキャンセレーションなどを行っていない、言ってみればオリジナルにより近い音質であること、多くがコピーではなくオリジナル音源であること、初期のコンパクトディスクはこういうものだったんだという歴史を振り返るという意味でも価値があることが、特徴のようです。
写真は私が入手したものです。有名な『ワインライト/グローバー・ワシントン・ジュニア』です。
確かに、CDの板の印刷デザインが銃の照準、的に似ていますね。
CDのケースジャケットのデザインは現在のものと同じです。
こちらは通常版。
通常版とターゲットCDを並べてみました。
それで、実際の音質のほうはと言えば、ターゲットCDの音質は、「えっ~??」て感じです。
ダイナミックレンジが狭く、音抜けも悪く、篭った音がします。現在のCDの様なクリアーさが全くありません。音も小さくレトロな感じがします。
そういえば、レコードからCDへ時代が変わるときに、レコード時代の音源をCD化したものの中には、この様なものがあった事を思い出しました。
アナログレコードをCD化するときに、そのままでは駄目なのでしょうね。
何かしら元の音に対して加工処理をしないといけないのでしょう。ノイズリダクション、コンプレス、ダイナミックレンジの拡張など。そして、そこでリマスタリングの技術が必要になるのでしょう。
CD過渡期の頃は、その様な技術も確立されてなかったので、篭った音のCDもあったのでしょう。当時も明らかにレコードのほうが音が良いものもありました。
現在は、そのリマスタリングの技術が進歩して、CDの音がいかにも良さそうに?携帯音楽プレーヤー、ミニコンポで聴いても音が良さそうに、万人受けするように加工されているのでしょう。
と言う事は、元の楽器、声にデジタル的に加工が施されるために、その音楽が持ってる何か本質的な大事なものがそぎ落とされたり、強調され派手に聴こえるだけと思ったりもします。ちょうど、食材を洗いすぎて、その旨味成分までも取り去ってしまった様に。
CDの音は、気軽に聴くには良いかも知れませんが、腰を据えてじっくり聴き込むには、聴く人に訴えかける、感動を与える大事な旨味成分の様なものが足りないような気がします。