購入したヴィンテージ真空管が使っているうちに(或いは初期から)、球の頭を軽く叩くと、スピーカーから「ガサゴソ、ボソッ」と異音を発した経験は有りませんでしょうか?
因みに「カーンとか、ピーン」と響くのはハーモニック・ノイズでこれとは別物です。
この球が、いつか大事故を起こして、他の部品に影響を及ぼしたり、場合によってはスピーカーを飛ばしたりするのではないかと、気がきで使いたくなくなります。折角、大枚を叩いて買った球がこれでは泣くに泣けません。
私も何度かこの経験をして、折角のヴィンテージ品なのに仕舞い込んでしまった球が有ります。
恐らく接触の問題なのでしょうけど、どこの接触不良なのか調べる方法も分からず、また分かったとしても修理方法も知りませんでした。今までやって見た事と言えば、端子ピンのアルコール掃除くらいでした。
ところが、GT管のベース(袴)やピンを眺めていて、最近ふと思いつきました。
取り敢えず、ステムリードとベース・ピンの接続を再半田してみよう!!!これで治れば儲けものだ!いざ実行!!
作業の手順は以下の通りです。
①ベースピンの古い半田を半田吸い取り器か吸い取り線で除去します。
半田を吸い取ったら、細いステムリードが見えてきました。
半田吸い取りには、いつものシュッ太郎を使いました。追い半田をすると吸い取り易いです。
これ1本あれば便利です。もう10年以上使っています。
②ステムリードの先端を極細ヤスリで磨きます。こんな感じ。
この時、ヤスリの先端でリードを押し込んでしまわない様に、出来るだけ細いヤスリを使います。
極細ダイヤモンドやすりが必要です。私が使用した物は軸径0.7mm品で、東急ハンズで購入したと思います。
Amazonにも同等品が有りました。
③再半田をします。
使用する半田はお好みで。良質な物が良いでしょう。
半田を盛り過ぎると、ソケットに挿入しづらくなるので注意。
④ついでにピン(足)もエタノールで洗浄しておきます。
見事に修理が出来ました!!! 球を叩いてもスピーカーから異音が出ません。
異音の原因はやはりステムリードの接合問題の様です。
長期使用で問題が発生したのは、熱膨張収縮を繰り返して接続がルーズになったと思われます。
この修復作業は、道具さえ有れば2本で1時間も掛かりませんでした。わりと簡単に出来ました。
これはステムリードとベース(袴)のピンが半田で接続されているST管、GT管に共通して使える修理技です。MT管はガラス管内部で接続されているので無理です。
お役に立てれば幸いです。
なお、ヴィンテージ真空管マニアなら既知の内容と思いますので読み飛ばして下さい。