9月 10日

2021-09-10 05:27:13 | Weblog
                       秋の日・秋日・秋日向・秋日影 


     旅の日の秋日を金に雄物川           細見綾子


     秋日沁む獣の骨のちりぢりに          沢木欣一


     眼前に秋日まみれの竹生島           栗田やすし


     教室の隅のオルガン秋没日           河原地英武


     師の買ひし木曽の煙草や秋日濃し        国枝隆生


     蔵に据う千貫神輿秋日映ゆ           鈴木みすず


     秋日透く障子明りに技芸天           磯田なつえ


     秋日濃し汐引く川の澪標            武藤光晴


     音たてて秋日に乾く檜桶            奥山ひろ子


     鍬並ぶ野鍛冶の土間に秋日射す         竹中和子


     秋の日の透けて御堂の極楽図          砂川紀子


     秋日差す少年子規の三畳間           夏目悦江



          

            蚶満寺



     み仏のめつむりながき秋日かな         桂 信子


     防波堤秋日をかへす稚魚の群          内田 芳子


     仙石線待ちて秋日の箒売            横山房子


     肌襦袢秋日にしろき三十代           中山純子


     波の上に金の秋日の貼りつける         西村和子


     句座はねて古刹の秋日逃げ易し         小島左京


     秋の日のつれなく見えし別かな         夏目漱石



          

           また五たびのコロナまん延です 
        ご自分と大切なご家族を守るために三密を忘れなく
        密閉、密集、密接を避けましょう手洗い、うがい、マスクの着用 を日常に
        もう少しの我慢です
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9月 9日

2021-09-09 04:48:47 | Weblog
                      燕帰る・帰燕・帰る燕・去る燕・玄鳥去る


          9月7日~21日頃 二十四節気,白露の末候「燕去る」
          ツバメたちが、冬を前に南の国へ旅立つ時季です。



     四阿に石の円卓燕去る            沢木欣一


     一と雨をつつ切つて行く帰燕かな       細見綾子


     低く飛ぶ秋吉台の帰燕かな          栗田やすし


     出撃せし沖へ帰燕の盛んなる         国枝隆生


     ひとしきり群れて明日去る燕かも       下里美恵子


     飛鳥寺の鐘ひびく空燕去る          栗田せつ子


     岬鼻は帰燕の空となりにけり         丹羽一橋


     雲ひとつ燕帰りし城の空           梅田  葵


     峡の空帰燕の群の飛び巡る          清水弓月


     去ぬ燕米屋に二つ巣を残し          福田邦子


     峡の空帰燕の群の飛び巡る          清水弓月


     国後の見ゆる峠へ去ぬ燕           若山智子 


     暁光に吸ひこまれゆく帰燕かな        近藤文子




          



     地を蹴つて掴む鉄棒帰燕あまた        西東三鬼


     人妻の袂の丸み燕去る            三橋鷹女


     絶壁に波打つ別れ燕去る           池内友次郎


     この町の燕去ぬべき山のいろ         岡本 眸


     安房一島置きざりにして燕去る        佐川広治


     海峡を帰燕にはやき一羽ゆく         能村登四郎


     分校に下りて憩へる帰燕あり         飴山 實



          

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9月 8日

2021-09-08 06:13:50 | Weblog
                       白露(処暑のあと15日目)


          白露とは、露が降り、白く輝くように見える頃という意味です
          毎年9月7日頃~9月22日頃にあたりますが、日付が固定されているわけではなく
          処暑の後の15日目とその日から秋分までの期間をいいます



     本棚に古白遺稿や白露の日           栗田やすし


     髪染めて出稽古に行く白露の日         小島千鶴


     蔵壁を白露の夕日移りゆく           清水弓月


     墨の香に部屋を潤す白露かな          松平恭代


     空海の霊泉を汲む白露かな           長崎眞由美


     ひそやかに藍の息継ぐ白露かな         小田和子


     奈良町で茶粥を食ぶる白露かな         武田明子


     母在らば九十三やけふ白露           金原峰子


     城仰ぐ句碑に白露の風渡る           尾関佳子


     行く水に灯の映りたる白露かな         中川幸子


     鐘の音の湖にひびける白露かな         関根近子


     七七忌兄に白露の水供ふ            高橋孝子



          



     白露に阿吽の旭さしにけり           川端茅舎


     白露の籬をへだてて桂川            石原八束


     粥食つて腹透き徹る白露かな          福永耕二


     みちのくへ白露過ぎたる旅支度         星野 椿


     白露にて已が咀嚼にも親しみぬ         森 澄雄


     籾焼の温みながるる白露かな          ながさく清江


     白露かなミサの歌ごゑ昂ぶるに         笹沼秀夫



          

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9月 7日

2021-09-07 05:25:55 | Weblog
                        萩・白萩・こぼれ・萩の宿・萩の花


     富士三日晴れて一日萩の雨           栗田やすし


     驟雨来て瑠璃岩盤に萩散りぬ          沢木欣一


     白萩の触るるたび散る待ちて散る        細見綾子


     丹波いま萩咲く頃か空青し           下里美恵子


     筆となる鹿毛の温み萩の花           栗田せつ子


     大寺の渡り廊下や萩の風            鈴木みすず   


     起き抜けに使ふ水櫛萩の花           矢野孝子


     白萩や木歩の眠る向島             武藤光晴


     幾重にも山車の轍や萩の辻           高橋悦子


     湯田中へ通ひし一茶萩の花           伊坂壽子


     堂の縁拭き込む老女萩の風           石崎宗敏


     風抜けて萩のトンネル膨らみぬ         ころころ



          

            向島百花園

          

            川越喜多院 芭蕉句碑より萩の花のぞむ



     萩咲て家賃五円の家に住む           正岡子規


     はらはらとせう事なしに萩の露         夏目漱石


     眼に溜めて風の色見ゆこぼれ萩         福永 耕二


     君たちの恋句ばかりの夜の萩          石田波郷


     かくてあることよりも萩の人恋し        長谷川かな女


     浅草に舟宿のあり萩月夜            黒木千代子


     こぼれ萩してゐる内は庭掃かず         池内たけし



          

          
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9月 6日

2021-09-06 05:49:35 | Weblog
                       無花果・白いちじく


     いちじくを山ほどくれし野分あと        細見綾子


     家探す薄暮無花果小指ほど           沢木欣一


     まだ青き無花果に触れ田舟過ぐ         栗田やすし


     無花果の風や仔牛の耳動く           鈴木真理子


     窓越しに庭の無花果祖父に見す         工藤まみ


     口中に解ける無花果大夕日           山 たけし


     無花果の匂ふ路地来て朝のミサ         玉井美智子



          



     無花果や八百屋の裏にまだ青し         正岡子規


     無花果割る親指根元まで入れて         小澤 實


     葉にのせていちじくを売る朝の市        八巻絹子


     無花果にいささか強きをんなごゑ        鷲谷七菜子


     無花果を蟻より奪ひ返しけり          相生垣瓜人


     無花果や娶るなやみの一教師          能村登四郎


     無花果を割れば夕日のごとくなり        加藤秋邨



          

          今日9月6日は我師系 細見綾子の忌日です

          今もなほ師の手の温み綾子の忌         栗田やすし


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9月 5日

2021-09-05 06:32:50 | Weblog
                      秋の雨・秋霖・秋黴雨


     余白なき母への葉書秋黴雨           石原筑波


     秋霖や干草匂ふ牧の小屋            倉田信子


     黒塀のマンリン小路秋黴雨           武田稜子


     秋霖や漆びかりのやすし句碑          栗田せつ子


     秋霖を来て聖堂の床濡らす           小栁津民子


     御神馬の銅の艶増す秋の雨           藤田岳人


     亡き犬の玩具に歯形秋の雨           関野さゑ子


     日もすがら男体山隠す秋の雨          武藤光晴


     秋霖の水輪に城の影揺るる           鈴木英子


     秋雨の斜めに降れり一番線           奥山ひろ子


     秋霖や重なり合うて猫ねまる          坂本操子


     秋雨の音を遠くに衣ほどく           坪野洋子



          



     しづかなる音かさなりて秋の雨         山口青邨


     閉めぎはの店に花買ふ秋の雨          岡本 眸


     秋雨の南の国の棕櫚並木            星野立子


     泥連れの水おそろしや秋ついり         三橋敏雄


     男女ゐて邪魔でなき景秋の雨          後藤比奈夫


     秋雨の洞を讃美歌もて満たす          津田清子


     三日降れば世を距つなり秋の雨         水原秋櫻子 



          

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9月 4日

2021-09-04 08:13:51 | Weblog
                  露草・蛍草・かまつか・青草・帽子花・うつし花・月草


     露草が咲きひろがりて水と空          細見綾子


     露草や鉄鎖の垂るる高札場           山本光江


     露草やポスト食み出す日刊紙          森垣一成


     露草や犬の好める水呑み場           山田悦三


     露草へ寝かせて洗ふ石地蔵           武田稜子


     露草に鱗とばして鯛捌く            牧野一古


     露草やみな海を向く蜑の墓           垣内玲子


     露草をコップにさせり朝の卓          日野圭子


     つゆ草や新聞少年笑み返す           加藤百世


     露草の露のこぼるる仏みち           柴田孝江


     露草の藍はればれと眼の癒ゆる         鈴木みや子


     露草や百観音はみな伏目            森 靖子




          



     くきくきと折れ曲りけり螢草          松本たかし


     露草に雀もこゑを降らす禽           福永耕二


     抱きおろす子へ露草の露無数          岡本 眸


     月草に傘差して来る二人連れ          佐々木六戈


     調教の鞭のかすめし蛍草            西村和子


     摘まれても籠に青花震へやまず         大野林火


     露草も露のちからの花ひらく          飯田龍太



          

           紫つゆ草

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9月 3日

2021-09-03 05:11:31 | Weblog
                       紫苑・しをに・鬼の醜草(しこくさ)


     山晴れが紫苑切るにもひびくほど        細見綾子


     紫苑晴れあれが伊吹と指させり         栗田やすし


     奥美濃の雨に紫苑の弓なりに          丹羽康碩


     紫苑咲く棚田の畦の行き止まり         国枝洋子


     古寺の多き湯の町紫苑咲く           中村修一郎


     紫苑晴底まで透きし飛鳥川           宇野美智子


     紫苑ゆらして亡き夫の帰り来よ         澤田正子


     紫苑咲く奈良井の寺にマリア仏         青木しげ子


     庭先の紫苑手折りて母見舞ふ          加藤雅子


     城址より遠き街見ゆ紫苑晴           清水弓月



          



     雨重く紫苑書屋の窓に斜め           山口青邨


     経師屋の三尺定規紫苑咲く           石田勝彦


     紫苑にも濃きと淡きと秋日和          松本たかし


     袖振りの地蔵をめぐり紫苑かな         森 澄雄


     老女臥す紫苑ぐもりと言ふべきか        堀口星眠


     澄む日影照る月影や紫苑咲く          水原秋櫻子


     道しらじらつづくしづけさ紫苑照る       鷲谷七菜子




          

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9月 2日

2021-09-02 04:57:32 | Weblog
                     梨・ありのみ・梨売・ラフランス・長十郎・二十世紀


     梨売りの頬照らし過ぐ市電の燈         沢木欣一


     荷の着きてより洋梨のかをりかな        細見綾子


     洋梨に子のてのひらの温みあり         河原地英武


     梨椀ぐや特攻兵を生き残り           奥山ひろみ


     子を叱る後の空しさ梨をむく          安藤幸子


     棚低し跡継ぎの無き梨畑            兼松 秀


     豊満な土偶の腰やラフランス          三井あきを


     特攻の基地たりし畑梨熟るる          篠田法子


     手のひらに梨の重さの残りけり         加藤ゆうや



          



     梨棚のこごみ歩きを子に抜かれ         鷹羽狩行


     林檎園の中の洋梨寂しからむ          山田みづえ


     幹二股三股と奥へ梨たわわ           古沢太穂


     長十郎この重たさが友の情           中嶋秀子


     どこまでも話反れつつ梨甘し          中村汀女


     大音に落ちたる梨の怪我もなし         平畑静塔


     洋梨が版画のやうに置いてある         長谷川櫂



          

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9月 1日

2021-09-01 04:45:27 | Weblog
                        風の盆・おわら祭・八尾の廻り盆


          毎年9月1日から3日まで富山県八尾で行われる民族行事風の盆
          二百十日(例年なら9月1日今年は8月31日)の風の神を鎮め豊作を祈ります
          胡弓の音にあわせて越中おわら節を躍る男踊り,女踊りの艶やかさは必見です
          残念ながらコロナ禍でこの大事な行事も中止となりました



     風の盆八尾は水の奔る町            沢木欣一


     母がゐて嫁がゐて越中風の盆          細見綾子


     編笠に後れ毛靡く風の盆            坪野洋子


     手を合はす指しなやかに風の盆         新野芳子


     風の盆果てたる闇に水の音           奥山ひろみ


     雪洞の灯のやはらかし風の盆          武藤光晴


     少年が真顔で踊る風の盆            沢田充子


     風の盆踊り果つ娘の幼顔            只腰和子


     簪のやや揺れてをり風の盆           三井あきを


     踊る手のしなやかに伸び風の盆         大石久雄


     網笠を買ふて加はる風の盆           山口登代子



          



     唄の尾の胸に棲みつき風の盆          鍵和田釉子


     うなじ迄地酒に染めて風の盆          二村美伽


     この橋を渡れば過客風の盆           鈴木渥志


     風の盆夜は夜のいろの大欅           吉田鴻司


     風の盆胡弓はときに子の声を          有馬朗人


     一人づつ二人づつ増え風の盆          東  久子


     唄に歩を合す旅人風の盆            毛塚静枝



          

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