踊る小児科医のblog

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『3歳まで育児手当、6歳児まで医療費無料』の実現に期待

2006年01月05日 | こども・小児科
本日付けの「少子化対策:6歳児まで医療費無料検討」との報道ですが、他紙ではまだ取り上げられていないようです。

・3歳までの子どもを持つ保護者を対象とする育児手当制度を新設
・6歳児までの医療費を全額無料化する方向で検討に入った
・育児手当は月額1万5000円を軸に調整
・児童手当制度を参考に所得制限を設ける意向
・育児手当制度に年5400億円、乳幼児医療の全額助成に同3000億円
 計8400億円の財源が必要
・07年度からの導入を目指す

これがもし実現すれば、子どもを保育園に預けながら小児科にも頻繁に通院しているような若い夫婦にはかなりの負担減となるはずで期待したいと思います。猪口担当相が「思い切った対策が必要」と言っていた目玉の一つを表に出してきたのだと思いますが、私たちがずっと取り組んでいた就学前までの小児医療無料化の運動も影響を与えたはずです。しかし、乳幼児医療全額助成が年3000億円程度の予算で可能なのであれば、削るところを削れば今まで既に実現出来たはずなのに。。

政府の対策が後手後手に回っているのは否めませんが、一日も早い実現を望みたいと思います。

少子化対策で重要なのは、「夫婦で1.5人分(例えば交代で半休)」の労働力と収入で経済的に成り立ち、時間と気持ちのゆとりを持って子育てを楽しめる環境づくり、子どもが病気の時に病児保育に預けるのではなく、お母さんまたはお父さんが仕事を休める社会環境づくりであり、今回出てきた政策はそういったものと組合わさってはじめて効果を発揮するはずです。

さらに、日本の場合教育費の負担も影響が大きく、年功序列・終身雇用の保障がなくなったいま、子どもが高校大学と進学する時期(親は中高年にさしかかっている)への将来不安が二人目・三人目の子どもを持つことを思いとどまらせている現状があります。

結局、現在の小泉政権の“小さな政府”という方向性では少子化は進むばかりであり、抜本的な対策には子育て支援や社会保障などの「切り捨て」ではなく「手厚い給付」へという方向転換が必要だということを政府自ら示していると言えるでしょう。

ちなみに、“小さな政府”とカッコ付きで書いたのは、今の“改革”は言葉の意味とは全くかけ離れたものだからです。本来なら、
 ・大きな政府=高負担・高給付
 ・小さな政府=低負担・低給付
日本は今まで中負担・中給付の国だったわけですが、これを小さな政府にして、公的サービスを民間に移して自己責任の社会にするのなら、当然のことながら減税するのが筋です(低負担・低給付)。あのブッシュのアメリカだって減税してます-その政策の是非はともかくとして。

今の「小泉改革」は、それとは正反対に、増税や各種負担増と公的サービスの切り捨てを同時に進めている。つまり、
 ・小泉流“小さな政府”=高負担・低給付
の社会をつくろうとしていて、現にそういう国になってきているわけです。