踊る小児科医のblog

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おたふくかぜで難聴になることをご存じですか

2006年01月27日 | こども・小児科
 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の合併症としては髄膜炎の頻度が高いことが知られていますが、これは軽い場合は自然に治り、検査したり入院が必要な場合でも通常は後遺症は残しません。成人の精巣炎による不妊は、実は非常に稀なものです。

 しかし、従来おたふくかぜ患者の2万人に1人程度と考えられていた難聴が、最近の調査では数百人に1人という報告もあり、小児科医の中でも難聴を防ぐためにおたふくかぜを積極的に予防しなくてはいけないという認識が高まっています。

 おたふくかぜによる難聴は重症で、多くは片側(まれに両側)の聴力が完全に失われてしまいます。残念ながら、現在のところ有効な治療法もありません。もしおたふくかぜに罹ったら、耳もとで指を軽くこすり合わせてみて、聞こえ方に違いがないかどうか家庭でチェックしてみて下さい。

 諸外国ではMMRワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜ)の2回接種を行っている国が多く、おたふくかぜは過去の病気になりつつあるのですが、わが国では来年からMRワクチンが導入されるものの、おたふくワクチンは任意接種(全額自費)のままで接種率が低いため、保育園などを中心に常に流行が繰り返されています。

 厚生労働省の予防接種検討委員会でも、次に定期接種(無料)に組み込むべきワクチンとして検討はしていますが、すぐに実現するものでもなさそうです。ある程度お金のかかるワクチンではありますが、できるだけ接種していただきたいと考えています。