万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

政治家の帰化は当然の情報

2010年04月24日 15時45分22秒 | 国際政治
帰化発言で都知事「社民党首を特定してない」(読売新聞) - goo ニュース
 政治家の帰化の事実の公表は、人種差別に当たるとして非難する意見があります。しかしながら、政治家となる資格について、帰化に関連して厳しい要件が課せられる国は少ないのです。

 アメリカでも、生まれながらのアメリカ人でなければ、大統領となる資格は認められていません(アメリカ憲法第2条1節5項)。さらに厳格な国ともなりますと、親の代まで資格が問われることもあります。こうした制限について、人種差別を持ち出して非難する声はなく、帰化の情報の開示はプライバシーの侵害に当たるとして、非公開が求められるということもないようです。政治家とは、国民の信託を受けて、法律を制定したり、政策を決定する立場にありますので、帰化政治家を通して外国の干渉や影響を受けることで、その国の国益や一般の国民の利益が損なわれることがないよう、被参政権に一定の制限が設けられることは珍しいことではないのです。

 アメリカで、いち早く、大統領の資格として帰化に関する規定が設けられたのは、移民国家であるという歴史的な背景があったからと考えられます。我が国でも、帰化の件数は増加傾向にありますので、政治家の帰化の情報開示や資格の問題は、今後、よりオープンな議論を要する課題なのではないかと思うのです。

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コメント (14)
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