万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

司法制度の見直し―小沢氏の小沢氏による小沢氏のための改革?

2010年04月29日 15時49分27秒 | 日本政治
民主・辻氏、検察審査会に疑問=司法制度見直しで議連発足(時事通信) - goo ニュース
 検察審査会が、小沢氏の事件を起訴相当とする議決を行った途端、民主党では、司法制度の見直しに動き出したようです。検察審査会の権限の縮小を狙う動きには、小沢氏の強制起訴を避けようとしする意図が見え隠れするのですが、これでは、”小沢氏の小沢氏による小沢氏のための”司法改革になりそうです。

 そもそも、検察審査会とは、英米法では大陪審と呼ばれており、裁判所における陪審制度(小陪審)と並んで、法の支配を支える制度とみなされてきました。起訴の段階で、検察から事件性がないと見なされた場合、違法性や犯罪性は永遠に問えなくなります。もしかしますと、裁判に至る前に、違法行為や犯罪を見逃すことになるかもしれないのです。これでは、治安も悪化し、法の支配も揺らぎますので、外部からのチェック機関が設けられるようになったのです。政治権力からの圧力から独立した検察審査会は、立件見送りによる犯罪の見逃しを防ぐために設けられた重要な機関なのです。

 もし、検察審査会の決議に不服があれば、それは、裁判所で争えばよいことです。にもかかわらず、一つの事件、それも”独裁者”の異名を採る政治家のために制度を改革しようとすれば、当然に、国民は、そこに権力の私物化の危険を感じ取ることになります。制度を個人的な理由で変更しますと、国民からの信頼を失うことになるのではないでしょうか。

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コメント (8)
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