万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

キルギスの政権崩壊―旧ソ連邦の亡霊か

2010年04月09日 15時38分17秒 | 国際政治
キルギスで衝突、野党が臨時政府樹立を宣言(トムソンロイター) - goo ニュース
 1991年12月にソ連邦が消滅し、CISが誕生したとき、多くの人々が、これと同時に社会・共産主義の体制も消え去ったと思い込んだかもしれません。しかしながら、CISに参加している中央アジアの諸国は、未だにソ連邦の亡霊に苦しんでいるように見えるのです。

 ソ連邦の崩壊は、ロシアを取り巻く内外の環境の変化に耐えきれなくなり、起こるべくして起こった感があります。その一方で、中央アジア諸国は、いわば、突然に東欧革命の余波を被り、何らの準備もなく体制移行を余儀なくされることになりました。このため、表面的には自由化や民主化が図られたものの、新体制の担い手の多くがかつての支配層であるのですから、抜本的な改革はできるはずもありません。自由や民主主義の意味さえ、充分には理解されていなかったかもしれないのです。

 キルギスの目を背けたくなるような政治腐敗も、思えばソ連型の独裁体制が温存されていたことが原因しているのかもしれません。政治権力を握った者が、共産党と同じく特権を振りかざし、私服を肥やすことができるのですから。キルギスの正常化は、真の意味での民主化に向けた体制移行を要するとのではないかと思うのです。
 
 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする