万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

”卵が先か、鶏が先か”-政治におけるチェンジとは

2010年04月07日 16時05分56秒 | 国際政治
「谷垣氏が党変える意思なければ辞める」河野幹事長代理(朝日新聞) - goo ニュース
 アメリカのオバマ大統領は、”チェンジ”をスローガンに掲げ、改革者のイメージをアピールすることで、大統領選挙を勝ち抜きました。その影響があってか、政治の世界では”変革”や”改革”が流行り、我が国の政権交代もその流れにあると言えます。

 ところで、政治における”チェンジ”には、二つの種類があるように思えるのです。その一つは、政治家が率先してこれまでの方向性や制度を変えてゆくというものであり、もう一つは、国民の政治意識や政策志向の変化に合わせて、政治家が、旧弊を是正してゆくというものです。前者の”チェンジ”は、リーダーシップの観点から見ますと、国民の目には颯爽として頼もしいようにも見えますが、国民の望む方向とは別方向に国政を導いてしまう可能性があります。一方、後者は、変化の方向性が、国民の意向と離れることはありませんので、地味には見えますが、民主主義の時代には適しているとも言えます。

 ”チェンジ”とは、国民の多数から支持され、改革の意義が明確であるば、良き政治の実現に近づきますが、国民の声や現実から著しく乖離した”チェンジ”は、制度破壊や政治混乱をもたらしかねません。政治家には、変化の方向性を具体的に国民に説明する義務がありますし、国民もまた、それを見極める必要があると思うのです。

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